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橋下さんのキャラクターをいろいろ問題にする人も多いのですが、維新の会が大阪のダブル選挙で勝利したことはよかったと思います。今回の維新の会の勝利は、まだ大阪にも「やってみなはれ」の精神が残っていたということだと受け取っています。

以前東京のテレビ局からインタビューを受けたときに、平松さんが勝つと、大阪のみならず、近畿圏復活のチャンスを失い、さらに地盤沈下が進み、そしてやがては日本の大きなお荷物になるだろうと言ったことを憶えています。当然その部分はオンエアー時にはカットされていました。

平松さんでは、なぜだめなのかですが、アジアのなか、さらに世界のなかで、大阪がどのようなポジションを獲得し、なにのセンターとしての魅力をもつのかの戦略構想もなく、ただ今の体制を維持しつつ、そのなかで改善をはかっていこうという主張しか感じられなかったからです。

さらに悪いことに、今回のダブル選挙が象徴していますが、組合をはじめ、ご当人達はそれが既得権益だと思っていないのでしょうが、体制を維持することがそれぞれのハピネスになると考えている組織にがんじがらめになっていたわけです。

反橋下キャンペーンは、異常さが際立っていました。ファシズムの言葉まで飛び出し、選挙期間中にもブログ論壇で平松陣営の代理戦争よろしく、橋下批判をつづけていた人がいました。それは、選挙違反にならないのかとツイッターで軽くメッセージを送ると、即座に帰ってきたのが、選挙違反ではない、名誉毀損だというメッセージでした。
書いた人は、弁護士資格をもっている人だけに、それは脅しだと受け取られてもしかたなく、批判を脅しで刈りとろうとする態度に、どちらがファシズムなのかを疑ってしまいました。選挙戦中に配布された反橋下の怪しげなチラシもありましたが、逮捕者がでるのではないかとすら思ってしまいます。

橋下さんの言動に過敏に反応する人がいます。ひとつは左翼系、組合系の人です。その人たちがファシズムだと決め付けるのはよくわかります。レッテルを貼って、相手の主張をつぶすのは左翼の伝統的な手法だからです。自民党や民主党もとんでもない人たちと手を組んでしまったものです。

もう一方で大阪人の文化や気質が理解出来ない人たちがいます。「独裁」という言葉がでても、大阪人なら、まあしっかりリーダーシップをって頑張れよという程度にしか受けとめません。しかしそうでない人は、額面通りに受けとめ、まるでファシズムだと感じてしまいます。大阪人からすれば、まあええやないかです。許容度が大きいのです。

大阪、あるいは近畿圏は歴史的にも大陸や半島の文化の影響、人材交流を通して多様性のある文化を築いてきたからでしょうか。もともと自由な商人の気質があり、しかも、明治以降、とくに戦時体制で強まった中央集権体制から距離がはなれていたことの影響も大きいかも知れません。
管理されることが嫌いで、平気で赤信号を渡るので、他の地方の人からの顰蹙を買うのですが、パリに行けば同じ光景です。車が通っていないのに、赤信号で待っていると怪訝な顔をされるのが落ちだという国は多いのです。

東京でも、電車のなか、店のなかで、大きな声で会話している人たちは関西人が多いのです。百貨店でも値切るというおばさんは、TPPの交渉団に加えてもいいぐらいです。

権力に従順に従わない、そんな大阪人がファシズムを許すわけがありません。やってみなはれ、しかしだめだったら次は選挙で落とすというのが大阪人です。橋下さんも、松井さんもきっとよくわかっていらっしゃることは、選挙の後の会見でも窺えます。

古くは堺港は貿易の拠点として栄え、また現在も大阪は在日朝鮮人、在日韓国人の数では日本で最大だと思いますが、鶴橋の商店街では、いまでも店員さんどうしの会話はほとんどが朝鮮語です。大正区の人口の四分の一は沖縄出身者で、いまでも沖縄の文化が継承され、それも大阪の個性となっています。多様性があり、そんなことをいちいち考えていたら大阪ではなくなってしまいます。
雑多な猥雑さ、多様なことが大阪の特徴であり、海外、とくにアジアの多様な文化を受け入れ吸収する懐の深さをもっていることが大阪の潜在力です。

人の悪口、批判だけを叫ぶのではなく、潜在力を持ちながら低迷している大阪は、どうすれば危機的な状況を克服できるか、いや大阪に限らず、日本の国のカタチやあり方にどう変えればいいかをもっと互いに議論し合わないと、大阪都構想も、地方主権の再構築もままなりません。

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 官僚が全国津々浦々まで支配している日本の異常さにももう慣れっこになっている人が多いと思いますが、奇妙な国です。欧州の国家にも匹敵する大阪が、官僚の統制のなかでしか動けないということに疑問をもたなければ、大阪は日本の官僚社会主義の犠牲者にまっさきになってしまいます。

人にはそれぞれ意見もあり、橋下批判もいいとは思うのですが、官僚のしかける罠にはまらないように注意しておきたいものです。