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昨年7月に発売されたサンヨーの米からパンが作れるホームベーカリー「ライスブレッドクッカー GOPAN」は、発表と同時に予約が殺到し、発売時期を伸ばしたものの、10日間で年度内の生産予定台数である5万8千台を超えたという人気ぶりで、日経MJヒット商品にも選ばれた商品です。

生産が追いつかず、予約注文を取りやめていたのですが、増産体制ができたのか、ようやく今月の27日から注文受付が再開されることになりました。
三洋電機、27日から「ゴパン」の受注再開 - SankeiBiz(サンケイビズ) :

それにしても、他のホームベーカリーの商品が2万円前後であるのに対して、2倍以上どころか今やオークションでは8万円も超えた価格がするGOPANの人気には、いやがおうでも注目させられるGOPANです。

ホームベーカリー市場は2000年代にはいり第二次のブームも去って低迷していたのですが、家庭回帰、内食志向の影響で2006年から再びブームに火がつき、2009年には年間44万台の市場となっていました。さらにそこに登場してきたのがGOPANでした。

市場規模から言えば、メーカーの出荷金額合計でも100億円を下回る小さな市場でしょうが、ポスト311のマーケティングとして、GOPANには学ぶべきところが多いと思います。

第一は、失敗を学び、さらに開発の高いハードルをあきらめずに超えたことです。サンヨーは2003年にコメの粉からパンを作るホームベーカリーを他社に先駆けて発売したものの、売れ行きははかばかしくなかったようです。失敗の原因は、「コメ粉はスーパーなどで手軽に買えず、材料費も割高」ということであり、米から作れる自動パン焼き器の開発にはいったそうです。
あきらめムードから一転 三洋「GOPAN」救った“飯炊きおじさん”の助言

第二は、市場規模が小さいために、大量の広告投入はできないことから、サンヨーは10カ月前から用意周到に、ツイッターやブログによるプロモーション、また地道な体験イベントを重ねています。

GOPANブログ | ライスブレッドクッカー GOPAN(ゴパン) | 三洋電機 :

そういったプロモーションの結果でしょうが、消費者をうまく巻き込むことに成功しています。サンヨー単独でプロモーションを展開していれば限界があったのかもしれませんが、GOPANでできるメニューをユーザーがどんどん開発し、それがネットに投稿されるというユーザーとの「協創」の構図ができています。

GOPANのレシピ 83品 [クックパッド]  :

第三は、うまく米の産地との連携をはかっていることです。この地域社会との連携で、GOPANは、たんにおいしい米のパンが、たのしくつくれる商品というだけでなく、米の消費を高めるために社会的意義のある商品としてのポジションも得ています。
日本の味を楽しもう。三洋電機 :
もうひとつ加えるとすれば、過当競争から免れたことも大きいのではないでしょうか。サンヨーはパナソニックに完全子会社化が進められているので、ホームベーカリー市場の8割を握るリーダーからのチャレンジを受けていない点です。過剰な同質化競争は結局は勝者なき闘いになってしまいます。

ユーザーの声に耳を傾け失敗を学ぶ、体験を重視し、ユーザーとの「協創」で商品価値を高める、地域との連携で社会性を広げるGOPANのマーケティングは、日本が技術を活かすためになにが必要なのか、またポスト311のマーケティングのありかたを示唆しているのではないかと思います。

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