日本の企業の多く、とくに家電は横並び競争を続けるうちに、世界の新たなプレイヤーの台頭によって競争力を失い、まるでインフルエンザにかかったように同じ症状に苦しんでいます。
横並び競争の特徴は、同業のライバルを意識しすぎること、同業のライバルとの相対的な優位を追求しすぎるあまり、結果としてしだいに小さな差別化しかできなくなり、独自の価値を生み出せなくなってしまうことです。違いをつくろうとすればするほど同質化にはまっていきます。他社がやっているから、当社も手がけるという意思決定からは、イノベーションが入り込む余地はありません。
今の政治を見ていると、自民党と民主党の二大政党間で、この同質化の病にはまってしまったように見えます。本質的な差がなくなり、野党の自民党は与党の政策の一貫性や実行力のなさ、閣僚の資質などをめぐって攻撃する戦術をとっています。また内閣支持率の低下によって、政権復帰の希望がみえてくるに従って、その戦術がエスカレートしていきます。
そして近親憎悪の感情が高まり、自民党の国会議員で将来の活躍を期待されているような人でも、閣僚の失態に対して怒りのツイートを頻繁に発するのです。そういったことは、ご本人がやらなくともマスコミが格好の材料として取り上げるので、もっと違うポジションをとったほうがいいと思うのですが、それも能力や資質の限界なのかもしれません。
与野党間で、そうやって非生産的な政局を展開すればするほど、どちらも国民からの信頼や共感が失われていきます。比較広告が盛んで、ライバルを叩くことが常態化してしまったアメリカで、結果として、消費者の9割以上が広告そのものを信じなくなってしまったことにイメージが重なります。消費者や顧客よりは、ライバルとの横並び競争をマーケティングの基軸に置いてきた企業の失敗もそれと同じで、結局は独自価値の創造や際だった差別化ができなくなってしまったことも同じ現象といえそうです。公明党は、自民党との融和が進み、もう同じ穴の狢となってしまったので、政局で有利な選択をするしか道を失ってしまっています。
問題はみんなの党です。みんなの党の掲げるアジェンダは、個々の良し悪しは別にして、民主党や自民党とは一線を画しているように感じます。しかし惜しいのは、競争戦略の位置取りを間違ってしまっていることです。企業間で言えばシェア競争の結果あらわれてくる状況変化、つまり政局を見すぎているのです。
だから埋没するのです。数の論理でいうなら、政権を取るかどうか、つまりトップシェアを競いあうまでの規模を得ていないにもかかわらず、与野党の抗争に巻き込まれ、自民党と同じスタンスで批判を繰り返しています。離れて見ていると、なにか不満、愚痴ばかりを言っているお年寄り政党に見えてしまうのです。そこに次代を担う新鮮なイメージはまったくありません。
与党への批判は簡単です。いくらでも民主党政権は批判材料を提供してくれています。批判することは、闘った気分になり、気分は高揚するでしょうが、しょせん自己満足に過ぎません。
民主党や自民党が発想できない新しい主張を根気よくつづける方がはるかに思考力や創造のエネルギーが求められるのですが、それに耐える我慢ができないのでしょう。そう考えると、もう渡辺党首や江田けんじ幹事長はいかにも上から目線、また古い政治家の体質を感じさせてしまっているのが残念なところです。
しかし、解決はいとも簡単です。他の政党への批判を自ら封じることです。むしろ、今の国の統治のあり方や、しくみの限界を徹底的に国民にむかって訴えれば、それに共感してくれる国民も増えます。それは橋下市長がとっている手法そのものです。だから人気がでるのです。お気づきだと思いますが、橋下市長は、政党すべてに「さん」づけです。局面に応じて、どことでも手を組む余地を残す意図がよくわかります。
他の政党の批判を止めれば、訴える対象は国民に絞られてきます。他の政党への批判を止めると、局面、局面でなにを訴えるかにも知恵と計算が必要になってきます。仮想敵をどこに置いて語るかも違ってきます。新しい価値観の主張が今よりも必要になってきます。
他の党を批判することは、結局はそういった本道から逃げていることだと早く気がついてもらいたいものです。政党間の競争もマーケティングの競争そのものです。マーケティングの世界は規模をめぐるシェアの競争から、しだいに消費者や顧客に、いかに新しい価値を提供する能力があるのか、またより価値を高めるイノベーションを起こせるのかに移ってきており、その勝者が市場を支配するのです。
多党批判を自ら封じ、国民が新鮮だと感じるメッセージを生みだすことに専念すれば、きっと新しいタイプの政党として進化し、着実に国民からの共感や指示を広げていけると思います。
とうぜん、このことは自民党にも当てはまることですが、政権復帰が目の前にちらつき、それに囚われている自民党、また戦闘大好きという議員さんが多い体質では、なかなか取れないスタンスなので、ぜひみんなの党に頑張ってもらいたいところです。政党間でもっと切磋琢磨の健全な競争、国民にとって価値ある政策競争を望んでいますが、きっとみんなの党が変われば、他の政党も影響を受け、変わっていくのではないでしょうか。
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