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HPはパソコンでトップでありながら、パソコン部門を切り離すという決定を行い、話題になりました。この10月中にもパソコン部門を売却するかどうかを判断するそうです。

下げ止まらない価格、すでにライフサイクルでは成熟期にはいり、しかも市場の焦点はタブレット型PCに移ってきています。そのタブレット型PCはアップルが市場を支配しているうえに、ハードをつくるだけでは売れません。いかに販売台数トップだといっても事業の将来性が描けないのでしょう。

そんななか、日本HPはHPで唯一製造工場を中国から奪取し、2003年からパソコンを日本で製造していて、しかも営業利益率が10%を超えているという記事が日経に出ていました。

記事を見ると、まるで経営の教科書のような基本を抑えていることがわかります。まずは、土俵を価格下落がまだましなビジネス用途に絞ったことです。ソフトのインストールやラベル貼りなどのカスタマイズを外注から内製に切り替え収益率を高めたこと、さらに納期を従来の三分の一の5日まで短縮したことが競争力を高めたとしています。
日本HP、中国に負けないパソコン生産 利益率10%の秘密  :日本経済新聞 :

ローカル市場は、ローカルで対応するほうが、きめ細かな市場ニーズに対応できることを日本HPは示しています。日本HPは、ターゲットを絞った集中戦略と、現地化によるカスタマイズへの対応力と収益確保、また納期による競争力をもったということです。

日本国内で価格で選ばれるコモディティ製品をただ製造するのではなく、国内の特定のターゲットに合わせた特化戦略を行い、徹底的にその市場で市場支配力を高めていくことは、日本HPに限らず、多くの製造業が日本で勝ち残るための残された道です。その際に、追求すべきは規模ではなくなります。サービスやコンサルティングを含めた付加価値で、尺度は収益力になってきます。

しかし、問題はここからです。それを逆に考えるとどうでしょう。海外で、カスタマイズのニーズがあり、納期の速さが競争力となるなら、日本から輸出するよりは、日本HPがやったように拠点の現地化を行ったほうが有利になります。

日本HPは「東京ブランド」としての品質を売り物に、輸出をも視野にいれているようですが、日本で展開するよりもターゲットはさらに絞った展開になるものと思います。ニッチ戦略となってきます。それがHPブランドで達成できるかどうかは、すくなくとも液晶パネルの歴史から考えると決して容易とは思えません。製品で輸出を考えることは自らの強みを失うことにもなりかねません。

日本市場というハードの品質にも、カスタマイズや納期などのサービスにも厳しい土俵で他社とは違うビジネスの仕組みができれば、そのビジネスの仕組を競争力とすることも可能かもしれません。それは規模ではなく、ユーザーにとってのより高い価値を提供を追求することであり、「ものづくり」はそのひとつの要素にしかすぎません。鍵は、ユーザー利益を最大化できるかどうかにかかっており、「ものづくり」だけでは限界があります。

さてHPのパソコン部門が韓国のサムスン、あるいは台湾などの企業に売却されたとしても、ヒントになるのはレノボの大和研究所ではないでしょうか。レノボが面白いのは、かつてIBMブランドだったThinkPadシリーズはいまだに日本発ということです。レノボ・ジャパンの大和研究所が開発し、製造は中国で行われ、マーケティングの中心はアメリカです。日本で開発し、モノではなく、知識と技術を集約した設計という成果物が輸出されているということです。こちらも日本の製造業が日本に残るひとつの道かもしれません。

日本の製造拠点や開発拠点が日本に残るのは、グローバル市場のなかで非価格競争が可能な分野、あるいは国内市場に絞り、より国内市場で競争力を高めることで実現できます。そういった産業が残った姿は、けっして空洞化ではありません。むしろ産業の構造転換と高度化なのです。

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