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経団連の米倉会長といえば、菅内閣批判の舌鋒の鋭さで注目される方ですが、福島第一原発事故に関しても、「政府が責任持つと言うべき」と発言され、さすが古くからの経団連メンバー東電をあくまで守るという印象をつくってこられました。また「原発に一定程度依存しないと(電力不足で)国内産業がどんどん海外に逃げ、雇用が守られず、経済成長が落ちる」と脱原発批判もされています。

それが楽天の三木谷社長の経団連への不信感となり、「新しい時代に向かっていく流れが必要と思っているが、(経団連は)そういう形になっていない」、「ガラパゴス日本と言われているが、電力政策だけでなく、コーポレート・ガバナンスや会計制度などを国際的な基準に合わせていかないと、この国は食べていけない。それとは方向性が違うと感じた」として経団連を脱会されることになりました。

どのような産業でも安定した電力の確保が重要ですが、製造業、とくに重厚長大産業の場合はことさらです。福島第一原発事故問題に限らず、伝統的な産業分野の大企業が揃う経団連とIT産業の楽天では考え方が違っても当然でしょう。また日本は脱工業化に遅れてしまっているために経団連の存在感が大きいというのもしかたないことです。

さて、暑さがますにつれ節電が気がかりになってきましたが、関東だけでなく、関西でも節電が求められるようになりました。

その関電から「関西電力からの節電のお願い」のCMがかなり流れています。その関電の節電CMが上から目線ではなく、節電方法をシリーズで具体的に提案したもので好感がもてます。
たとえば、エアコンの温度を2度あげると10%の節電になる、別のCMでは「すだれの効果」でも10%の節電になるなどですが、エアコンを控えすぎによる熱中症に気をつけるように注意を喚起したり、「ご迷惑をおかけしますが、節電にご協力をお願いします」という呼びかけです。

かんでんCMライブラリー/節電のお願い [関西電力] :
オフィスでも家庭でも節電を意識し、節電を行わなければならなくなったのですが、果たしてどの程度節電が達成できているのでしょうか。

もっともタイムリーなデータは、東電が毎月発表されている販売電力量の前年比較です。それを見ると、4月は-13.8%    5月-11.9%    6月-10.4%と節電努力を感じる結果となっています。契約種類別に見ると家庭や小規模の商店などに向けた電灯契約分で、6月に入り、5月の-12.2%から-6.2%と節電幅が落ちていますが、それでも節電の努力は続いています。
東電

しかし大口電力の主な業種別の販売実績を見ると、産業によって温度差があることがわかりました。

たとえば4月以降で販売電力量が昨年より増えた業種があります。4月は鉄鋼が2.6%増、紙・パルプが0.9%増、5月の鉄鋼はなんと13%増、紙・パルプは1.2%増、6月は化学が0.6%増でした。また化学は順調に生産が伸びてきているのか、節電が進むどころか増加傾向にあることが気になります。
大口

生産が伸びることは、日本の経済にとっては喜ばしいことですが、鉄鋼、紙・パルプ、化学といえば経団連の常連企業が居並ぶ産業です。

米倉会長は、エネルギー政策や政治についていろいろと自説を発言されるのも結構ですが、せめて、こういった産業は、生産増で消費電力も増えてしまうため、他の産業や家庭の節電で成り立っていることへの配慮をお見せになったほうが企業市民的視点からいえばいいのではないかと感じます。

また、「原発に一定程度依存しないと(電力不足で)国内産業がどんどん海外に逃げ、雇用が守られず、経済成長が落ちる」とおっしゃっていますが、実際のところ、企業の海外移転は電力の問題と関係なく進んでいくのではないでしょうか。

ご自身が会長をされている住友化学も、海外での売上げ比率が2006年の41.8%から2010年には53.3%と増え、国内販売を超えました。
それにともない海外での製造拠点の強化もされ、中期経営計画で「グローバル化を重要な経営課題と位置づけており、主な設備投資・投融資は海外で実施」と時代の流れに沿った方針を高々と掲げているように、電力問題にかかわらず、需要が伸びない国内から、海外に拠点をシフトされていく現実をご説明されたほうが国民にとっては覚悟もできるというものです。

それに製造業の海外移転が進んでいくので、日本の電力需要は今後は減っていくことも重要な視点です。

いろいろ考えると、いずれ辞める菅総理はどうでもよく、まずは経団連の会員で節電が進んでいない企業に、地道な節電に向けた改善を呼びかけられたほうがいいのではないでしょうか。


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