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中国は、尖閣問題に対して強硬な姿勢をエスカレートさせてきています。フジタの社員が逮捕されるという事態まで起こり、さらに真偽のほどはわかりませんが、レアメタル輸出を禁止することを決定したとニューヨークタイムスが報道しています。



外務省官僚であった佐藤優さんが指摘するように、中国が、強硬姿勢をとるのは、日本と国際社会にむかって、尖閣諸島問題は領土問題であると認知させることにあるのでしょう。
【佐藤優の眼光紙背】丹羽宇一郎大使を直ちに本国召還せよ

そういったさなかに、前原外相とクリントン国務長官との会談で尖閣は日米安保の対象との発言があり、前原外相は、ありがたいと謝辞を述べました。しかし、米国は基本的には尖閣の領有権問題は当事者間で解決されるものという態度であり、日中の外交努力を求めたというのは、これまでのアメリカの態度と変わっていません。アメリカにとって尖閣問題は台湾との関係もあって、関わりたくない問題であり、またアメリカが尖閣問題に手を差し伸べる余裕はありません。

さて、尖閣諸島問題で、中国が強硬な態度を取ってくる背景には、周辺海域に埋蔵されている天然ガスをめぐる問題があることはいうまでもなく、海域支配を狙って海軍拡張を行ってきていることにも、石油資源を確保したいという強い意志や戦略がうかがえます。

「東シナ海に領土問題は存在しない。日本の主権をおびやかす活動や行為には、今後も厳しく、毅然と対応していく」という前原外相の姿勢は日本国内には通じても、尖閣問題に関わる中国、香港、台湾は日本の領土として認めているわけではありません。

一昨年、台湾の漁船が日本の巡視船と衝突し沈没した事件では、台湾の首相が議会答弁で、「最後の手段として開戦も排除しない」という発言までしていましたが、領有権を主張しないと、国内が収まらないのは同じことです。一般論としても。領土問題の現実は微妙であり、つねに繊細な問題です。

さて強硬な姿勢を取る中国の意図が国際社会に尖閣の領有権問題が存在することを印象づけたいということであれば、日本が中国に制裁措置をとって対抗することが、事態を変えるなら別ですが、今回の問題はこじらせればこじらせるほど、中国の意図に沿ったものになります。

佐藤さんの主張のように丹羽中国大使を本国に召喚して抗議する断固とした姿勢を日本もつらぬくのか、問題を大きくしないために早期に手を打つかのいずれかの決断が必要です。ずるずると長引かせることが最悪です。

前原外相の「毅然とした対応」ということでは、丹羽大使を召喚するぐらいの姿勢を示さないと「毅然とした対応」とはいえず、「毅然とした対応」と言いつつ、結局は事態を放置することは決していい結果を生みません。

どちらもありでしょうが、日本が毅然とした態度をとったとしても、佐藤さんが外務省で活躍していた頃の日本の存在感はもはやなく国際的な支持が集まる保証はまったくないことだけは覚悟する必要があります。

尖閣の領有問題に決着をつけるためには、国際司法裁判所に提訴するしかないようにも感じますが、日本政府は提訴すると領土問題が存在することを認めることになるとして消極的です。

中国がガス資源問題以外で、強硬な態度を取ってきた理由がもうひとつ考えられます。それは中台関係です。
台湾は、馬政権になって中国に急接近をしており、この6月に経済協力枠組み協定(ECFA)を結びました。それは、かつてあった「二つの中国」という状況を一変させました。
台湾の国論が二分するのではないかとの見方が一部にありましたが、実際には反対運動はほとんど盛り上がらず、中国と台湾は、経済での統合の道を選んだのです。尖閣問題は、中国と台湾の共通した主張であり、中国が尖閣問題を主張することは、政治的にも中台をつなぐことになります。双方の経済利益だけでなく、尖閣問題で、思想を超えた民族意識による一体感がつくれます。

そういった点を考えると、早期決着を行うことが日本の利益だと思いますが、果たして菅政権は、どのように動くのでしょうか。中国は、今回の問題で菅政権を試しているように思えてなりません。


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