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TPP問題で気になるのは、農業利権関係者と思える人たちが悪質な言動を流し始めていることです。


マスコミはじめ多くの人たちが信じこまされてきたのが巧妙な食料自給率問題というキャンペーンでした。ほとんどが日本ぐらいしか採用していないカロリーベースで食料自給率が40%を切った、日本の農業が危ないと危機を煽っているのですが、金額ベースでは、ほぼ70%の自給率となっています。このことをご存じない人が多いのですが、あれだけマスコミでも喧伝されればしかたありません。

カロリーベースの食料自給率がいかに不思議なものかはこれまでにも指摘してきたことです。難しいことは言いません。ご関心のある方は、ぜひ農水省のホームページで、「クッキング自給率」のソフトをダウンロードし、さまざまなクッキング・メニューの食料自給率を調べてみてください。
農林水産省/クッキング自給率(料理自給率計算ソフト) :

きっと変だとお感じになると思います。その直感が正しいのです。

卵って、95%以上が国内で産出されています。しかし、カロリーベースで卵の食料自給率を見ると驚きます。10%以下です。ちなみにこのソフトでやってみると「玉子焼き」は11%でした。

なぜ、そんなマジックみたいな話になるのかですが飼料です。飼料は輸入したほうが圧倒的に安いので、輸入しているだけの話で、そうなってしまうのです。

トリックは仕掛けがバレると、なにも面白くありません。食料自給率問題は飼料問題であり、米を除いた穀物問題です。

TPPはさらに食料自給率を下げる、日本の農業に壊滅的な打撃を与えると危機感を煽っているのですが、今の農政を続ける限り、TPPとは関係なく、農業は衰退の一途を辿ります。

食料安全保障というキャッチフレーズさえつければ、なにか日本の将来を考えている風に感じますが、これもかなり怪しいのです。

まずは、国際情勢が怪しくなって、食料が日本に入ってこなくなったらどうするのだ、みんな飢えるぞ、子供が飢えていいのかという悪質なデマがあります。

深刻なのは別のところにあります。そのときには天然ガスも、石油も、石炭もすべてストップして産業も生活も壊滅的な打撃を受けます。深刻な電力不足に陥り、パソコンもスマホも使えなくなります。トラックも動かず、物流は止まってしまいます。地方で米を作っても、都会には入って来ません。エネルギー自給率は10%をはるかに切っているのですから。薪でもくべて生活しますか。心配すべきはそちらのほうです。

食料は心配ありません。なぜなら日本には土地もあり、豊かな水資源があり、もっと重要なことは農業に関して高い技術があるからです。輸入できなくなれば国内で生産すればいいだけです。

国内の作物や畜産の需要が高まれば、農業で働く人の給料もあがり、お腹いっぱい食べることができるとなるという魅力もあり、働き手も農業に殺到するでしょう。

休耕田になって荒れてしまった耕作地はどうするのかも心配不要です。豚を1年ほど放牧すれば、雑草も木も、木の根っ子も食べ尽くしてきれいな農地にしてくれます。現にそうやって休耕田を農地として復活させているところもあります。


それに食料自給率が下がる原因は、日本の食生活の多様化も大きいのです。米の需要は年々減る一方で、パンを食べる人が増えています。その小麦粉は多くを輸入に頼っています。アボガドサラダにしよう、バナナもいいね、今夜はスパゲティにしよう、ピザもいい、エビフライが好きだ、朝はこんがり焼いたパンがいい、そんな誘惑に負けたら、食料自給率は下がる一方となります。つまりいいかえれば、消費者のニーズや利益は無視されているのです。

では輸入が途絶えたらどうしますか。

昔、総理大臣だった池田隼人が「貧乏人は麦を食え」と言って物議を醸しましたが、輸入が途絶え、麦の価格が高騰すれば、きっと「貧乏人は米を食え」とでも言ったのではないでしょうか。

もっと酷いのは、世界の人口が増えた、食料が不足するぞという話です。残念ながら、人口増加率よりも農業の生産性の向上のほうが上回っています。よしんば世界が食料不足になったとしましょう。それで起るのは食料価格の高騰です。海外で食料が不足し、食料価格が高騰すれば、日本は食料の輸出がさらに可能になってきます。

農業を守れと叫んでいる人はいったい日本の農業のなにを守ろうとしているのでしょうか。農協でしょうか。農村票でしょうか。そんな人たちではなく、優れた農産品を育て、売れている作物をつくっている人、農業をこれからやりたいという若い人たちや農業に参入したいという企業から意見を聞き、日本の農業の活性化と発展の道を考えるべきです。

そうそう、中国の米が高騰し、日本の米との価格差はかなり接近しつつあるようですが、カリフォルニア米が安いから日本の米が危ないということがいわれています。たしかにカリフォルニア米は安いのですが、米の輸入価格を意図的に海外の品質の低い米と比較しているデータも多いので話が混乱しています。それに、良質米なら高い価格で売れる日本の市場で、業者が現地と同じ価格で売ってくるとはとうていう思えません。

米を守るつもりなら、フランスなど欧米が行っているように、政府が価格差を補償で埋めればいいと思います。農水省が行うべきは、関税を撤廃した場合に、まともな市場価格で比較を行い、価格差に対してどれくらいの補償が必要になるかを算出することであって、関税撤廃の反対の音頭を取ることではないと思います。

判断するのは国民であって、族議員でも、農協でも、官僚でもありません。


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