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昨日の朝の勉強会の中心テーマではないにしても、そのなかで出た話題は、中国の本当の脅威です。それは中国の経済成長が鈍化したときに一挙に起こってくるというのです。

中国がなにか軍事力を行使してくるのか、あるいは、日本の製品が中国で売れなくなるからかというとそうではなく、外需をさらに伸ばそうと、中国製品が日本に押し寄せてくることです。

かつて米国は、安くて品質の良い日本の製品が怒涛のように押し寄せ、製造業が壊滅的打撃を受けましたが、それと同じことが起こる可能性が高いのです。現在、中国の産業は対米輸出と膨張する内需への対応で、日本市場を本気で狙っていませんが、経済成長が鈍化すると、規模の大きな日本市場は格好の標的になります。

世界最大であり、米国最大の小売業のウォルマートは、商品の7割を中国から調達しています。それが現実です。しかし、それは、かつて日本バッシングが起こったような事態を引き起こしていません。なぜならアメリカの産業とは競合していないからです。

しかし、中国と日本では競合する産業が少なくありません。いや、中国製品にはない技術が日本にはある、そうそう容易には日本市場に入ってこれないだとうとタカをくくる人も多いようですが、それはあまりにも楽観的な見方です。

今や中国は世界の工場です。今伸び盛りのスマートフォンにしても、話題のiPadにしても、中国で生産されています。昔と違って、部品や素材をつくる企業を下請け化して、閉ざされたなかで製品化していた時代ではないのです。いい素材、いい部品はいくらでも調達でき、先端の技術ノウハウも手に入れることができます。

中国が世界の工場となったということは、それだけ技術ノウハウも中国に蓄積されてきていると見るべきです。しかも、この6月に重慶で中国と台湾間の「中台経済協力枠組み協定(ECTA)」が締結され、台湾と中国の経済一体化が、今後どんどん進展していきます。スマートフォンで開発力に定評があり、ソフトバンクにDesireを供給している台湾のHTCが、中国本土で自社ブランドの展開を始めることを発表したニュースがでていましたが、そういった動きはさらに加速し、中国製品のパワーもさらに高まってきます。
HTC、中国で自社ブランドのスマートフォンを販売へ

おそらく日本に残るのは、ハイテク分野では、技術を独占している素材や部品産業、流通業、また海外でも通じるブランドを持つ企業、中国ですら力点を置かない非生産的分野だけということだってありえるのです。

では危機管理として、日本はどのような選択をすべきなのでしょうか。二つの選択しかないと思います。ひとつは、現在のように、農業や古い産業保護のために、頑なに貿易の障害を維持しつづけ、さらにもっと強化し鎖国化する道です。ほんとうのガラパゴス化です。それで生産性の低い産業も小さく生き残ることができます。貧しくとも、小さく生きる道です。

もうひとつは、日本の産業構造を大きく変えることです。韓国や中国と直接競合しない道、国際競争力を発揮できる産業に特化していく道です。

後者は米国がとった道でした。生産性の低い産業からどんどん撤退し、ITなどを中心として、新産業にシフトし、日本や韓国、また途上国との競合を避ける道を選択しました。だから、今でも、不況が信じられないような成長を持続し、高収益をあげている元気な企業があるのです。

民間から中国大使に抜擢された丹羽元伊藤忠商事社長が、中国との自由貿易協定(FTA)締結を急ぐべきだと主張されていますが、その選択に時間的な余裕はないと考えるべきでしょう。
丹羽中国大使に聞く 「FTA、早期交渉目指す」

日本は外からの脅威があったときは、大きく動きます。電子書籍もIPadという黒船が来て、やっと動きがでてきました。まだ中国にものが売れている間に、中国という黒船を上手に取り入れることで、産業構造の転換を促進すれば、それこそが成長戦略であり、最大の政治的課題かもしれません。

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