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今朝の勉強会の講師は、「ソーシャルメディア進化論」の著者であるエーベック研究所の武田隆さんでした。分かりやすいお話で好評だったと思います。お話のなかで、新鮮だったのはソーシャルメディアが、ブランドや商品を「我がコト」化させ、輝かせるということでした。

ソーシャルメディア進化論
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一例として、花王の企業ウェブで運営されているソーシャルメディアでの「ハミング」の話をされていましたが、いくら、他社の洗剤、あるいは自社の旧製品よりも洗濯した仕上がりがフワフワ感があるというメッセージを流したところで、なかなか心には響きません。しかし、そのソーシャルメディアに参加したあるママさんからの、「洗濯物がふんわりすると家族の顔もふんわりする」という書き込みがあり、その言葉が多くの人たちの共感を呼び広がったというのです。

消費者やエンド・ユーザーにとってどんな意味があるのか、その意味が見出され、また実感された時にはじめてブランドや商品が「我がモノ」となり、また「我がコト」になって、はじめて価値が生まれてきます。

「我がコト」化は、大きな時代の潮流だと思います。

工業化の時代は、便利さを広げ、また生活領域を広げてきましたが、失ったものもあります。売り手と買い手の間で、お互いの顔がつきあわせ、会話を通して、それぞれのお客さんにあった仕立てを行なう売り手と買い手の関係です。

情報技術は、その工業化によって失われた世界を取り戻す方向で動き始めていると感じるのです。たとえば、受注や製造の情報化によって、顧客にあわせて製品のカスタマイズを行って提供するビジネス・モデルも生まれました。スマートフォンにインストールしているアプリは人によって違っていて、同じスマートフォンでも、働きは別物です。まして同じ音楽も入っていないし、撮った写真も違います。こちらは製品とサービスの組み合わせで「我がモノ」化「我がコト」化が行なわれます。かつてマーケティングでも「ワン・ツー・ワン(一対一)マーケティング」という理想が掲げられたことがありますが、現実がそれに近づいていっていると感じます。

企業と消費者の間のコミュニケーションの世界も、知名度をあげたり、プロモーション効果としてはマス広告のほうが有効だとしても、それは一方通行という限界を持っています。ソーシャル・メディアは、企業とエンドユーザー、さらにエンドユーザーとエンドユーザーのつながりを生み出し始めています。さらに、エンドユーザーにとってなにが「我がコト」なのかを企業に教え、発見させてくれるメディアともなりつつあります。

機能とか性能をいかに巧みに語ったとしても、それだけでは感動がなく、商品やサービス、またコミュニケーションを通して、いかにそれぞれの人にとっての意味を提供できるかが重要になってきているのです。


いくら立派な「ものづくり」を追求しても、その技術が「我がコト」化できなければ、それが成り立つのは部品や素材などの産業に限られてしまいます。人とモノの感動する出会いはオーケストラの演奏に似ています。人が感動するのは楽器の演奏技術だけではなく、指揮者の哲学や感性、また臨場感あふれる体験で心が揺さぶられ、「我が演奏」となってはじめて感動が生まれてきます。

お客さんひとりひとりにとって「我がコト」になるまでに仕上げるために、高い「ものづくり」の技術も必要になってくるのです。それはオーケストラで高い演奏技術が必要なのと同じです。

とくに日本にはひとりひとりのお客さまを大切にする「おもてなし」の文化、伝統があり、この古くて新しい売り手と買い手の関係を理解することは難しくないと思います。

大阪のダブル選挙は、高い得票率がありました。市長選は60.9%、知事選は52.9%でした。市長選で60%を超えたのは40年ぶりです。それも市民や府民が、「我がコト」と感じたからでしょう。
同じ改革でも、小泉さんの郵政改革はとっぴょうしもなく、郵政改革は多くの国民にとっては「我がコト」でもなく、また改革の本丸でもなんでもない各論でしかなかったのですが、改革を求める国民の意識にうまく乘り、利用することに成功したものでした。

しかし、今回は自分たちが暮らす大阪の体制を変えるか変えないかは、どうも「我がコト」に関係していると感じた人が多かったのでしょう。それが関心を高め、また維新の会の勝利につながったのだと思います。それだけに、維新の会が自民党や民主党のように期待を裏切ると、自民党や民主党にむかった反動よりも大きくなることは想像に難くありません。

それなんの意味があるの? その問いかけが売り手と買い手、また政治家や国民の間でもっとかわされること、それが波紋のように広がっていくことを期待したいと思います。

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