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「反発・戸惑い・絶賛…交錯する評価 橋下市長の半年」とタイトルをつけた記事が朝日新聞にありました。どんな取材結果なのか、世論調査でもしたのかと読んでみると、関係各位に取材したことを載せたにすぎません。なにを伝えたいのかがよくわからないのです。
まずは、人形浄瑠璃文楽の人間国宝、竹本住大夫さんのお話。文楽協会への天下りがあったことや、「師匠が弟子に技術を教えるのに市が金を払うのはおかしい」として橋下市長が問題視し、補助金を今年度から25%カットし、若い弟子への生活補助に切り替えなどの方針を打ち出していることの当事者だから困惑は当然でしょう。
次に、大阪人権博物館(リバティおおさか)の運営財団の成山治彦理事長のお話が続きますが、こちらも今年度で補助金が打ち切られる当事者。次は大阪市労働組合連合会(市労連)の田中浩二書記長のお話。こちらは選挙で争ったので当然反発。さらに原発住民投票を進めてきたジャーナリストの今井一さんのお話は、橋下市長が、住民投票運動に反対したので不信感をお持ちだとなります。公平をきそうとしたのか、そのあとは、おまけのように橋下ブレーンの特別顧問の上山慶応大教授と市職員幹部の橋本市長絶賛の言葉がありました。

取材した時間や労力は認めますが、労力や時間をかけたことがそのまま値打ちのある記事になるとは限りません。もっと直接関係していない人たちから声を集めて記事にしないと、最初からどんな意見が飛び出してくるかは決まっています。
とくに橋下市長には、大飯原発再稼働決定あたりから厳しい評価をする評論家の人が目立ちますが、むしろ住民評価の変化があるのかどうかのほうが重要ではないかと思います。

とくに、今の橋下市政をめぐっての焦点は、市職員の政治活動を国家公務員に準じて刑事罰つきで禁じる条例案についてのほうではないでしょうか。政府が「地方公務員法に違反する」との答弁書を閣議決定したことの気持ち悪さがまずあります。民主党がどこまでも組合寄りのポジションを貫くのかと恐れ入ります。
橋下市長は「条例の制定方針自体は取り下げず、規制する政治活動の範囲を国家公務員並みに広げる」という方針は条例に盛り込むとしても、「閣議決定を踏み越えてまで条例化はできない」と条例化をあっさり取り下げたことも拍子抜けの印象を受けました。

普通に考えれば、地方公務員は、国家公務員以上にダイレクトに仕事を発注する窓口をやっているので、特定の利権とつながりかねない政治活動についてはより厳格化すべきだと思うのですが、どうなんでしょう。民主党の閣僚が「地方公務員法に違反する」とするならそれを変えなさいよといいたくなります。

それにしても朝日新聞さん、もっと値打ちのある記事を書かないと読者離れは食い止められません。インターネットの影響がどうのこうのと言っても、それは伝える手段の環境が変わったきているだけで、価値のある記事を提供出来ればそういった変化にも対応できます。もっとほんとうに読者が知りたいことを取材し記事にしてもらいたいものです。

そういえば、この前の、米軍機で空から放射線測定を行った詳細な「汚染地図」を保安院も文科省もなんら活用しなかったことを書いた記事はよかったと思います。
ジャーナリストの上杉さんがいまさら遅すぎるとクレームをつけていますが、それは上杉さんの放射線汚染に対するポジションで考えるか、危機管理のありかたの根本を問題として考えるかで意味は違ってくるように思いますね。