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先日は、朝日新聞有料電子版が残念なのは、体裁の問題ではないことを指摘しました。そもそも商品化し、読者から購読料を得るだけの価値づくりに失敗しているのです。

縦書きでも読めるとか、日経や産経がやっている新聞紙面も見ることができるというのは、特定の読者にはすこしは便利になるとしても、そういった改善をはかっても、価値づくりに失敗している状況は変わりません。はやくそれに気がついてもらいたいものです。
朝日新聞電子版が残念なのは「縦書きがない」からではない -


なぜあのような残念な電子版をリリースしてしまったのでしょう。現在の新聞が流している記事が、わざわざ購入して読む価値があると錯覚しているとしか思えません。

新聞社は斜陽産業です。発行部数が減ってきただけでなく、社会的な存在意義がゆるやかに終わってきているのです。新聞社が未だに残っているのは、紙の新聞を読むことが長年の習慣となり、生活文化として根づいている人たちが未だに残っており、紙の新聞を捨てられない人が多いからにすぎません。それがニュースをどのメディアから得るかの世代間での違いとしてあわられてきています。

新聞が伝える記事のほとんどはインターネットで無料で手に入ります。新聞をわざわざ購読しないほうが消費者としては合理的な判断です。だから、さまざまなメディアに関した調査で明らかになっているのは、現実にはインターネットでニュースを読む人がどんどん増えてきており、すでに新聞を上回り始めているのです。
モバイル社会研究所 ≫ 第9回 情報メディアの活用方法 〜「ニュース編」 :


朝日新聞電子版が残念なたったひとつの理由は、ネット上では無料で流れている記事とさほど変わらない記事をそれままデジタル化し有料版だとしてしまったからです。それは、ただ同然で手に入る水道水を、そのままペット容器に詰めて売るのと同じことです。

インターネットが登場するまでは、読んで知るニュースとしては新聞がもっとも重要な手段でした。つまり、新聞というメディアそのものに価値があり、そのなかで読者の囲い込みの競争をやっていればよかったのです。

スクープの競い合い、政治的な立場による差別化、さまざまなイベントへの協賛によるブランドイメージづくり、そして販売店による読者争奪戦など、それが新聞社のマーケティングでした。

すべて、新聞という紙媒体への確実なニーズがあり、その市場をどの新聞社がもっとも高いシェアを取るかの競争で、シェアを上げ、発行部数が増えれば、より多くの広告収入も得られるという競争原理でした。

しかしインターネット革命、とくにソーシャル・メディアの出現は状況を一変させたのです。無料のニュースが溢れるように流れるようになりました。しかも新聞紙面の社説やコラムとは比較にならないぐらいの量のニュース解説や評論も流れています。

それはとりもなおさず、新聞の記事、社説、コラムなどのコンテンツが無料のメディアのコンテンツと比較される時代になったということです。競争環境が激変しているのです。

すこし前までは、記者会見あるいは取材によって得られる一次情報は新聞社、あるいはテレビ局などしか提供できない、だから新聞社の存在意義がある。インターネットのジャーナリズムは、しょせん新聞社が取材し提供してきた一次情報に解釈を加えることしかできないとされていました。

しかしこの神話も崩れてきています。その一次情報の独占は、むしろ官僚や検察などに利用される温床となっているのではないか、ほんとうに記事で書かれていることは信頼に足るものかどうかに対しても疑いがでてきています。

さらに、Ustreamやニコ生動画などの登場や記者クラブの壁が崩れ、フリーのジャーナリストも記者会見に参加することで、まるでベルリンの壁が崩れるように、一次情報の独占体制も崩れてきつつあるのが現実です。

福島第一原発事故がさらにそれを加速したように感じます。東電、原子力安全・保安院、官房長官などの記者会見が、とくに新聞やテレビを見なくともインターネットを通して誰もが視聴し、視聴者がネットを通して次々にコメントを流す時代になったのです。

新聞社は自らを囲んでいるこういった時代の激変を直視していません。自分たちの書いた記事は価値がある、だから有料版でも成立するかもしれないと錯覚するのは自由ですが、それを代替するコンテンツはいくらでも流れているのです。

しかも、衰退産業、構造不況業種の負う宿命ともいえる悪循環がすでに兆候としてでてきています。発行部数の減少が経営を圧迫します。経営が圧迫されるので、記者や取材経費を削減せざるをえず、その結果質の低下が起こり、それがまた読者離れを起こします。

この津波にも耐えた一本松の記事をめぐっての新聞社批判を読むと、いかに質の劣化が起こっているかが実感として伝わってきます。
大手新聞はいつからパクリ体質に?見事に横並びの「一本松」記事  JBpress(日本ビジネスプレス) :


新聞社は、縮小していく市場で生き延びるためには、統合と再編によってコストを下げていくしか道は残されていません。もしインターネットによって激変したメディア環境のなかでも自らの存在意義を再構築したいのなら、最低限つぎのことをしなければなりません。

・「総合紙」であることを捨てる

インターネットでは、インターネットそのものが総合であり、新聞社にとっての独自性にはなりません。ポジショニングの再構築が必要です

・記事そのものの価値をあげ、商品として成立させる
記者が足で稼いで得た記事は、まだ商品価値が残っている可能性があります。しかしそのためには記者をブランド化させる必要があります。

・「紙面」という古い発想を捨てる

物理的な制約をインターネットは解き放ったにもかかわらず、「紙面」の制約に縛られていると、自ら自由度を捨てることになります。また、どの記事に重要性があるのかは読者が決めます。

まだまだ、発想を転換しなければならないことはありますが、すくなくともこの3つの転換は、有料化のためには必須条件だと思います。

朝日新聞が有料版にチャレンジした事は評価したいのですが、このままではすでに失敗が見えています。赤字が増える結果になりそうです。
正しい戦略であっても必ずしも成功するとは限りませんが、最初から戦略が間違っていれば成功確率はゼロです。「紙媒体」のパラダイムを変えられない限り、成功する可能性はありません。

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