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107名の方が亡くなられ、562名の負傷者がでたJR福知山線脱線事故から昨日でちょうど6年が経ちました。

JR西日本の福知山線脱線事故と福島第一原発事故には共通したものを感じます。大きくは、どちらも効率と利益を追い求め、安全対策を軽視した結果起こったということですが、そのどちらにも事故にいたるまでに政治がからんだ不幸な歴史があったことも共通しています。

さて、JR福知山線事故で当時問題になったのは、主に三点だったと思います。

まずは、私鉄との競争力を持たせるために、ゆとりのない過密ダイヤを組んでいたことです。
福島第一原発事故と重なるのは、福島第一原発に過度の原子炉を集中させていたことや、本来の耐用年数をはるかに越えて古い炉を稼動させ続けていたことです。

また、JR西日本は、1991年に信楽高原鉄道で列車の正面衝突事故を起こしますが、その教訓を生かさなかったことは、東電や安全・保安院が新潟沖地震による柏崎刈羽原発事故の教訓を生かさなかったこととも共通しています。

第二点目は、皮肉なことに、この事故車両を運転手は、当日の事故前に速度オーバーで二度ATS(自動列車停止装置)を作動させているのですが、この事故現場の急カーブにはATS(自動列車停止装置)がなく、制限速度70Kmのカーブに116Kmで進入したことを防げなかった、それが事故の直接的な原因となりました。備えが甘かったということでは、福島第一原発で非常用電源が使えなくなって冷却が止まってしまった点とも重なりあうものを感じます。

第三点目は、ミスにたいして厳しい懲罰があたえられる日勤教育の問題でした。当日も、手前の伊丹駅でオーバーランをしていたために、運転手が日勤教育での懲罰を恐れ、ダイヤの遅れをカバーしようと速度制限を超えた走行をさせたのだろうと推測されています。
この日勤教育は、旧国鉄労組潰しを意図した政治的な色彩もあったものですが、事故前の国会でも、事故につながりかねないと問題視されていました。
事前に問題提起があったことでは、この福島第一原発の安全性にたいしても、共産党が問題を投げかけていたこととも共通しています。

JR西日本の組合対策はJALとの共通点があります。第二組合をつくり、もともとあった組合にたいして強い圧力をかけ、かなり強引に弱体化をはかるというものです。それでますます第一組合が先鋭化し、また会社側が日勤教育で懲罰するという悪循環の歴史が繰り返されていたことです。政治がからんだがための不幸の歴史でした。

原発も、推進派、反対派に分かれ、しかもそこに政治もからんだために、建設的な議論をする機会を失ってきたこととも重なって見えます。政治が関与するとロクなことがないというのが正直なところです。

問題はここからです。JR西日本の経営効率を優先する体質、日勤教育による懲罰で現場を追い込む経営体質をつくったのは、社長・会長を11年の長期にわたって務めた「国鉄改革3人組」のひとりであった井手正敬氏でした。事故当時は相談役でしたが、絶対的な権力を握っていたとされています。長期にわたって経営のトップを続けてきたことでは、東電の勝俣会長とも重なってくるものを感じます。長期政権が続くと、社内では誰も経営に異を唱えることができなくなってしまいます。ひとつの経営方針が長期にわたって守られ、それがやがて社内の体質になっていきます。

その後、JR西日本の事故調査委員への工作なども取りざたされますが、当時の経営者の責任が当然問われる動きが起こってきます。当初は不起訴処分となりましたが、2009年に、神戸第一検察審査会は、不起訴となったJR西日本の歴代社長3人について、「起訴相当」と議決し、その後に公判が始まっています。

さて、今回の福島第一原発事故について、東電経営者、また原発行政を進めてきた経済産業省、またそれに関与した政治家の責任をどう求めるのでしょうか。あまりにも関与者が多く、結局は経営者の辞任で終わり、誰も責任を取らないということで終わるのでしょうか。

今は政府対応のまずさが指摘されていますが、事故処理が一段落したところで、やがては何と誰が原因をつくったのかの検証がはじまるのでしょうか。あるいはうやむやで終わるのでしょうか。

さて余談になりますが、JR福知山線脱線事故の二年後だったと思いますが、たまたまJR西日本のある研修の講師の依頼をうけ、吹田にある研修センターに行ったことがあります。その時に、朝の始業時に構内放送が流れ、それぞれの会場の朝礼でJR福知山線事故の犠牲者の方々に黙祷を捧げるシーンに遭遇したことがあります。社員の人たちは事故を風化させようとしていないと感じました。

昨日帰りの車で流れていたラジオ番組だったと思いますが、JR西日本の体質を変えるのは若手に期待するしかないとキャスターが語っていたのに対し、しばらくして、JR西日本のベテラン社員の人たちから、自分たちも体質改善には真剣に取り組んでいるというクレームが来たことが紹介されていましたが、おそらく本当でしょう。

東電ではきっと今回の事故の反省にたち、経営改善、また体質改善をはかるための、なんらかのアクションが起こってくるものと思います。またそうでなければなりません。しかし、経済産業省や政治家は過去を検証し、また反省にたったアクションを起こしてくるのでしょうか。はたまた、すべて東電に責任を押し付け、誰も責任をとらないままに国民負担だけを求めることになるのでしょうか。国民全体で注視したいところです。

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