ウッドフォード前社長解任劇のオリンパスについては、本格的な第二幕がはじまる前に、日本の大手新聞社の批判へと飛び火しはじめています。
オリンパスの英医療機器メーカージャイラス買収時のアドバイザーへの手数料の法外な金額や、オリンパスの現在の事業とは関係が薄く、相乗効果も感じない 化粧品会社や資源リサイクル会社、電子レンジ調理容器会社の企業買収を信じられないような高額で買収したことなどは、雑誌FACTAがスクープしたものですが、ウッドフォード前社長が経緯を知ったのもこのFACTAの記事でした。しかも資金の流れ先が怪しげです。このことは日本の大手メディアは、オリンパス側の発表しか報道していません。
オリンパス、国内3社の買収総額は734億9000万円 - WSJ日本版 - jp.WSJ.com :
FACTAは有料ですが、阿部編集長のブログは読めると思いますので、参考までにリンクを貼っておきます。
オリンパス火砕流、続報次々に:
菊川オリンパス会長兼社長の墓穴:
深みにはまるオリンパス:阿部重夫発行人ブログ:
FACTAがリークしたこのオリンパス問題については、フィナンシャル・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルなどの海外紙が大きく取り上げ、また大手新聞以外の国内メディアも報道しはじめています。ウッドフォード前社長は、ジャイラス買収で支払った手数料について、日本の証券取引等監視委員会に調査を求める書簡を送付したこと、また英国の重大不正捜査局(SFO)の当局者に状況を説明したことを報じたのもロイターです。
〔焦点〕オリンパス<7733.T>の晴れない「霧」、資金の流れで当局の事実解明に発展も | マネーニュース | 最新経済ニュース | Reuters :
オリンパスの経営のガバナンスが問われ、国際スキャンダルに発展しそうな騒動になっているにもかかわらず、大手新聞社の報道は、まるでオリンパスのニュースリリースのような記事しかでていません。つまり、大手新聞メディアしか読まない人には、この騒動の問題の深さも、どれだけ波紋が広がっているかもわからないままです。
広告を出してもらっている関係で突っ込めないのか、たんに独自の取材能力がないのかはわかりませんが、思わぬところで、小競り合いがはじまったようです。フィナンシャル・タイムズの記事を連載していたJBプレスが、日経ビジネスの局長に呼ばれ、宣戦布告宣言をつきつけられたというのです。
あのオリンパスに「日経ビジネス」が社外取締役 JBpressを叩き潰すと言うなら読みたい「敗軍の将兵を語る」 :
いやはや思わぬ飛び火です。
日本の大手新聞に関しては、朝まで生テレビで田原総一朗さんが、野田首相の韓国訪問についての報道を批判していました。どの報道も訪韓の成果がなかったとしているのですが、実際は韓国経済の破綻を防ぐために、日韓間の通貨スワップを現在の130億ドル規模から700億ドル(約5兆3700億円)に拡大したことは、大きな出来事だったというのです。
韓国経済をウォッチしている人なら韓国経済がかなり危なくなっていることはご存知だと思います。ギリシャ危機を契機に韓国から欧米の金融機関が資金を引揚げてきており、またウォン安が加速したことへの介入で外貨準備金が極端に不足し、韓国経済下手をすると一触触発の危機状態です。野田内閣は、それを防ごうとしたのでしょう。
この通貨スワップの拡大に批判的な意見もネットを中心にありますが、韓国は、日本の素材や部品などの中間財の大きな輸出先で、韓国経済が破綻すると日本への影響が大きいことはいうまでもありません。なにか、マスメディアは問題の本質よりも些細なことを中心に取り上げている印象を受けます。
また、この通貨スワップの件は、韓国メディアの報道も、すくなくとも日本語版では自国経済の危機によるものであることを報じておらず、韓国のメディアも病気だと感じます。
現代は、経済や社会の諸問題が複雑化してきており、当然、その見方の多様性が重要になってきているのですが、報道が一元管理されているマスメディアそのものが時代についてこれなくなってきているのかもしれません。
また、ニコ生で行った自由報道協会の小沢会見の運営のあり方には疑問を感じるとしても、醜態を晒した読売新聞記者を見ていると、記者の社会人としての常識や知識の不足が目立ち始めた昨今ですが、そういった記者の劣化を防ぐためにも、記者を組織から解き放って、自立したプロに育てるように、改革を進めてもらえばと思います。
さて、来週から、マスメディアのあり方の試金石となったオリンパス問題を、各社がどう報道するのかが楽しみになってきました。
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