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最近、コンビニやスーパーに行くとPB商品が増加していることに気がつきます。PB商品は、消費者にとっては価格が安いことが魅力で、小売業にとっては粗利率が高いことが魅力です。ようやく日本にもPB時代がやってきつつある兆しを感じます。

イオンのトップバリューの2012年2月期決算では「トップバリュー」の売上高は5,273億円で前期比が117.5%と伸びています。総合スーパー事業、スーパー事業、ミニストップを合わせた営業収益が4兆501億円なので、小売部門でのPB比率は13.0%となります。

セブン・イレブンやヨーカドーを展開するセブン&アイ・ホールディングも2012年2月期決算によると、「セブンプレミアム」の開発および販売に注力した結果、売上が伸び、連結で販売額が4,200億円に達しています。コンビニエンス事業、スーパー事業、百貨店事業の営業収益が4兆5,834億円なので、PBがその9.2%です。

PB比率から見ると伸ばしてきてはいるけれど、PB比率が30%とか40%、またそれ以上というのが普通の欧米の小売業と比べるとまだかなり低い水準で、PBについては、まだまだはじまったばかりでこれからという感じでしょうか。しかし逆に言えば、まだまだ伸びしろが大きいと感じます。日経の記事によると、イオンは、2012年度中に、PBの生鮮品を現在の2倍の600品目に増やす計画で、セブンアイも追随する動きのようで、生鮮分野の強化も急いでいるようです。

ただPBについては日本の小売業が超えなければならない壁もあります。

ひとつは開発力です。日本の小売業は企画力があっても、人材やノウハウを含め開発力が備わっているとはいえず、結局はサプライヤーにおんぶにだっこということも起こってきます。それではただサプライヤーに製造を委託し、仕入れるだけで、持続可能性のある低価格で高品質な商品を供給する体制や体質は育ってきません。

もうひとつは、リスクを負う体質が持てるかどうかの壁です。リスクを負うから企業の体質も鍛えられ、産業として進化していくこともできるのですが、下請けいじめで、仕入れ価格を抑えるだけでは、品質を維持しながらも価格を下げる仕組みを生みだすことにはつながりません。

実際、PBブームの裏で下請けいじめが起こってきているようです。PBの製造を委託する場合は、下請け法の規制対象となっていますが、5年前の2006年には小売や卸業で勧告を受けたのは1社だけだったのが、昨年は10社に増え、今年に入ってもすでに靴専門店のチヨダや100円ショップのダイソーなど4社が勧告を受けています。PBといいながら、店舗の改装・閉鎖にあわせて在庫を引き取らせることなどは、結局は自社の体質を甘くするだけでなく、モラルさえ問われます。また独占禁止法の優越的地位の乱用では、今年2月に措置命令を受けた家電量販店大手エディオンの課徴金は約40億円で、純利益の半分近くが吹き飛んでしまっています。
そういったあきらかな違法でなくとも、大手の流通業のPB商品のサプライヤーからも恨み節が聞こえてくることがあります。
小売りのPB開発競争に潜む 下請法違反の大きな落とし穴|inside Enterprise|ダイヤモンド・オンライン :


ただ店舗を構え、商品を仕入れて売るだけでは、世界の小売業と比べると古い経営で、低利益型の産業で終わってしまい、産業として進化することができません。これから抜け出す鍵を握っているのは、結局のところ自らリスクを背負う覚悟や体質を持てるかどうかです。残念ながら、日本の小売業は規模が拡大し、購買力が高まったために、仕入れ価格を叩く体質が染みこんでしまっているように感じます。そこから早く卒業してもらいたいものです。

日本の小売業の多くがアジア市場など海外展開を積極化していますが、グローバル化のなかで面を広げ、売上規模を追求するだけでなく、商品企画・開発、生産、物流、販売、サービスを統合した仕組みの進化が起こってくれば、小売業の高付加価値産業化にもつながり、それが産業地図を変え、消費者の利益にもつながってくるはずです。

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