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東電はエリート企業でした。地域独占企業で経営が安定しており、信頼も高く、官僚、政界、財界、学会またマスコミにも強い影響力を持ち、政府のエネルギー政策をも左右するほどの存在でした。
その東電も、福島第一原発事故で一瞬に、信頼を失ったばかりか、経営の存続すら危うい危機に見舞われ、東電の今後は政治の手に委ねられる状況となっています。

福島第一原発事故で、人びとが呆れ返ったのは経営にたずさわる人びとの無責任さや、社会責任に対する意識の薄さ、都合の悪い情報を隠す体質、意思決定の遅さ、現場との意思疎通の悪さなどさまざまですが、経営の人びとの対応がさらに東電の信頼を損ねていきました。

しかし、グループ会社5000人を超える大企業でトップに上り詰めた人びとが、無能であるわけがありません。電力会社の分離を阻止し、官僚OBを取り込んで自らにを守る、また電力を高い品質で安定した供給をはかることにはおそらく極めて有能な人びとです。

しかし、先が見えている課題、予測できる課題の解決能力はあっても、突然起こった予期できない事態に対処する能力が鍛えられていなかった、だから思い切った決断もできないのです。
3・11を境に、経営者を評価する社会の目、見えざるルールが変わったことにも対処できず、あいかわらずの自社を守ることに徹するという態度がさらに被災者の人たち、また社会の怒りを増幅させてしまいました。

さて、時を同じくして起こったのがSONYがハッカーの攻撃を受け、個人情報漏洩事件です。日本では震災、また福島第一原発事故でそれどころではないという状況ですが、SONYも著しくブランドの信頼を失いました。
この個人情報漏洩事件でわかったことは、SONYの経営陣の危機に対する感度の悪さでした。しかも情報の開示が遅れたこと、誰も責任をとらないこと、さらに信頼の揺らぎを増幅させたことも東電と共通するものを感じます。しかも、今なおストリンガー会長がハッカーを挑発する発言を続けていることも、不可解な点です。

こういった目に見える脅威はまだ分かりやすいのですが、それに匹敵する目には見えない脅威があります。それは時代変化によって、あるいは市場にイノベーションが持ち込まれ、競争ルールが塗り替えられてしまうことです。それは目に見えないだけでなく、じわじわと押し寄せてくる脅威であり、それが災いして危機対応が遅れることがあるということです。

SONYもかつてのイノベーションを起こす企業という輝きを失い続けてきた企業です。2004年までは、大学生の就職企業のトップ10に必ず入っていたのですが、2005年からは人気が急落しています。
そして赤字が続いていたSONYは4期ぶりに黒字転換する見込みであり、PSP後継「ヴィータ」発表はあったとはいえ、経営状況はいまだに厳しく、個人情報流出による補償問題、またブランドの信頼低下といった問題を抱え、先行きが明るいとはとてもいえません。

SONYが凋落した原因は、見えざる競争のルールが変わったことに対応できなかったことだと思います。あまりにも時代変化が速く、意識も体質もついていけなかったのでしょう。それを象徴していたのが、iPodとの競争に出遅れてだしたデジタル・ウォークマン「NW-HD1」の大失敗でした。SONYには、時代の変化が見えていなかったのです。コモディティ化が進むテレビ事業も、撤退する英断もできないままに、SONYの経営のアキレス腱となっています。
大西 宏のマーケティング・エッセンス : 崩壊しはじめた?SONY神話 - ( 2004年08月13日)

時代の変化、競争の見えざるルールの変化に対応できず、かつてのブランドの輝きを失い、経営の危機にまで追い込まれた企業といえば、JALやNECが浮かんできます。

JALも2009年までは大学生の就職ランキングでつねにトップ10に入るブランド企業でした。しかし、航空機のビジネスの国際ネットワークでの出遅れ、格安航空会社の出現などの変化に対応できず、ついには経営が破綻してしまいました。

NECの凋落は、若い世代の人にはピンとこないかもしれません。しかしNECは日本のパソコン市場を切り開き、「1982年に発売された『PC-9800シリーズ』は、約15年間にわたって日本のパソコン市場を席巻」(ウィキペディア)していた輝かしいブランドでした。また1980年代後半には、半導体生産で世界一位となるなど、かつての電電公社の交換機の製造会社から、日本を代表するエレクトロニクス企業に見事に脱皮した企業でした、「C&C(Computer & Communication)」を掲げた経営も当然脚光をあびていました。

それがどうでしょう。PCの世界の競争ルールは大きくかわります。独自規格にこだわったことで、PC/AT互換機にシェアを侵食され、さらに国際競争にも脱落していきます。また半導体事業も米国や韓国との競争に敗れていきます。見えざる市場の競争ルールの変化に対応できなかったのです。
そしてNECも赤字からの脱却に苦しむところまで追い詰められているのが現状で、NECが11年3月期の決算も、最終赤字を回避するためにルネサスエレクトロニクス株を売却するといいます。

ルネサスエレクトロニクスは被災によって、自動車向けの半導体の供給ができなくなり、世界の自動車の製造がとまってしまったことで話題になりましたが、ルネサスエレクトロニクスも経営は赤字です。

イノベーションや市場の変化が起こったときにに、それがやがて競争のルールを変え、経営を揺さぶる脅威になることを察知するのは決して簡単ではありません。ましてデータで実証しながら課題を発見し、それを解決していく能力や文化がいかに優れていても、実証すべくもない先の変化は読めません。

それは技術や市場の本質がどう変わってきたか、文また変わろうとしているのかを洞察するまた違った能力や文化が必要だということでしょう。見えない先を読みそれに備える経営、変化が激しい時代には、過去の成功にとらわれずに大胆に事業を組み換え、市場の土俵を変えていく経営能力が、ますます求められてくることだけは間違いありません。

すでに見えてきたトレンドに乗るという経営から、まだ見えない未知の領域を自ら切り開くリスクを積極的に取る経営に舵をきった時にはじめて、脅威に対する感度も鋭くなります。日本の多くの企業がそういった発想の転換を行ったときに、きっと日本は復活します。

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