
開発やマーケティングでなにに焦点を当てるかが非常に重要になってきている時代です。液晶テレビは、技術神話が暴走し、迷走した結果がどうなるかをまざまざと見せつけた教訓です。画質や個別の機能のイノベーションの足し算で競争力やテレビの価値が高まると錯覚してしまったのが、結局は価値向上につながらず価格競争に巻き込まれてしまいました。そして競争に敗れたのです。その液晶テレビはインターネットと融合したスマートTVの時代へと移ろうとし始めてきています。
そのスマートTVでちょっと衝撃的なニュースがありました。中国のTCLは、すでにアンドロイド搭載のテレビを発売していますが、そのTCLのスマートTVをIKEAが「UPPLEVA」のブランドでもうすぐ売り出します。それだけではなく、次のTCLのスマートTVには、すでに日本でも発売されているLGの製品と同じく、Hillcrest Labsのモーションコントロール向けソフトウェア「Freespace」が搭載されていて、リモコンを画面に向け動かすだけでチャネルも切り替わるのです。
驚いたのは、その開発スピードです。そして、スマートTVになると、いまでも録画も含めると煩雑なテレビのリモコン操作がさらに煩雑になってきます。当然、リモコンのイノベーションが必要になってくることは言うまでもないことです。日本にもリモコンのイノベーションの事例としてWiiがあったにもかかわらず、日本の家電はそのチャレンジに遅れてしまったのです。同じ業界しか見ていないからでしょうか。
なぜ日本の液晶テレビが、非常に狭い視野の「モノづくり」で暴走してしまったのでしょうか。おそらく、現代は価値革命の時代だということへの理解が乏しかったのではないかと思います。
この「モノづくり神話」は家電だけの病気ではなく、いまだに、日本は「モノづくり」を極めていけばいけるという人がいるのです。もちろん「モノづくり」の技術が重要なことはいうまでもなく、日本は「モノづくり」を放棄してしまった英国のようになっては日本の独自性が失われてしまいます。
今でも「モノづくり」が日本を救うという神話を広げる罪づくりな人たちがいます。しかし「モノづくり」という言葉がよくないのは、「モノづくり」というと、たいていは東京の大田区や関西の東大阪などの高い技術をもった町工場がクローズアップされます。多くは特殊な部品の製造技術で、規模は小さくとも世界をリードしている会社です。だから「モノづくり」だとなります。
「モノづくり」の技術で世界をリードしているそういった会社は立派だとしても、それと同じようにできる分野は限られています。価値革命の時代に、日本を「モノづくり」の世界だけに閉じ込めることは、日本の成長力や競争力を失わせることになってきます。
現代は、モノづくりにとどまらず、さらにソフトウェア、ビジネスのしくみなどの組み合わせでイノベーションを起こし、価値を劇的に向上させたところが成功する時代です。家電で言えば、炊飯器でも、半導体チップでコントロールされてはじめて美味しく炊ける時代なのです。モノとソフトが組み合わわされています。デジカメでも、CCDやCMOSなどのイメージセンサ−の技術、レンズなどの光学技術、そして画像処理のソフト技術、さらにブランド・マーケティング技術などを組み合わせた総合技術が求められるから、途上国製品にはまだ負けていないのです。
これからは、モノづくりでは、どんどん中国にもキャッチアップされる分野が増えてきます。戦略はいかに競争を回避するかの知恵であり、そのためには、日本はもっと「価値革命」を起こすイノベーションに焦点を当てるべきなのです。
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