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家電業界のパナソニック、SONY、シャープ3社が、とうとう、来るべきところまできてしまったようです。

海外市場では、韓国、台湾勢に敗れ、国内市場も地デジ化、エコポイントでの買い替えが終わり、その反動がくることは外野席から見ればわかっていたことです。
液晶テレビ。需要の先食いなら、その先はどうする?

日本の薄型テレビの先行きが怪しいと感じたのは、2007年末でした。すでに海外ではサムスンとの競争での敗色が濃厚になってきたところに、突然、台湾資本のベンチャーVIZIOが低価格を売り物に全米のクリスマス商戦でトップに踊りでた時点です。
 日本の薄型テレビは生き残れるのだろうか-


それは日本の企業が真剣に危機を感じなければならない決定的な兆候でした。それまではサムソンのマーケティング力に敗北してきたのですが、さらに厳しい価格競争をテコにした新しいライバルが登場したのです。
それはさらに価格競争の時代、製品がコモディティ化し、市場のスラム化ともいえる時代が始まることを告げる決定的な出来事でした。

どこに活路を見いだすのかが問われたのですが、あいかわらず性能を高めれば生きのこる場所があるという楽観主義、また「モノづくり」発想が、未完成な技術でしかない3D技術に走り、「ポスト液晶テレビ」への移行を遅らせてしまったようです。3Dではなくリモコンに焦点をあわせると開発も変わると書いたことがあります。リモコンのイノベーションから発想するとさらにその先も見えてくるからです。

液晶テレビは、3Dをやめてリモコンを進化させれば革命が起こる - 


そもそも開発にも、製造にもかかわったことのない評論家が日本は「モノづくり」で生きていけるなどと吹聴するものだから、よけいに判断を間違えたのかもしれません。「モノづくり」ではなく、ユーザーにとっての「価値づくり」、究極はユーザーの「感動づくり」を目指せといいたいところです。もちろん業界によっては、「モノづくり」の技術が「価値づくり」に直結するところもありますが、それがすべての業界に通用するものではありません。

薄型テレビが典型ですが、「モノづくり」競争には罠が潜んでいます。「モノづくり」には、国境がなくなってしまい、しかもプレイヤーがいくらでも入ってこれる状態で、限られた市場を分け合わなければなってしまいました。

新しく参入してくる新興国のプレイヤーは、一世代古く、安い価格で手に入る製造設備でつくれば、投資も少なく、また製造にかかわる研究開発費もほとんど不要です。しかも一世代古い設備でつくる一世代古い製品でも、消費者は満足します。製品そのものが成熟してしまうと、いくら技術を極めたところで、それが大きな違いとして認められなくなったからです。

さらに、製造を受託することに徹した企業がいて、こちらは安い労働力を使い、製造コストが安いために、価格競争に生き残ろうとすれば、結局はそこに委託せざるを得ないことにもなってきます。そうするとますます違いをつくるためには「モノづくり」ではない次元にいかなければならなくなります。

世界の競争の焦点は「モノづくり」ではなく「価値づくり」に移ってきています。たとえば医療分野を考えると分かりやすいと思います。「高度な性能」を持った検査機をつくろうというのが「モノづくり」発想。しかし実際には、それだけでは不十分のです。結果を解析し診断をサポートするソフト、さらにさまざまな検査例などの情報提供ができてはじめてビジネスとして成り立ちます。こちらは「価値づくり」です。

面白い例があります。できるだけ初期の小さなガンを発見するために、解像度を高めることで解決しようとチャレンジしてもなかなか成果がでなかったのですが、これが典型的な「モノづくり」の発想です。しかし実際に成功したのは、偵察機が隠れているミサイルなどを発見するためにやっていた、画像パターンの変化で、そのパターン認識技術を応用して大成功しました。モノからだけではないアプローチの組み合わせが成果を生んだということです。

では薄型テレビはどうすればいいかですが、スラムとなってしまった市場から引越しするしかありません。スラムとなった市場は熾烈な生存競争となります。つまり逃げるが勝ちです。テレビ番組を見るだけの装置からの決別であり、卒業です。

液晶テレビは逃げ足の速さが勝負になってきた 


そのためには、たとえ小さくともなんらかの強みを生かせ、競争のない、あるいは強い相手がまだいない分野をみつけることが王道でしょうが、問題がふたつあります。
いったい、品質や性能、また機能といった、もはや差別化にもならない「モノづくり」技術以外に、なにか強みを持っているかという点と、これまで横並びで競い合ってきた人たちが、いきなり未知数の市場を拓くリスクにチャレンジすることができるかという問題です。

その点ではSONYが多い切った経営者の若返りをやったこと、しかも「モノづくり」の宗教にとらわれるキャリアでないことは、期待を感じさせてくれます。ぜひ大きく構造転換、戦略転換をやってもらいたいものです。

もうすこしすると、スマートTVの時代になっていきますが、しかし主役は「モノ」をつくる業界ではなく、コンテンツを提供する放送局とか、スマートTVを支えるしくみとしてのプラットフォームを提供するプレイヤーになってきます。日本でも、民放各社と電通のビデオ・オン・デマンドにむけた取り組みに、NHKも加わり、スマートTV時代も、いよいよ現実味がでてきたわけですが、家電業界がどの程度主導権をとれるのか、存在感を示せるのかは未知数です。

さあ、家電各社はどこに漂着しようとしているのでしょうか。しかし、まずはスラム化した市場から抜け出すことを決めなければ、行き先を見つけることも難しく、勇気ある撤退、新しい市場づくりに期待したいところです。


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