
笑ってしまいたくなるのは、頭のなかに思い込みがあると、かんたんな数字のトリックにもひっかかってしまうことを、マスコミの人たちが見せてしまったことです。統計の専門家とはいえなくとも、職業柄長年数字と付き合ってくると、数字は読みかたひとつでまったく違うことがいえてしまうことがあります。さっそく、近藤駿介さんがそれをご指摘です。
「財務真理教」による詐欺的報道 〜「小沢新党79%期待せず」? 民主、自民と比べれば…(近藤駿介)
政局にはまったく関心がなく、遠くから眺めているとそういったトリックも見えてくるものです。
近藤さんが書いていらっしゃるように、「小沢氏らの新党結成に関しても『期待しない』との回答が79.6%に上り、『期待する』は15.9%にとどまった」と書くべきなのか、『期待する』が15.9%もあったと書くべきかは微妙なところです。冷静に考えれば近藤さんが書かれているようにいまは安定して政権を維持できるほどの支持を得ている政党はないのです。
時事通信社が毎月実施している政党支持率を見ると、「民主党」の6月の支持率は、僅か8.1%であり、最も支持率の高い「自民党」の6月の支持率でさえ13.1%である。つまり、「民主党に期待しないとの回答は91.9%」、「自民党に期待しないとの回答も86.9%」というのが現在の既存政党の実態なのである。
それはそうです。「ビジョンや政策」という政党の存在理由ともなる肝心の構想や政策という「商品」が今ひとつ魅力に乏しいのですから。そもそも開発力のないメーカーってどうなんでしょうね。市場から淘汰されるのが自然です。
そもそも、価値観やニーズが多様化した今の時代に、商品をあまねくすべての人に買ってもらおうという発想はマーケティングではしません。いくらつまらないと感じる人が圧倒的に多数でも、価値を認めてくれファンになってくれ支持してくれる人がどれぐらいるかのほうが重要です。薄く広く支持されることではなく、どれだけ深く支持されているかです。
政治も同じでしょう。みんな同じ考え方を持っているわけではなく、また「あちらを立てればこちらが立たずのトレードオフ」の課題が増えているのでなおさらです。
理想は、深く信頼し支持してくれている人が多数になることです。マーケティングのシェアの感覚でいえば支持が40%ぐらいを超えると相対的には安定します。政党もそれを目指さないといくら政権を取っても、それは時の流れでそうなっただけで、安定した政権はできません。
読売の調査では今支持をもっとも受けているのは維新の会で、また維新の会と石原都知事による新党結成への期待です。
大阪市の橋下徹市長が代表を務める「大阪維新の会」と、東京都の石原慎太郎知事を中心とする新党結成の動きへの期待は一定の水準を維持している。維新の会の国政進出に期待する人は56%(前回6月8〜10日は60%)と半数を超え、無党派層では60%に達した。「石原新党」についても、「期待する」との回答は45%(前回46%)となった。
維新の会がまだまだ国政を動かす陣容ではないにしても、もう既成政党に対する期待感はないのです。自民党のなかには政権復帰への希望がうまれ、はしゃいでいる人もいますが、とうてい政権を担える能力があるとは思えません。
敵失で政権復帰を果たしても待っているのは地獄のような課題です。それで小泉さんが高らかに宣言したように、自民党は壊れていく危うさを抱えています。
政局話は興味のひとかけらも興味がありませんが、小沢さんには、もう最後の仕事になるでしょうから、大局にたって健全な政界再編が加速するような動きをしてもらいたいものです。
池田信夫 blog : 小沢一郎氏の「西南戦争」 -
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それにしてもマスコミそのもの、マスコミに登場する評論家の人ってもうすこしなんとかならないものでしょうか。まったく解説の役割を果たしていません。井戸端会議みたいな報道はやめて、決めるのは視聴者や読者なのだということ、そのための情報提供サービスなのだという風に考えるマスコミの人って少ないのでしょうか。
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