
今回の尖閣での漁船船長逮捕以降の中国の対応は異常でした。なりふり構わず、自己主張し、牙をむく中国の姿を、日本だけでなく、とくにアジア地域の国々にも見せる結果となったと思います。中国が強硬な姿勢を示しすぎたことは決して中国にとっても得策ではなかったはずです。
温家宝首相が自らが国連でこの問題に触れたこと、さらに謝罪と賠償を求めたことは、日中間の関係修復の道を困難なものにしただけでなく、中国がバランス感覚をも失っていることを示しました。
現在中国は上海万博開催中であり、おそらく上海万博にも影響がでてくるものと思われます。中国内部では反日感情が高まり、日本内部では、当然、中国に屈服したという怒りや不満が高まってきました。双方の国民感情を改善するにも、かなりの努力と時間を要するでしょう。
またレアメタルの実質的禁輸措置をとったことは海外メディアも関心をもって報道しており、中国にたいする国際的な世論も悪化してくるでしょうし、下手をすると米国も警戒感から、さらに一段と元切り上げ圧力を加えてくるかもしれません。
学ばぬ中国、レアアース禁輸の愚
なぜ、国際的にはなんら得策とならないような強硬なカードを中国が切ってきたのでしょうか。冷静に考えると合理的な理由はありません。きっと国内になんらかの不安定な状況が生まれてきていると感じます。なにかが中国で起こってきており、強硬策をとらざるをえなかったのではないでしょうか。
中国の変化で想像されるのは、国内での政権への不満の高まりがありガス抜きが必要だったか、権力闘争が起こっており、温家宝首相も対抗上、強硬策をとらざるをえなかったか、あるいはなにか内紛の火種があるのか、よくわかりませんが、なるほどと思う見方がありました。
「極東ブログ」で、胡錦濤主席が二年後に引退が予定されており、習近平国家副主席が引き継ぐとされているわけですが、その引継ぎをめぐって権力闘争が起こっているのではないか、つまり、上海万博以降に起こってくる変化を先取りした動きではないかという視点です。習近平国家副主席は来日時に、小沢元幹事長と、宮内庁が天皇陛下との謁見で世論の批判が起こっていたのでご記憶と思います。
尖閣沖衝突事件の背景にポスト胡錦濤時代の権力闘争があるのでは
そうだとすると、すくなくともあと二年、あるいは権力闘争の決着がつくまでは、中国の政治は不安定となり、警戒すべき状態になります。日本の外務省は、そのあたりの深層の動きをも把握しているのでしょうか。これは中国への投資リスクにもなってきます。設備投資が中国からアセアン地域に移りつつあるようですが、その動きに拍車をかけることにも繋がりそうです。
さて、尖閣は日本の領土ですが、本当に領有権を担保したいなら、国内のナショナリズムを煽っても事態はなんら変わりません。「粛々と法治国家として今後とも」と強気の姿勢をとったところで、そのカードを切るには、「外交断絶」ぐらいの覚悟をしなければ、有効ではないでしょう。
尖閣の領有は、国際司法裁判に持ち込んで決着をつけるか、尖閣の実効支配して守るしかないのです。
実効支配ということでは、自民党時代に灯台を立てたわけですが、誰も常駐させてきませんでした。しかし、今日、この海域は事実上中国と台湾の漁船が「実効支配」している状態となっています。石垣島の漁業者も危なくてこの海域での漁業はできないそうです。
この海域が、日米安保の対象となると米国と確認しても、日本の船舶が中国の軍艦に攻撃されるわけでもなく、また群がる漁船に米国の海軍も対処できるわけでないので、有効性は疑わしいのではないかと思います。
中国も、台湾もこの海域が自らの領域だという既成事実を積み重ねているわけですが、日本も有効な手を打っておかないと領有権を放棄したに等しいのではないかと思えます。すくなくとも、海上保安庁の常駐施設ぐらいはつくる、それも刺激的すぎるなら、海洋資源保護とか、資源開発にかんした研究基地でもつくるぐらいの具体策を、よくわからない言葉ですが「粛々」と打ったほうがいいのじゃないかと思います。
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今回も上記のブログの様に 中国の保守派を刺激しないよう冷静にとの主張があふれている しかしこれまで日本が 主張すべき事を自制して 効果があっただろうか 中曽根総理の靖国参拝問題を始め1歩引くと5歩も10歩も 攻め込まれて 大問題に発展する きちんとして対応をすべきである 無責任な評論家の発言の責任を問うべきである 次の手が「外交断絶」などとは笑止千万である