2010年07月07日
NTTドコモ、江戸の仇を長崎で討つ作戦?
NTTドコモが、全機種SIMロック解除を行うと発表しました。SIMロック解除は、表面的に見れば、携帯の機器と通信利用が分離され、通信会社の競争を促進するということになります。
しかし、NTTドコモのSIMロック解除が、ユーザーメリットを考えた大英断だと素直に受け取る人は少ないのではないでしょうか。
うがった見方かもしれませんが、全国の全世帯を光ファイバーで結ぶ「光の道」構想で、ソフトバンクが、NTTドコモのアクセス会社を分離すれば、税金投入ゼロで実現できるという提案を行なったことへの報復ともうけとれます。
本来は、ソフトバンクが、税金の投入も不要、NTTドコモはさらに利益が増えると投げたボールを、NTTドコモが、なんらかの検証作業を行なって、投げ返すべきだったはずですが、江戸の仇は長崎で討とうという嫌がらせかもしれません。
NTTドコモが喉から手が出るほど欲しいのは、iPhoneの通信です。携帯市場はもはや成熟していたところに、国が販売助成金制度への介入を行って失速し、販売数量が激減してしまいました。通信で伸ばせるのは、さらにシェアを上げるか、データ通信利用の促進しかなく、データ通信利用の促進を担うのはスマートフォンだという事情が背後にあるのでしょう。
ソフトバンクにiPhoneのSIMロックを解除させ、勢いのついたiPhoneの通信を取り込みたいという気持ちは痛いほどわかります。
それに、NTTドコモとしては、SIMロック解除は有利になってきます。ソフトバンクはつながりにくいという弱点を攻めることができるからでしょう。
ユーザーにとっては、つながりやすいNTTドコモを利用できればいいということになりますが、問題はそれで、通信会社間の競争がフェアなのかです。なぜソフトバンクはつながりにくいことがあるのかという原因を明らかにする必要があります。
ソフトバンクが、ボーダフォン買収にあてた借入金の返済、さらに積極的なマーケティング投資で、基地局への投資がおろそかになったことが原因だとの批判もあります。
しかし、果たして基地局数が原因なのか、ソフトバンクが800メガヘルツ帯を使えないことが原因なのかの検証が必要だと感じます。800メガヘルツ帯はNTTドコモやKDDIにはが認可されていますが、ソフトバンクやEモバイルには認可されていません。
ご存知だと思いますが、ソフトバンクが利用しているのは2ギガヘルツ帯という波長の短い電波です。NTTドコモのFORMAもそうです。
波長の長い800メガヘルツ帯なら、建物の壁や樹木の葉のような障害があっても、迂回して届きますが、周波数の短い2ギガヘルツ帯では、より高速通信はできるというメリットはあるものの、逆に電波が反射して届かないという現象が起こってきます。
ソフトバンクの主張は、ソフトバンクがNTTドコモと比べて、つながりにくいことがあるのは、2ギガヘルツ帯しか利用できないからだというものです。
もし、800メガヘルツ帯の利用をソフトバンクができないことが、つながる、つながらないを分ける最大の原因なら、それは電波行政の歪であり、その歪を利用して競争優位に立とうというのは釈然としません。競争は、フェアな条件下で行わなければ、健全ではありません。
ちなみに、現在、電波の2ギガヘルツ帯を利用するFORMAの基地局数と、ソフトバンク3Gの基地局数を比較すると、平成22年5月29日現在で、ドコモがおよそ5万基地、ソフトバンクが4万基地で確かにドコモの基地局数のほうが多いのは事実です。しかし、基地局が多い都市部でも、つながり難いという現象が起こっていることを考えると、基地局数が決定的な原因とは違うのではないかと思えます。auのKDDIは、800メガヘルツ帯で高速通信を行うという特殊な方式であり、この電波帯の基地局設置では大きく遅れ1万2千基地です。
電波帯の不利さがあったために、高速通信に力を入れ、アップルとのコラボレーションを実現して、iPhoneやiPadという武器をもったソフトバンクですが、その成果だけもっていこうというのは、いかにユーザーにメリットがあるにしてもいだだけません。
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この記事へのコメント
3. Posted by ? 2010年07月12日 20:55
よくわかりませんな。SIMロック解除してiPhoneがドコモでも使えるようになったとしても、2G帯でしょ?
iPhoneが800M帯に対応しているならわかるけど、SIMロックと周波数帯とをリンケージさせる議論は無意味じゃないかな?
iPhoneが800M帯に対応しているならわかるけど、SIMロックと周波数帯とをリンケージさせる議論は無意味じゃないかな?
2. Posted by aquila 2010年07月10日 20:33
インフラとしてのソフトバンクの問題点は、つながりにくさだけではありません。競合他社と比べて明らかに通信速度が遅いのです。日経トレンディがiPad 3G内蔵のソフトバンク回線と、WiFiルータ経由でのドコモ回線、イー・モバイル回線との通信速度の比較を行いました。
“iPad+モバイルWiFi”は最強タッグ! 3Gルーター徹底検証、速くて安いのはどれだ?
