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アマゾンがビジネスをスタートさせたのは創業者のベゾスがシアトルの郊外で借りた家のガレージからです。インターネットで30%のディスカウントで書籍を売ることがヒットし最初のスタートを順調に切るのですが、アマゾンの創業時の頃についての記事がWSJで特集されていました。そのなかでこんな面白いエピソードが書かれていました。
立ち上げから最初の数週間は、アマゾンの社員全員が午前2、3時まで働いて本を箱に詰め、住所を書いて発送した。ベゾス氏は梱包作業のためのテーブルを注文していなかったため、みんなコンクリートの床に膝をついて本の梱包作業を行う羽目になった。

 ベゾス氏はのちにあるスピーチで当時のことをこう語った。何時間も床の上で梱包作業を続けた後、ベゾス氏が1人の従業員に向かって膝当てを買わなければと言ったところ、この従業員、ニコラス・ラブジョイ氏は火星人でも見るかのような目つきでベゾス氏を見たという。ラブジョイ氏はテーブルを買って下さいと、当たり前の提案をした。それを聞いたベゾス氏は「私がこれまでの人生で聞いた中で最も素晴らしいアイデアだと思った」と語った。
セールスマンの誕生―アマゾン創業の舞台裏 - WSJ日本版 - 

そのアマゾンが米国の物流センターで利用するロボットの会社キバ・システムを買収するとか見送ったとか取りざたされていましたが、WSJによると、およそ650億円で買収することになったようです。創業時にテーブルを買うことで感動したベゾスのエピソードからは考えられないような進化を遂げようとしているのです。

どんなロボットかというと、それまでは人海戦術で集めていた商品を、何台ものロボットが注文リストにある商品を棚ごと倉庫から集めてくるのです。あとはその棚から商品を人がピックアップすればいいというものです。youtubeにその様子がわかる画像がありました。たくさんのロボットが動いっていてそれでぶつからないから凄いですね。
流通業の競争というと、店舗や店舗に並んだ商品、あるいはどのようなセールをやっているか、値引き率の競争などが目につきますが、実はバックヤードの物流システムの効率性も競争力に大きく影響してきます。コンビニが、お店の在庫量を極端に減らし、配送頻度をあげることで高効率なビジネスができるのも物流システムのおかげです。

今回買収することになるキバ・システムはクレイト&バレル、ギャップ、さらにはアマゾンが2010年に買収したオンラインのおむつ販売会社ダイアパーズ・ドット・コムなど、小売業者で使われているロボットのメーカーです。ダイアパーズ・ドット・コムもこのシステムを導入して大成功し、売上を大きく伸ばしたとか。

ちなみに、このキバ・システムは確かにロボットをつくっているのですが、物流倉庫業務もそのもののシステムだということです。前者をモノづくりだとすると、後者はシステムで、両者がそろって初めて価値が生まれることの好例です。もちろん日本の製造装置メーカーも同じです。装置だけを開発し、提供しているわけではありません。制御のシステムとの組み合わせで価値を生んでいるのです。いつもこのブログで言っている「モノづくり」から「価値づくり」のひとつの好例です。

日本でもアマゾンはフルフィルメント業務(商品受注から出荷までの全業務)の代行サービスを開始していますが、こちらの記事によると、「アマゾンは他社のフルフィルメント業務を代行するサービスも拡大しており、いずれは、どこのオンライン店舗で買っても、商品はアマゾンの物流センターから発送されて来るという世の中になるのかもしれない」そうで、アマゾンにこのキバ・システムのロボットが導入されれば、さらにアマゾンの競争力や成長力が高まることは間違いないようです。
 米アマゾン・ドット・コムは今年3月、物流センター向けロボット・システムの開発会社、キバ・システムズを約7億7500万ドルで買収すると発表した。キバは2003年の創業で社員数が約300人のベンチャー企……
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