人気ブログランキングへ

このところNTTドコモの買収劇が急になってきています。国内では「らでぃっしゅぼーや」であっといわせたかと思うと、つぎはタワーレコードです。そういえばTV通販の会社も子会社化していて、通販事業強化にむけて楔を打ち始めているということでしょうか。

スマホそのもの、またスマホの活用ビジネスがますます広がるなかで、通信会社は、設備投資に金がかかるばかりで、利益を得るのは通信を利用する他人のビジネスという「土管ビジネス」になりかねず、中期ビジョンで高らかに宣言した「スマートフォンを核とした総合サービス産業」への長い道程の布石を打ち始めていると感じさせます。儲けをアップルに独り占めさせまいと、クラウド・サービスを充実させ、コンテンツ販売にも、物販にも、次世代テレビにも、医療分野にも、どんどんサービス領域を広げることへの壮大なチャレンジです。
買収は国内にとどまらす、イタリアの「ボンジョルノ」というおふざけの名前かと思わせる携帯電話向けサービス会社をこの7月にも買収するということです。欧州、北米、南米など57カ国で携帯向けコンテンツ配信などを手がけている会社で、海外へもサービスを広げていく高い志を掲げてのことです。
うまくいけば、「iモード」の海外普及をめざして米国の通信会社AT&Tなどに巨額の出資を行ったものの失敗し、大損した過去の歴史へのリベンジになります。

ただ気になるのは、あっちにもこっちにも手を広げていって、うまくビジネスを成功させることができるのだろうかです。「iモード」の過去の失敗の歴史を教訓にリベンジということですが、リベンジと聞くとどしても思い出してしまうのは、2007年の広告です。「さて、そろそろ 反撃しても いいですか? DoCoMo2.0」というセンセーショナルなキャッチフレーズで、おいおい誰に向かって広告打っているの?株主対策?目立てばいいというものではないだろうと驚かされたものですが、実際には、その後も他キャリアへの流出が止まったわけでなく、なあんだという結果となった過去があるだけに心配になってきます。

それにNOTTVもコマーシャルは流したものの、未だに不発のようで、なにか現場力に問題があるのじゃないかと感じさせました。こちらも、対応機種がそろっていないなかで、派手に打ち上げ花火を上げてしまったのです。

目先でも、ソフトバンクやauに勢いで負けているのに、資金力にまかせて企業を買収したところで、それぞれを活かす名伯楽となる人材が育ってくるのか、あるいはそれぞれの事業をつなぎ、連携させ、相乗効果を生み出していくリーダーが生まれてくるのか、背伸びしていないかという懸念です。

市場の変化が激しいなかで、ぶれずに迅速な意思決定できるカリスマ型の経営者が率いる企業の好調ぶりが目立っています。企業はやはり人材が重要なので、もしそういった人材がでてこなければ、あるいは事業を構築していく現場力がついていかなければ、風呂敷を大きく広げた分だけ、迷走となりかねません。

そんな懸念を吹き飛ばすようなドコモの挑戦と進化に期待しましょう。ドコモのクラウドサービスが広がり、日本が高度なサービス化にむかって産業構造を変えていく牽引役となってくれれば最高です。