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原子力発電は、安全性の見直しと国民や地域の納得が得られないと定期点検にはいった原発の再稼働すらおぼつかない状況のままです。どうなるのかはわかりませんが、場合によっては止まってしまうこともありえます。
止まらなくとも、安全性の見直しによって、いくつかの原発が廃炉になる可能性もあり、原発による発電量は減少することが想定されます。

急場を天然ガスによる火力発電に頼るとしても、天然ガス輸入によって発電コストが上昇することは避けがたく、福島第一原発事故補償などを加えた国民負担が増加する、つまり電気料金値上げという現実がやがてつきつけられてきます。もし円安にでも振れたら、さらに発電コストはあがります。

現在は、原価の上昇分を料金に転嫁することを認めている「原価総括方式」については、有識者会議で精査されていて結論は年越しということですが、いずれにせよ電力料金値上げ申請が行なわれ、東電に限らず全国に飛び火していくことになりそうです。

天然ガスを当面としたのは、いまはTPP問題で農水省や農協などは、食料自給率を盾に反対の動きが活発ですが、食料は、土地と水と人、さらに技術と需要さえあれば、輸入が途絶えたり、その他の原因で価格の高騰が起こったときには、国内生産でも採算がとれるようになってなんとかなります。

しかし、エネルギー資源はそうはいきません。2008年の原子力発電を含めるとエネルギー自給率は18%ですが、原子力発電を除くとなんと4%にまで低下しています。データを鵜呑みにできるかどうかは別としても、食料自給率より、はるかに自給率が低いことは想像に難くありません。
図録▽主要国のエネルギー自給率とエネルギー効率

供給が不安定になる、さらに価格が高騰する、最悪は輸入が途絶えると、日本はたちまち立ちいかなくなってしまいます。外交上も供給国に対して弱みをもつことになります。日本はエネルギー確保で大きなリスクを抱えた国だということはもっと強調されてもいいのではないかと感じます。日本が第二次大戦に走ったのも石油を遮断されたことが大きな原因です。

エネルギーこそリスク分散する必要があるのですが、そのためには、長期的に化石燃料への依存率を下げていく必要があり、発電に関しては、原発がどうであれ、自然エネルギー利用を増やしていくことに異論を持つ人はいないと思います。

ただ、それはすぐさま達成できる話ではありません。いくつものイノベーションを重ねてはじめて現実的になってきます。つまり非常に長期的なエネルギー政策や、さまざまなイノベーションが起るしかけづくりが重要になってきます。発送電の分離も、長期的なエネルギー開発を促進するしかけとして十分に考えなければなりません。

電力会社がすべての主導権を握る状況のままでは、通信キャリアが主導権を握った日本の携帯がイノベーションに遅れ、世界で敗北していったのと同じ構図になりかねないのです。独占企業からはイノベーションを起こす強い動機が生まれて来ません。自らが投資したことをゼロにしてしまうイノベーションのダイナミックな創造的破壊は、電力会社にとっては脅威であり、それを排除しようとするのは当然の原理です。

大きなイノベーションは周辺から起こってくるものです。周辺の企業が参入できるしくみが重要です。

太陽光発電もそのひとつの選択肢でしょうが、発電効率の低さや天候で左右されることを考えると本命とは言いがたいのが本当のところでしょう。しかも太陽光パネルを製造するためにはたくさんの電力が必要だということもあまり触れられていません。

太陽光発電のほうが馴染みがあり、分かりやすいからでしょう。神奈川の黒岩知事も、選挙公約で「4年間で200万戸の太陽光パネル設置」を掲げ、テレビでも熱のこもった話をされていて、ずいぶん軽いなあと感じていましたが、「忘れてほしい」などと述べて、事実上撤回したようです。

冷静に考えれば、補助的な発電方式でしかないことはわかるはずです。またそうとうイノベーションが起こらないと費用対効果もあがってきません。

またソフトバンクの孫社長が、20メガワット級の発電所を全国に約10カ所建設する「メガソーラー構想」を『電田プロジェクト』としてぶちあげ、それに全国の知事さんから期待が集まりました。

しかし、発電した電気の全量買取りは決定したものの、価格が決まっておらず、ソフトバンクとしては価格が決まっていないところに事業投資はできず前に進まないのでしょう。どうも当初に思ったほどは、この事業が甘くないと知事たちも考え始めたようで、『電田プロジェクト』にも黄色信号が点滅し始めているようです。

思いつきもいい場合もありますが、あくまで補完的な発電方式でしかない太陽光発電に、みんなが殺到することが避けられそうなのは結構なことです。

原発反対の声をあげることはたやすいのですが、では日本の将来世代も安心して暮らせ、仕事ができるエネルギーのインフラをどうするかをあわせて考えないと本当の解決にはなりません。

経済や社会が高度化してくると、しだいにさまざまな要素が複雑に絡んでくるようになり、多くの問題が、あちらを立てれば、こちらが立たずのいわゆるトレードオフになってきて、そのなかでの選択が迫られるようになってきます。しかも選択の結果が吉とでるか凶とでるのかも不透明な問題が増えてきます。だから、どう決断するかだけでなく、さまざまなシナリオを想定して、問題が起こったときにどう対処するかの重要度も高くなってきています。

TPP問題もそうです。原発問題もそうです。だから情報も議論も透明にして、リスクも課題をも明確にして、国民の合意を得ることがますます政治には求められてきます。TPP問題もそいういう意味では、議論が巻き起こったことはいいことだと思います。

しかし、問題の重要性からいえば、電力をどうするのかの議論をもっと巻き起こしてもらいたいものですが、どうも票や利権がからまないと動く政治家もすくないのでしょうか。
 
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