
グーグルのシュミット会長が、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のコラムニストとの対談で、ポストPC時代のプラットフォームづくりに成功しているのは、アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルの4社であり、マイクロソフトは、「消費者のマインドを変える革命企業ではない。同社は企業にうまく入り込んだ。ウィンドウズサーバーとクライアントを結び付けることに成功し、利益の大半はそこからもたらされている」とばっさり切り捨てています。アップルのiCloudの登場によって、さらにポストPC時代は進化していくのでしょう。
マイクロソフトはネット世界の「新4人組」に値しない=グーグルのシュミット会長 - WSJ日本版 - jp.WSJ.com :
ポストPC時代で未知数なのは、やがて英語圏を超えるインターネット人口を抱え始めるアジア圈ぐらいでしょうが、それとは対照的に見えてこないのはポストテレビ時代です。
テレビそのものは、ユーザーの利用時間が長い割に、もはや成熟しきっており、コモディティ化してしまっているので、アップルもグーグルもそこにイノベーションを持ち込み、ポストテレビ時代を制する機会を虎視眈々と狙っているのですが、まだかならずしも成功しているとはいえません。
そのテレビで、パナソニックが、スマートテレビ用のシステムLSIを開発し、サンプル出荷を始めたという記事がでていました。デュアルコアプロセッサーの採用により、スマートテレビのネットワークアプリを高速で動作させることが可能といいます。
パナソニック、ARMデュアルコアのスマートテレビ用「UniPhier」を開発 - Phile-web :
このCPUにしても液晶パネルにしても、高度な川上の部品はでそろってきているけれど、シュミット会長がいう「消費者のマインドを変える革命」はまだテレビには起こってきていません。
おそらく、テレビ番組やビデオ番組に関しては、オンラインでわずか7.99ドルと700円を切る価格で映画やテレビ番組を無制限に視聴できるネットフリックスが成功していること、またすでにゲーム機の市場が、任天堂、ソニー、マイクロソフトで形成されていることが、イノベーションのハードルを上げており、なにを切り口にすればポストテレビ時代が切り開かれるのかが見えてこないないからでしょう。
しかし、そのことは同時に、市場の覇者がおらず、まだイノベーションのチャンスが残されていることをも物語っています。
ネット対応テレビの出荷台数は年平均30%で拡大しており、すでにテレビ出荷台数の20%を占め、2014年には世界で1億2300万台を超える出荷数になるだろうという予測もあり、ハードは先行して普及していきます。
ポストテレビ時代を切り開かなければ、機能や性能はあがるけれど、価格は下がり続けるというコモディティ化の蟻地獄からの脱出はできません。部品の高度化は、アメリカで工場も持たず、部品の開発もしないでいきなりシェアのトップに食い込んできたVIZIOがのような企業が現れ、活躍するチャンスを広げることにもなります。それは低価格競争を激化させることにもつながってきます。ただでさえ利益のでないテレビ事業は、さらに大変になってきます。
さて、この変革、ポストテレビの時代にもっとも近い位置にいるのはソニーだと思います。それが分かっているから、グーグルテレビにチャレンジしたのでしょう。ただ、ソニーは閉鎖的な体質でありプラットフォームづくりは苦手、またイノベーションのパワーを失ってきています。
おそらくイノベーションのヒントは、ユーザーのなかにあると思います。ハードの開発ではなく、利用の開発、テレビを見る目的を変えることは、ユーザーとの協創、また放送局をはじめとしたそこに参加するプレイヤーとの協創になってきます。しかも、テレビの利用シーンを考えるとネットのハイエンドユーザーとは異なる人たちがリードユーザーになってくるのではないでしょうか。
コツコツとよりよい製品をつくるという発想から抜け出してくるのはいったいどこでしょうか。日本ブランドであればいいなと願っています。
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つまるところこれからのテレビは何を見せるかというアプローチと、それをどのように見せるかというアプローチが必要なのではないかと思います。
何を見せるかという点ではインターネットからの配信や3D映像、ゲームなどがあり、どう見せるかというアプローチでは、対応したインターフェースの開発があるでしょう。ちなみにGoogle TVはインターフェースに検索エンジンを利用したものですね。
もっとも、最終的にはそれらを「欲しい」と思わせる見せ方がなければいけないのだろうと思います。いくら3Dテレビが高画質でも、それだけを訴えたところで誰も見向きもしなかったでしょう。3Dは3Dという表現方法のひとつを活かせる映像の作り方があってはじめて成立するもの。だから3D普及の鍵は、実はテレビではなく、ホームビデオカメラにあったのだろうと思います。まずはホームビデオカメラで撮影してみたユーザーが、3Dってこういうふうに録れるんだ、ということを実感してみて、装備されている小さな液晶ではなく、より大画面でも3Dが見たくなった頃に、3Dテレビを出せば、おそらくはメガネの不自由をそれほど指摘されなかったのでは、とか。
ま、後付けの発想ですが。