報道ステーションサンデーに麻生元首相が登場し、持論を展開されていました。なかなか魅力を感じる個性的な方で、また天性の明るさは好感が持てますが、発想の古さを感じてしまいます。
GDPが、個人消費、設備投資、政府支出で成り立っており、個人消費、設備投資が減少しているから、政府支出を伸ばさないといけないという典型的なケインズ流の発想です。しかし政府支出を伸ばすためには、税収が落ち込んでいるので、再び国債の発行が必要になります。それで財政がさらに悪化することはお構いなしというのでしょうか。
それでも投資効果があればいいのですが、例として、電線の地中埋設などの公共事業をあげておられました。しかし、それは観光地としての価値を生み出し、投資に見合った収益が後に得られるのなら有効でしょうが、そうでなければ美観は向上しても、地域経済がそれで潤ってくるというものではありません。そういえば麻生政権時代に行ったエコポイントで、家電は短期的には活気づいたものの、結局は需要の先食いで終わり、いまや家電は総崩れとなってしまいました。
それらが、特定の業界への補助政策でしかなく、また「市場はしばしば企業が間違ってしまうシグナル送ることがある」といわれますが、結果としては、間違ったシグナルを人工的につくって、迫ってきていた危機的状況への対処を遅らせる結果となってしまいました。
いまだに「日銀は紙幣をもっと刷れ」という声が聞こえます。資金需要が弱いなかで紙幣を刷ったところで経済が好転するとは思えないし、また財政政策で、どこまで日本の産業の構造転換ができるのかもひとつの楽観主義でしかないようにも感じてしまいます。それなら元気がでそうという具体性が乏しいのです。むしろ、欠けているのは将来に対する希望、期待だと思います。希望や期待が持てれば、企業は投資します。そのための出口を知恵を絞って考え、閉塞感を破る政策が求められてきているのでしょう。
これまで日本は輸出を伸ばすことで、経済成長を支えてきたわけですが、その輸出に頼ることは次第に難しくなってきています。しかも福島第1原発事故のあと、電力供給に限界が生まれ、すでに東京電力が電力料金値上げを出してきたように、さらにインフラコストの上昇が想定され、高コストな製造原価をかかえて、工業製品の輸出を伸ばすということは想像しかねます。
電力料金の値上げは個人消費をさらに圧迫し、製造業を直撃します。それで途上国との競争の激しいモノを国内で製造して輸出するというのはいかにもハンディが大きすぎます。もちろん、電力自由化を推し進めれば、競争によって、価格が下がる可能性はおおいにありますが、それを実現するには時間がかかります。
日本はモノを輸出して稼ぐ国から、サービスや知的財産を輸出する国、海外への投資からのリターンで稼ぐ国へと大きく様変わりしていかなければ、経済が成長することが難しくなってきているので、期待されるのは財政出動でななく、そういった大きな構造転換をどう促すかの政策ではないでしょうか。
そうなればなるほど人材を育てる教育の充実、その課題に応える人材を生みだすことが鍵になってきます。あるいはその分野にチャレンジした起業、育ってきた産業を国際競争力がつくまで育成するしくみのほうが重要なはずです。
産業界を巻き込んで、そういった仕組みづくりをはかるのが筋だと思うのですが、政治家も、官僚も起業経験がないので、なにをすればいいかの解を思いつかないのでしょうか。
知識で限界のある中央の政治家や官僚の発想ではなく、もっと地方に自由に任せればきっと日本の成長潜在力が、それこそ現場から湧き出てくるのではないでしょうか。
アゴラで書いたのですが、復興庁の本庁を霞が関に置くという貧しい発想だけはやめてもらいたいものです。
復興庁という新たな霞が関 : アゴラ - ライブドアブログ :
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