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「戦略的に正しいか」というのと、「実行する方法が正しいか」は異なった次元の問題です。しかし、案外それを整理しないで考えたり、また議論してしまうというのが世の常です。

さてその両方を組み合わせると、理想は「正しい戦略を正しい方法で実行する」ですが、そう完璧なことができるとは限りません。
もっとも対極にあるのは、「間違った戦略を正しい方法で実行する」というのと「正しい戦略を間違った方法で実行する」になってきますが、さてどちらのほうが救いようがあるのでしょうか。

間違った戦略を正しい方法で実行し、失敗したのが日本の携帯だったと思います。日本の携帯は高度に進化し、高機能、高品質を実現してきました。iモードも画期的でした。

しかし、戦略的にはふたつの致命的な間違いがありました。ひとつは、日本独自の特殊な規格のもとに進化したために、海外には適応しなかったことです。もし、日本の規格、iモードなどを世界に広げていたらまた違っていたかもしれませんが、いくら民営化したといっても、しょせん官僚集団であったNTTにそんな発想力も実行力もなかったことはいうまでもありません。

もうひとつは、技術の自前主義で高度な機能を実現するという開発戦略を取ったために、既製の部品を組み合わせて完成させる開発戦略と比べ、コストでも、柔軟に現地仕様化することにおいても、開発速度でも世界から遅れをとってしまいました。

間違った戦略上に正しい努力が積み重ねられ、「世界最高」の携帯をつくってしまった結果に待ち受けていたのがガラパゴス化です。気がついた時にはもはやキャッチアップすらできないほど遅れをとり、海外では置いてきぼりになってしまったのです。

また半導体の世界でも、日本は高品質・高機能・高価格の戦略上に、ひたすら技術を磨き、世界市場の主要プレイヤーとしての地位を築いてきたのですが、競争の焦点が、そこそこの品質をより低価格でつくる能力に移り変わり、そういった技術開発で遅れをとった日本は厳しい結果が待っていました。それを修正するのは簡単ではありません。

間違った戦略で、正しい方法で実行を積み重ねていくと、それを修正するのは大変です。

一方の「正しい戦略を間違った方法で実行する」というのはビジネスの世界では日常茶飯事です。いくら理屈で正しいことでも、それを実行するには、また多くの知恵が必要です。だから、改善があり、仮説に基づいて実行し、それを振り返って修正するPDCAが定着してきました。「間違った方法」を軌道修正するのは、戦略転換することよりもはるかに容易です。

しかし、どうも戦略が正しいかというのと、方法が正しいかという議論が混同されていることが多いように感じます。政治の世界ではとくにそれを感じます。

たとえば、「日本の開放」も、それはグローバル化した市場経済のなかに日本の成長を求めるのならば、避けて通れません。今はTPPがいいのかどうかというオンかオフかの議論になってしまっていますが、関税レベルのFTAを各国間で結ぶのか、あるいはもうすこし対象を広げ包括的なEPAなのか、地域も広げたTPPなのかの方法の問題なので、それはどの方法がもっとも日本にとって有利かで議論すればいいことです。

またよく耳にするのは、小泉改革は間違っていたから、構造改革は良くない、市場経済に任せることは駄目だといった議論です。しかし、「官から民へ」「国から地方へ」という構造改革という戦略がほんとうに間違っていたのでしょうか。日本が進めていかなければならない正しい戦略だと今でも思っています。

しかし小泉政治に問題がなかったかというと、それは疑問に感じることも多いと感じるのも正直なところです。実行する方法、順序、ターゲットが果たしてほんとうに正しかったかです。

民営化も郵政の民営化に矮小化してしまった感があります。さらに、改革のいう名のもとに、そこにあらたな利権が生まれ、特定の人たちへの便益の供与があったのではないかという疑念も残っています。しかしそれは方法の問題です。

最初から完璧な方法など期待するほうが無理で、それは修正すればいいだけのことです。もし戦略が正しければ、どのように実行するかに焦点を合わせて知恵を絞りあえばいいのだと思います。

規制緩和によって労働力の流動化を促進することも正しい戦略だと思います。成長力を失った産業から成長性のある分野へ人材が移っていくことを促進しなければ、日本は元気になりません。しかし、小泉内閣で行われたのは、いきなり、企業にとっての目先の問題であった派遣労働者の雇用の規制緩和からやってしまいました。その歪が生まれたことは事実でしょう。しかし、本質が議論されないから、今度は規制強化です。規制の強化はかえって雇用にブレーキをかけることは誰にもわかることです。

ビジネスにしても、政治にしても、あるいはプライベートな問題でも、行おうとする方向性が正しいのかどうかと、実行する方法が正しいのかどうか、そのふたつの視点で眺めてみると、ほんとうはなにを考えないといけないのかがより絞られてくるのではないでしょうか。

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