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野口悠紀雄教授が、製造にこだわりすぎる弊害を連載でわかりやすく解説されています。非常にシンプルな問題で、野口教授が指摘されるように、「研究開発、製造、販売のどの段階の利益率が高いか」から考えれば自ずとたどり着く問題です。
(第33回)日本製造業が固執する現場信仰は正しいか?(1) | 日本の選択 | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンライン


このブログでも、幾度か「モノづくり神話」の危うさを書いてきたのですが、そもそもいったい「モノづくり」をどのような範囲を指すのかがよくわからないままに、日本は「モノづくり」に強い、だから今後とも「モノづくり」に徹すれば、日本の産業はさらに強くなるという風潮ができてしまいました。


そういった「モノづくり神話」で登場してくるといえば、他の国では製造できない高い職能技術を持ち、「モノづくり」を行なっている町工場や中小企業です。

携帯電話の電池づくりを支えた深絞り技術や、極細の注射針、あるいは絶対にゆるまないネジなど、優れたアイデアとそれを実現できる技術は素晴らしいことです。それは世界を見渡しても追随するところがないからです。小さな企業が、しっかり強みをつくり、頑張っている姿を見ることができます。しかしどの企業もそれを真似できないから素晴らしいので、一般化することはなかなかできません。

町工場や中小企業でなくとも、日本は部品や素材の世界では強い企業があります。独自の技術を持ち、世界のオンリーワン企業は、部品や素材の分野では、もっと規模の大きい企業も日本には存在しています。オンリーワンでなくとも、AGC旭硝子は板ガラスで世界トップ、富士フイルムは液晶偏光板保護フィルムで世界トップ、マブチモーターや日本電産などもそうでしょう。部品や素材型の産業は日本は今でも強いのです。基礎技術、開発技術、製造技術がいったいとなった「モノづくり」で成功している産業です。さらにかつて工業生産で日本が強みを持っていた資産は、工作機械などにひきつがれ、ファナックのように世界市場でも高いシェアを持っています。

しかし、これらの産業は日本の強みとなっているだけでなく、途上国などの海外製品の製品品質を支える産業でもあるので皮肉なものです。つまり、日本の技術が高ければ高いほど、海外製品の競争力も高くなるのです。

これらの企業は、あるプロセスを担う分野への「選択と集中」で成功した企業群ですが、いま世界で起こっているもうひとつの競争は、最終製品にいたるすべての工程でどれだけの利益を稼いだか、もっとも利益が稼げるプロセスをどれだけ抑えたのかの競争です。そうなってくるとどのプロセスで優位にたつのか、またどのプロセスを組み合わせることがもっとも競争力と、収益力がでてくるのかが焦点になってきます。

ここで先ほどの、野口教授の「研究開発、製造、販売のどの段階の利益率が高いか」の問題に戻ってきます。日本の多くの企業に欠けていると指摘されてきているのはこの視点です。

時計の世界が分かりやすいかもしれません。日本のセイコーは、正確で狂わないデジタル技術を確立し一時は世界で躍進しました。しかし今はどうでしょう。時計の市場で伸びており、高い利益を稼いでいるのはスイスです。セイコーは、途上国製品からの追随で価格競争に巻き込まれ挫折してしまいます。

スイスの時計も職人的な技術で支えられていますが、「モノづくり」の職能技術だけで完結させているのではなく、それを付加価値として活かすマーケティング、とくにブランド化で成功しているのです。

液晶テレビも「モノづくり」にこだわり、すべてを自前技術でやろうという罠にはまってしまいました。日本の携帯が世界市場で競争力を失った大きな原因のひとつだったにもかかわらずです。今や、稼ぎに稼ぎ、手元資金が8兆円に近づきつつあるアップルは、開発は行いますが、利益の薄い製造はすべて製造委託企業に任せています。
製品やビジネスとして、重要なところ、また稼げるところを選択し、そこに集中しているからです。

話はつきませんが、興味のある方は野口教授の連載をお読みになることをオススメします。


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