人気ブログランキングへ

ITpro EXPO 2010展示会3日目の基調講演で、EvernoteのCEOであるPhil Libin氏が、クラウド時代を迎え製品に求められる要素が大きく変わりつつあり、これからの製品は“Love”が重視されると語ったという記事に目が止まりました。
[ITpro EXPO 2010]これからは“Love”重視の時代に---米EvernoteのCEOが変化を指摘

このブログを読む人なら、Evernoteを使っている人もいらっしゃると思いますが、資料や画像、メモなどもインターネット上に保存でき、インターネットにさえつながれば、どこからでも、またPCであれ、スマートフォンであれ、どのような端末でも呼び出せ、また検索もできるために人気が高く、私自身も利用しています。
日本はアメリカについでユーザー数が多く、またEvernoteとAPI連携を行ったアプリケーシが、すでに約250の製品が発売されていて、その約半数が日本発だとか。ツイッターもそうですが、日本のネット・ユーザーはネットの活用の先進性が高いという一面が垣間見ることができます。

ところで、そのEvernoteは無料版でも十分に役立つのですが、わざわざ有料のプレミアムサービスに切り替える理由の第一は、「Evernoteが好きだから」だそうです。機能が必要だからではなく、好きだからというのは、面白いですね。しかし、案外「好きだから」というのは、こういったネットのプラットフォームだけでなく、さまざまな商品やサービスのブランドを選択する場合でも、本当の理由のトップではないでしょうか。

マーケティングには、いかにライバルに勝つかという戦闘モデルと、いかにユーザーに愛されるかという恋愛モデルの発想がありますが、EvernoteのCEOが指摘したようにこれからは恋愛モデルとして考えることの重要性がますます高まってくるものと思います。

その背景として、さまざまな分野で、市場を動かす原理が、売り手の「売る力」よりも買い手としての消費者や顧客の「選択」に移ってきていることがあります。消費者や顧客の「選択」は必需品でもない限り、なにを比較しているかは売り手からは見えにくく、かならずしも市場で直接競合しあっている相手だけと比較が行われているとは限りません。
旅行にしようか、スマートフォンを買おうか、それとも貯金しようかと支出先の選択は、境界を超えています。その「選択」にはかならずしも理屈で決められるとは限りません。ぬきんでいて「好きだ」、「今の自分の気持ちとあう」と感じるものが結局は選択されるのです。

戦闘モデルは、結局は価格競争になっていきます。しかも価格競争は際限がないのです。結局は、その市場自体が価格しか差別化できないコモディディティ市場になり、どちらも敗者になってしまいます。だから、開発やマーケティングは、差別化を徹底的に追求し、オンリーワンを求め、直接的な激突を避ける方向に修正されてきました。アルライズなどが主張するポジショニング戦略もそうです。

しかし、オンリーワンがそう長続きするわけではありません。すぐに新たなライバルが登場してきます。キャッチアップの速度の速さは、アップル対グーグルとメーカーの連合軍の競争に見ることができます。

もうひとつの重要なトレンドは、消費者や顧客がブランドや商品またサービスの価値をつくるコラボレーターとしてのポジションを握り始めていることです。
ネットでの口コミの影響力が無視できなくなったというだけでなく、ユニクロで買った商品をユザワヤで買ったラインストーンで自分ナイズして、価値をつくるということもあたりまえのようになってきています。スマートフォンでも、どのようなアプリを組み合わせるかでユーザーによって目的も違ってきます。商品やサービスの価値づくりに消費者や顧客がかかわってくるプロシューマの時代の様相が高まってきているという傾向です。

だから、消費者や顧客が自分なりの価値をつくるために心地良いパートナーとしての供給者を求めてくるのは当然の流れです。いくらライバルに勝っても、消費者や顧客が自分にはあわないと思われてしまうと、消費者や顧客からは選択されなくなってしまいます。

「これまでは“Scarcity(希少性)”が重視されてきたが、これからは“Love”が重視される時代に変わる」というのは、そういった流れをうまく表現していると思います。

応援クリックよろしくお願いします
人気ブログランキングへ

低価格を実現した営業力パワーアップSFA。
高機能で使いやすい「アクションコックピット」
アクションコックピット