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同時中継が無料で行え、ツイッターなどのソーシャルメディアが組み込まれたUSTREAMは、またひとつ時代を変えるのではないかと感じます。

地方にいると会議やフォーラムの多くは東京での開催が多く、よほどでないと参加出来ないというハンディがあるのですが、USTREAMでは、どこにいるのかは関係ありません。しかも、その時に感じたことをソーシャルメディアに書き込め、またネットを通じで参加している人たちの意見も見れるめるので、ただ一方的に聞くというのとはひと味違う体験ができます。

昨日もTwitterで知ったふたつのフォーラムにUSTREAMで参加したのですが、そのひとつは、「日本経済新聞 電子版」の発表後に行った日経新聞社主催のパネルディスカッション「ネット時代のメディアとジャーナリズム」でした。

日経新聞社が電子化時代に、日本では他の新聞メディアにさきがけて、課金も含めて、本格的にチャレンジするだけあって、力が入っていると感じます。また、新聞メディアもすでに電子化されているとはいえ、どのような新しい世界を提供してもらえるのだろうかという期待は膨らみます。

しかし、記者会見での喜多社長の説明や、昨夜のパネルディスカッションでのご担当の方の説明を聞くと、残念なことに、紙媒体の価値観からまだ抜け出せていないという印象を強く感じました。紙媒体を今後とも事業の柱とするというのは、印刷関連の関係者や販売店への配慮もあるでしょうが、それだけ歯切れも悪くなってきます。それを差し引いても、ブログでの引用や記事の貼付けすら、まだ社内でのコンセンサスが取れていないというのはいただけません。

ところで、技術に大きなイノベーションが起こり、それまで収益の柱となっていたビジネスも転換が迫られるという経験を、仕事を通して、これまでに幾度か経験してきましたが、そんな際に、ビジネスのイノベーションの大きな障害になってくるのは社内の壁です。

その社内の壁で、もっともやっかいなのが、それまでのビジネスで蓄積され、深く人びとの意識のなかに染み込んできた価値観やものの見方だということです。これはなかなか変わりません。しかも、新しい事業が失敗する、あるいはうかくいかなず躓く原因としてボディブローのように効いてきます。昨日の喜多社長やご担当の方の説明を聞くにつれ、これはいつか体験したのと同じだとというデジャビュー(既視感)を感じました。

本来捨てるべきものが、捨てられないのです。紙媒体から、電子情報に移行したときに、もっとも重要な変化は、それぞれの情報がどれだけ価値があるかの判断や取捨選択が、新聞社から読み手側がに移ります。
「電子化」というのは、たんに記事がインターネットでも見ることができるようになるということではなく、情報を提供する新聞社と読み手の関係が根本的に変わってくるということです。

紙媒体では、新聞社は、紙面構成やレイアウトに強いこだわりがあります。それは、新聞社の独自性をだす命だったのでしょう。しかし電子化されると、それはノイズにしかありません。記事は断片であっていいのです。慣れてくるとその方がはるかに読みやすくなってきます。

もちろん読者のなかには、そういった紙面に慣れていて、そちらのほうが読みやすいという人がいるかもしれません。しかし技術が進めば、その人の関心を持っている内容に沿って、その人向けの紙面構成やレイアウトにやがてなっていくということです。

これまでは、新聞社は定期購読によって読み手を囲い込んできたのですが、だから、唯一でなくとも、情報源としてはそれぞれの新聞が占める位置は大きいものでした。だから新聞社は、その時の重要な問題は何かということを伝えるという使命感もありました。
この使命感も捨てなければなりません。それは、クラウド(人びと)が決めてくれます。ネットの世界は、新聞は情報源としては相対化してきます。つまり選択にさらされてきているということです。新聞記事でなくとも、新聞社でないネットメディア、ブログやさまざまなソーシャルメディアから情報が発信されており、新聞社の紙面での工夫をはるかに超えた影響力がすでに存在しているということです。

記事のひとつひとつが断片化されていく電子化時代に、新聞社に期待したいことは、断片化されたひとつひとつの記事の価値です。紙面の物理的な制約がなくなり、もっと深い記事の提供が可能になってくるはずです。

さらに新聞社と読者の双方向のやりとりが、ひとつひとつの記事で可能になってきます。ひとつの記事をめぐって、新聞社だけでなく、あるいは記者だけでなく、読者が価値を提供してくれるようになります。実は今でも、ブログやツイッターなどでは当たり前のように行われているので、取り込むべきはそちらかなと思いますね。
それに電子化されたことで、読み手の利便性を上げていくサービスを開発し、提供するチャンスも広がってくるはずです。

本当に本業の転換、とくにパラダイムの転換を行うと言うのは難しいものです。紙媒体を補う媒体という発想ではなく、いっそ、第二の「日経」として、本紙と競う合うぐらいの体制にしたほうが成功するように感じます。

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