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なにか117店を展開するスーパーチェーンが凄いバーゲンセールをやるという話ではなく、スーパーチェーンを展開する会社の株半分を1円で売買したという会社そのもののバーゲンセールです。売手は関東で「つるかめランド」と「テスコ」をやっているテスコ・ジャパンで、買い手はこういった案件ではかならずせり落とすイオンさん。しばらくは共同経営体制で、やがて完全に買い取ることになっています。たいしたものです。
イオンが英テスコの国内117店を引き受けへ 旧「つるかめ」買収会社 - SankeiBiz(サンケイビズ) :
しかしまあ、このひたすら拡張をめざすイオンの経営はいったいなになのでしょうか。どこまでも買収をつづけ市場シェアを伸ばしていく先に明るい将来を見ているのか、あるいはどうにも止まらないということなのかいずれかでしょう。小売り業という見方ではなく不動産業として見たほうが理解できるのかもしれません。

さて、売手のテスコですが、日本市場でビジネスを成り立たせる方程式を見出したウォルマートとは対照的に、フランスのカルフールに続いて大失敗してしまったことになります。やはり市場の違い、消費文化の違いに適応できなかったのでしょう。だから撤退となったわけですが、おそらく「フレッシュ&イージー」を展開するアメリカ、また中国やインドに重点をおこうとして、利益を食いつぶしている日本からは逃げたとも考えられます。

英国本土ではテスコは強い小売業です。英国で独特の顧客管理手法とPBによる価格破壊で競争力をつけ、いまや英国での市場シェアが30%を超え、グループ全体の売上高は9兆円近くまで成長した巨大小売り業です。英国では、市場の34%以上をテスコが占めており、あまりにテスコのシェアが高いために、テスコの出店に地域の個性が失われると住民反対運動が起るほどの寡占ぶりです。
しかし、日本ではその強みの顧客管理手法やPB戦略を進めるほどの店舗規模を持つまでにいたらなかったのでしょう。

イオンは売上では5兆円を超えるところまできましたが、海外の巨大小売り業との違いは利益率が低いことです。直近ではイオンの営業利益率は3.8%で、海外の小売業とくらべてかなり見劣りがします。

原因は3つあると思います。ひとつは日本は小売り業の店舗が多すぎるのです。いわゆるオーバーストアで過当競争が激しいことがあります。もうひとつは効率の悪さです。利益率の高いPBが育っていないために販売比率が低く。さらに、買収しても物流、仕入れ、また店舗オペレーションなどで効率化できないことです。最後にはやはり衣料品などの付加価値の高い分野で弱いことでしょう。こちらも衣料品を売るノウハウや仕組みづくりに成功しているとは到底思えません。

日本の小売り業の地図はこの先どうなっていくのでしょう。コンビニが高齢者のターゲットを広げ、またPBに力を入れ、生鮮なども扱うようになって再び成長の勢いを取り戻しています。また案外元気なのが地域に密着した中堅の食品スーパーです。消費高齢化がより進めば、イオンが抱えている大型店舗では高齢者にとっては買い物が苦痛になってくるでしょうから、将来に向けた新業態開発をやるのか、あるいはとことん広げて経営の効率化をはかっていかなければ厳しいような気がします。
 
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