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フリージャーナリスト岩上氏による佐藤栄佐久前福島県知事への緊急インタビュー、また日本外国特派員協会で行われた会見がYOUTUBEにアップされており、さらにFACTAにインタビュー記事がでていますが、ごらんになる価値があるものと思います。

 
佐藤前知事は、任期中に収賄疑惑で辞任、ダム建設に天の声を発したという疑いで突然検察に逮捕され、容疑を全面否認していらっしゃいますが、一、二審とも有罪判決が出て最高裁に上告中の方です。検察がストーリーを描いでつくった冤罪事件ではないかという疑念も感じさせる事件であり、さらに佐藤前知事はプルサーマル計画にストップをかけていたこととこの逮捕劇とのあいだに関連があったかどうかが気になります。

佐藤前知事のインタビューでのお話は実に生々しく、原子力安全・保安院がまったく機能していなかったこともうかがえます。東電の隠蔽体質というよりは、経産省・東電が一体となって原発をなんとしても進めようとして暴走があったことを伺わせます。
保安院が発足したのは2001年ですが、02年8月に圧力容器や配管の故障やヒビ割れを隠すための点検記録のごまかしが長年行われていたことが発覚しました。なんと保安院は現場からの内部告発を2年間も放置したあげく、「こんな告発が来ましたがどうですか?」と名前入りで東京電力に横流ししていたのです。県は断固として県民を守る施策をとったため、その後は県に内部告発が集中しました。「福島県なら間違いなく処理してくれる」と現場で噂になっていたほどです。
さて、なぜそういった隠蔽体質が経産省や東電に生まれたかですが、佐藤前知事がおっしゃっている「経路依存症」という言葉がぴったりだと感じます。

いったん国策として原子力発電の推進が決まると、さまざまな施策や問題に対する対処がとられるわけですが、官僚はそうやってどんどん積み重なっていった過去の前例を踏襲し、仕事をしようとします。それで、過去に行なってきた「経路」により、現在が制約を受け、将来もその影響を受けるという「経路依存症」が生まれ、根の深い組織体質、組織文化になっていきます。「経路依存症」は、このブログでも幾度か指摘したように、「官僚は誰も責任を取らない」ことからさらに強化されていきます。

このことは非常に重要で、企業でもなにか改革にチャレンジしようとすると、かならず過去から積み重なってきた組織文化や組織体質の壁にぶつかります。そこから抜け出すためにはトップのリーダーシップ、また「チャンピオニング」と呼ばれていますが、新たなチャレンジを行う人材やチームを守り、育てる努力が必要になってきます。

企業ならば、無策で新たな課題にチャレンジしなければ市場から裁かれます。しかし、官僚組織は裁かれることはありません。問題が起こり裁判で負けても、責任を問われるのは国であって、官僚そのものではありません。
また官僚は前例主義であり、また無策であることが問われることもないために、新たな課題が発生しても事を穏便に済まそうとして、問題になりそうなことは回避するか、隠すことになります。以前の厚生省の薬害エイズ問題がその象徴的な事件でした。

さらにもっと怖いのは、この過去からの「経路」に対して異議が唱えられると、組織を脅かす敵とみなして報復手段をとることすらあるということです。しかも官僚は、権力の中枢であり、さまざまな報復手段を握っています。

佐藤前知事のインタビューのなかでの逮捕劇に関するこの言葉は、なにかそんな怖さを物語っているようです。
私が知事時代にプルサーマルの安全性は確認できないとストップをかけていたからでしょうか、取調室で特捜検事は「知事は日本のためによろしくない。いずれ抹殺する」と断言しました。
事態が落ち着けば、この福島第一原発事故で、いったいどのような経緯があって、この事故にいたったのかの検証を行うことが重要だと思います。失敗を学ばなければ、進歩もありません。日本は実質的に官僚が支配しており、この福島第一原発事故から学んで、官僚組織体質の病を根本から外科手術しなければ日本の将来は暗いと感じます。

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