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/special/20100629/1032235/?P=4
結果はソフトバンクの一勝五敗です。
郊外でのサービスエリアの広さはスケールメリットが働きますが、市街地での通信速度は必ずしもそうではありません。ユーザ数が少なければそれに見合ったインフラを整備すれば事足ります。
それにもかかわらず、ソフトバンクの通信速度は他社と比べて遅い。これはソフトバンクのビジネスモデルが他社と異なるからでしょう。
これまで日本の携帯電話会社は回線を利用してもらうために端末を販売してきました。販売助成金制度による「0円」ケータイが象徴するように、通信事業が主、端末販売事業が従の関係です。
これに対し、ソフトバンクは端末販売が主、通信事業が従の関係です。同社は、同じような携帯電話に他社より数万円高い定価を付けた上で、通信料金から「特別割引」として値引く手法を採っています。キャッシュを端末販売から得る構造です。
また、最近ではiPadやiPhone4購入者にFONルータを無料配布しています。ここからはできるだけ電話回線を使わせたくない意図が伺えます。同社にとって通信はケータイを売るための手段でしかありません。
このように、異なるビジネスモデルを採る企業に対してSIMロック解除というルールを画一的に適用させれば、摩擦は生じるでしょうね。ソフトバンクが反発するのも当然です。
“iPad+モバイルWiFi”は最強タッグ! 3Gルーター徹底検証、速くて安いのはどれだ?
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/special/20100629/1032235/?P=4
結果はソフトバンクの一勝五敗です。
郊外でのサービスエリアの広さはスケールメリットが働きますが、市街地での通信速度は必ずしもそうではありません。ユーザ数が少なければそれに見合ったインフラを整備すれば事足ります。
それにもかかわらず、ソフトバンクの通信速度は他社と比べて遅い。これはソフトバンクのビジネスモデルが他社と異なるからでしょう。
これまで日本の携帯電話会社は回線を利用してもらうために端末を販売してきました。販売助成金制度による「0円」ケータイが象徴するように、通信事業が主、端末販売事業が従の関係です。
これに対し、ソフトバンクは端末販売が主、通信事業が従の関係です。同社は、同じような携帯電話に他社より数万円高い定価を付けた上で、通信料金から「特別割引」として値引く手法を採っています。キャッシュを端末販売から得る構造です。
また、最近ではiPadやiPhone4購入者にFONルータを無料配布しています。ここからはできるだけ電話回線を使わせたくない意図が伺えます。同社にとって通信はケータイを売るための手段でしかありません。
このように、異なるビジネスモデルを採る企業に対してSIMロック解除というルールを画一的に適用させれば、摩擦は生じるでしょうね。ソフトバンクが反発するのも当然です。
1. Posted by たつ 2010年07月07日 11:54
SIMロックの解除と電波の話は別でしょう。
電波は順次開放されていくので、
参入事業者が出てくる度に既存事業者の電波を再割当てするのは非現実的です。
欧州でSIMロック解除義務付けしている国で、
いちいち解除義務を課す時に、使用している周波数のイコールフッティングを考えて再割当てしているわけではない。
それよりも問題なのは、SIMロック解除の義務付けが、原口大臣のtwitter上のツルの一声で、先送りされたことです。
事業者の自主性に任せるという中途半端な方針を出したのが混乱の元。
更に重要なのは、あまり議論されていないが、SIMロックを解除しないのは、所有している機器使用の自由を奪っていること。
補助金を出しまくって0円携帯が普通だった時には、事業者が損をする可能性が高かったので、他社への移行を阻止するSIMロックの正当性は一定程度ありましたが、今は原則定価販売なので、ロックを維持する大義名分はもうどこの事業者にもない。
もちろん無条件に解除しろと言っているわけではありません。
例えば、2年間の分割払いが終了した後とか、解除の手数料数千円出すとかは止むを得ないでしょう。
一言でまとめると、SIMロック解除問題は、競争政策の前に、電話機の所有者の権利の問題を議論すべきだと思います。
電波は順次開放されていくので、
参入事業者が出てくる度に既存事業者の電波を再割当てするのは非現実的です。
欧州でSIMロック解除義務付けしている国で、
いちいち解除義務を課す時に、使用している周波数のイコールフッティングを考えて再割当てしているわけではない。
それよりも問題なのは、SIMロック解除の義務付けが、原口大臣のtwitter上のツルの一声で、先送りされたことです。
事業者の自主性に任せるという中途半端な方針を出したのが混乱の元。
更に重要なのは、あまり議論されていないが、SIMロックを解除しないのは、所有している機器使用の自由を奪っていること。
補助金を出しまくって0円携帯が普通だった時には、事業者が損をする可能性が高かったので、他社への移行を阻止するSIMロックの正当性は一定程度ありましたが、今は原則定価販売なので、ロックを維持する大義名分はもうどこの事業者にもない。
もちろん無条件に解除しろと言っているわけではありません。
例えば、2年間の分割払いが終了した後とか、解除の手数料数千円出すとかは止むを得ないでしょう。
一言でまとめると、SIMロック解除問題は、競争政策の前に、電話機の所有者の権利の問題を議論すべきだと思います。



