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ものごとには表と裏があり、そのどちらから見るかで見えかたも違ってきます。その典型だと思うのが『産業空洞化』です。


円高が輸出を困難にし企業の製造部門や開発部門の海外移転が進む、それによって国内での雇用が失われ、また国内の製造業を顧客とする中小零細の製造業が廃業に追い込まれる、そうして国内からものづくりが消えて行くというのが『産業空洞化』です。
また原発の再稼働への見通しが立たない状況で、エネルギー不足への懸念から、工場を海外に移転するという問題がさらに加わりました。だから円高を是正することが必要だ、製造業が国内にとどまるための環境整備をもっと進めなければ日本は危ないという見方となり、それが毎日のようにマスコミに流れます。

言葉を置き換えてみましょう。『グローバル化の進展』です。企業は円高をチャンスに、海外拠点を拡大し、また企業の買収を積極的に推し進めはじめました。いよいよ日本も輸出からグローバル化へと舵を切り始める動きが急になってきています。
日本の企業が国際競争力を強化していくためには避けられない道でもあり、また競争力を高めることにもなり、いわば円高が追い風となりました。
しかし、企業の海外展開が加速されるために失われる雇用を吸収するためには、新産業の創出が日本の大きなテーマとなり、日本の産業のあり方を見直し、変えていくまたとないチャンスをも生みだしているとすればどうでしょうか。そんな見方もできます。

どちらも、間違いではないでしょう。しかし、どう対応するのかとなると180度違ってきます。円高を止めるのか、新産業創出と国内産業の活性化を進めるのかのどちらに軸足を置くかです。

円高、産業空洞化の危機という一方の見方しかなければ、どうしても財政出動や為替介入によって円高に歯止めをかけないといけない、政府はなんで手を打たないかということになります。
毎日、挨拶のようにそんな暗い話を聞きつづけると、この時代変化に適応して自らが変わって行こうという話は盛り上がりません。しらずしらずのうちに無気力を学習させられてしまうことになります。産業空洞化という言葉の罠です。

話は変わりますが、兵庫県に生野銀山があります。かつての坑道に入ることができ、夏でも涼しく、観光スポットとしても有名です。生野銀山は平安時代から開坑されたともいわれていますが、織田信長、豊臣秀吉をはじめ、徳川家康からの江戸時代も幕府直轄の銀山でした。
明治になっても、銀だけでなくさまざまな鉱石が採れたために、日本の鉱業の近代化をはかろうと、最初に官営(直轄)鉱山とした模範鉱山で、日本の近代化を支えてきた歴史を持っています。
その生野鉱山が廃坑になったのは1973年です。鉱石の品質悪化や、坑道が長くなり採算コストが合わなくなったり、危険性が増したためだということですが、その2年前の暮れに、円とドルの交換レートが変更され、1ドルが368円から308円へと16.9%の引き上げがあったこと、さらに1973年には変動相場制へと移行し、一挙に1ドル260円台まで円高が進んだこともその背景にはあったのだと思えます。岡山県高梁の鉄鉱石の鉱山やベンガラの地場産業も同じです。

時代の変化によって、それまで栄えていた産業が消えていった栄枯盛衰の跡は、全国の各地に数えきれないほどあります。時代環境の変化で、産業がなくなったり、また変化していったのです。日本は激しい時代の変化にあわせ、発展してきました。

製造業がどうなっていくかを考えると、やがて日本で工場を持つことが有利な産業以外はすべて海外に移ると考えるほうが自然です。日本に鍵となる工場は残し製造プロセスをブラックボックス化するための開発部門や製造部門を日本に残す、材料調達、また技能の点で日本の環境でしかつくれない製造業は海外生産ができません。日本でしかほとんど需要がなく国際競争がない分野もそうです。物流や販売など考えると日本で製造する方が有利な産業なども日本に残るでしょう。
そうでなければ、賃金が安いところに製造部門は移って行きます。そうしなければ国際競争力を失います。円高も影響するでしょうが、賃金の格差はもっと大きく、少々円安に振れても、この流れを止めることはできません。

日本の平成22年のGDPは名目でおよそ479兆2千億円で、輸出総額は 67兆4千億円でした。輸出が占める割合はGDPの14%に過ぎません。中味はほとんどが国内だということです。ここでも見方が別れます。14%に過ぎないとしても輸出を減らさないという発想と、GDPのほとんどを占める国内向けの産業を伸ばして、穴埋めをやっていくという発想です。

日本の精神風土のなかには「無常感」が脈々と流れています。

鴨長明の「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし」の世界観です。

時代も、状況も変わっていくのが常であり、同じ状態は続きません。だから、悪いことばかりが続くわけでない、なんとかなるさという逆境での心の支えになったり、逆にいいことばかりが続くわけではなく、現状にこだわりすぎず、変化にあわせ自らも変わっていこうという柔軟性やチャレンジ精神にもつながってきたと思います。

『産業空洞化』を止めるために、効果のわからないカンフル剤を打つというよりは、しっかり日本の産業活性化を考えたほうが健全だと思うのですが、みなさまはいかがお考えになりますか。

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