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円高が進めば産業が空洞化するから、なんとしても円高を阻止しなければならないと思っている人がいます。問題のたて方が偏っていませんか。選択肢はもっとあるはずです。

簡単に円高を阻止できるのなら、やればいいと思いますが、そう簡単ではありません。世界最大の対外債務を抱え恒常的に莫大な経常赤字を垂れ流しているアメリカと、25年以上も経常黒字を維持し、251兆円の対外純資産を持つ日本では稼ぐ力が異なります。そこへアメリカが金融緩和とゼロ金利政策に踏み切ったために、ドル安になることは当然で、日本が為替介入しても、この構造が変わらないかぎり円安誘導は困難です。
為替介入したところで、効果は限定的でしかも短期的、つまり焼け石に水で、海外から批判を浴び、しかも、円を借りて、ドルを買って、そのほとんどを米国債に変えるわけですから、円高が進むにつれ評価損も多額にでます。

それとも金融緩和戦争でも始めますか。こちらも勝算があるかどうかがわからない未知数の世界です。

なんとしても輸出を守る、また経済界からも政府頼みで政府に円高対策を求める声があがっていますが、ほんとうに輸出を守るのがいいのか、むしろ円高を利用して海外進出の速度を早めたほうがいいのかの議論がありません。

このまま輸出でやっていける産業分野は中間財のなかのごく一部か、特殊な分野に限られます。輸出に頼っているかぎり、海外市場での競争は厳しく、現地化に遅れた携帯、液晶などは海外市場のほとんどを失ってしまいました。

なぜなら、海外市場を切り開こうとすれば、それぞれの地域に進出し、それぞれの地域のニーズにあったマーケティングが求められてくるからです。サムスンが日本メーカーからシェアを奪っていった要因のひとつは、その現地化で差をつけたからです。サムスンがすべて輸出をやっていると誤解している人がいますが、サムスンの携帯の80%以上はいまや海外で生産されています。


経済がグローバル化すればするほど、現地化が求められ、グローバルとローカライズを合わせたグローカリゼーションの時代だというのはいまや当たり前の話です。

一般論としてもそうですが、さらに途上国の労働力は安いので、その労働力を活用しなければ価格競争にも勝てません。現地で製造すれば、物流のコストが下がり、納品のスピードもあがります。円高でなくとも、企業は海外に開発や製造拠点を移していきます。それに乗り遅れた企業は伸びゆく海外市場での競争力を失うだけです。

製造業が海外に移転して、問題が起るのは国内工場、あるいは物流などで働く人の雇用が失われること、とくに海外に進出できる体力のない中小企業に影響がでるということです。しかし、雇用を守るために競争力のない産業を保護し、高い賃金で、しかも現地と遠いところで開発や生産を維持しようと問題をたてるのはいかにも筋が悪いのです。


今はどんどん資産価値が下がり評価損が膨れはじめた問題の多い外為特会ですが、それを利用して、企業の海外進出やM&Aにドルを融資する制度があります。中小企業にとって使い勝手がどうかの知見はありませんが、雇用者の多くが働く中小企業の海外進出をどうすればより高め、成長の機会をつかんでもらえるかに問題をたてることもできます。北イタリアの繊維産業はそのほとんどが中小企業ですが、都市単位でマーケティングを行って、高級繊維として生き残っています。そんな解決方法もあると思います。

現実には、製造業の雇用はどんどん減ってきており、それを吸収してきたのはサービス業です。だとすれば、もっとサービス業での雇用を伸ばす方法はないかと考えるのが、もっとも自然な問題のたて方です。

サービス業と言っても分野は広く、野田総理が訪れ話題になった理容店もあれば、介護や医療もそうだし、ソフトウェアもあれば、不動産も金融もあります。しかも日本のサービス産業の生産性は欧米にくらべれば低く、まだまだ近代化、また高度化していく余地はありそうです。

デフレの問題で、よく需給ギャップに原因を求める人がいます。生産能力が飛躍的に向上したために、需要に対して供給能力が上回っているのはなにも日本だけではありません。物価が下がることについても、まだまだ海外と比較すると価格が高い分野は多く、もっと価格が下がってもいいぐらいです。しかも、問題は価格が下がることではなく、同じ土俵での過度な競争が行われているために、利益がでなくなることです。たまに低価格は低利益ビジネスと錯覚している人がいますが、そんなことはありません。ユニクロはちょっと不調ですが、営業利益率はいまなお15.3%で上場企業平均の6.4%を上回っています。

現在の延長線上で需要を伸ばそうというのは限界があります。そうではなく、新しい需要を生みだすことに問題を立てることも可能です。公共事業で需給ギャップを埋めようとしても、東北以外は、もはや政府が公共事業をやっても、その投資効果がでてくる分野はかぎられています。

短期的なカンフル剤で元気になるという幻想はもう捨てたほうがいいと思います。むしろ『稼ぐ力』をより強化していくことを考えるべきです。政府にできることは、古い産業を保護することではなく、地方主権化などの社会変化によって規制を組み換え、また緩和を行うこと、教科書の電子化なども含まれると思いますが、企業の『稼ぐ機会』をお膳立てするほうが健全です。

チャンスを見つければ、企業は、そこにチャレンジする本能を持っています。そろそろ経済の「対策」ではなく、新しい日本をつくる「創造」にむかって舵を切る時代にきているはずなのです。


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