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出版業界が与野党の国会議員を導入して、若い世代がビジネスを起こすチャンスを摘み取ろうとしているなあと感じるのが、出版社の著作隣接権です。 政府の知的財産戦略本部(本部長・野田佳彦首相)は出版社に著作権に準じた著作隣接権を与える方針だといいます。
本の電子化促進へ 出版社に著作権に準じた権利  :日本経済新聞 :

ちなみに、著作権はコンテンツを生み出す作家がもつもので、著作隣接権は、音楽ならバックのバンドとか、CDを制作したレコード会社などに与えられるものです。出版社に著作隣接権を与えるということは、作家の作品を電子本にしようとしても、作家の許可だけでなく、出版社にもお願いして許可をとらなければなりません。出版社が電子出版を囲い込んでしまえることになります。

さっそく池田信夫さんが、「出版社に隣接権を認めると、一つの本に多くの権利者が拒否権をもつアンチコモンズ状態になって、電子出版は止まってしまうだろう」と警告されています。平ったく言えば、あんたら若い世代にはこのビジネスチャンスはそうそうかんたんに渡せない、出版社側で紙の書籍の販売状況と見計らいながら、書籍の電子化はこちらがコントロ−ルさせてもらいますよということです。
池田信夫 blog : 電子書籍を「アンチコモンズ」にするな - ライブドアブログ :

ちょっと考えて欲しいのは、産業はそういう方法では発展も進化もしないことです。たとえば、百貨店もスーパーに手をつけたのですが、結局はスーパーを成功させることができませんでした。あの世界の小売業界の巨人ウォルマートも、インターネット通販強化に幾度もチャレンジしていますが、アマゾンの足元にも及びません。なぜなら古い産業で蓄積された発想から抜け出せないからです。スマートフォンを広げてきたのも、それまでは携帯ビジネスとは無縁だったアップルやグーグルの参入があったからです。

作品のリッチコンテンツ化でより魅力的にするにも、どうやってプロモーションを行うのか、販売するサイトをどうつくるのかなどの新しいアイデアは、異なる業界、異なる経験をもった新しい勢力と既存勢力が競いあう中で生まれてきます。電子書籍という書籍の新しいアウトプット方法と新しい流通方法が今後普及していくわけですが、どうやって新規参入を促進するかも重要な課題です。しがらみのない、まっさらな企業群が登場して、新しいチャレンジがあってはじめてイノベーションも起こってきます。

著作隣接権へのこだわりは、いまのままではアマゾンやアップルに流通を抑えられてしまう、だから著作隣接権でアマゾンやアップルからカネをとろうというへっぴり腰の発想にも見えてきます。さらに発想の影には、黒船が怖い、黒船に市場をごっそり持っていかれては生きていけないという消極的な態度が見え隠れします。保護を受けた産業が発達するわけなどなく、そういった保護政策で日本のコンテンツ産業の発展を阻害することだけはやめるべきです。

もっと大志を抱こうよ。出版業界のみなさんが大志を抱けないのなら、高いチャレンジ精神をもつ世代に道を譲ればいいじゃないかと感じてしまうのです。

池田信夫さんは、日本の場合は著作権が強すぎるために、著作権をゆるめてより自由に出版できるようにして、作家さんには報酬請求権を与えてはどうかというアイデアをだされていますが、どうなんでしょうか。それも面白いとは思いますが、売れるという実績が生まれ、作家さんにとっても有利だとわかれば、電子出版にももっと積極的になるのではないかと感じます。

いずれにしても、そのほうが普及を促進するという口実で出版業界の利益から出発する議論というのは筋が悪く、野田内閣も「国民第一の政治」の御旗を捨てていないのなら、読者がより手軽に読書を楽しめる権利をどう広げるのか、目が不自由になってきている高齢者の人がより快適に読書を楽しめる環境をどうつくるのか、子供たちがよりリッチなコンテンツに親しめ、より高い感性を育てるためには電子書籍をどう活用するかに焦点を当てた議論、ユーザーから出発する発想に切り替えてもらいたいものです。

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