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ネットでアンケートができるようになり、アンケートを行うコストも大きく下がり、簡単に実施できるようになりました。しかしそれが曲者だと思うことがしばしばあります。
まずは、ネット調査にはアンケートの対象者の偏りがつきものだということです。ネットの普及率が高まり、各社の抱えるモニター数も増えたこともあって、以前よりは改善されてきているでしょうが、ネット利用率は、東京や神奈川で70%程度で、地方になると50%前後でしかなく、どうしてもネットを利用している人という偏りが生じてしまいます。
それを頭の片隅に置いておけば、世論調査で、マスコミ各社とあまりにかけはなれた結果を発表しているところがありますが、それはそのサイトのヘビーユーザーの意識にしか過ぎないということがすぐに判断出来ます。

もうひとつ気になるのは、低コストで簡単にできてしまうために、アンケートの趣旨や設問なども拙速なものになってしまうということも多いようです。これはユーザーに問うべきことなのかどうかの吟味をしない、得られる結果がなにを意味するのかを深く考えずにとりあえず思いついたアンケートをやってみようという風になりがちだということです。
最近も、japan.internet.comの記事で「iPad を代表とする“タブレット型端末”は今後普及する?」というアンケート結果を紹介していたけれど、なにを調べるためのアンケートなのかよくわかりません。
iPad を代表とする“タブレット型端末”は今後普及する?――アイシェア調べ

タブレット型端末については、iPadが注目され、さまざまな記事がでましたが、まだ実際に製品に触れ、その操作性などを体験した人はほとんどありません。まして、おそらくキラーコンテンツとなると思われるiBookについては、まだどうなるかが発表されていないし、電子書籍そのものを利用した人も少なく、評価ができるほどまだ情報や体験を持っていないユーザーにタブレット端末の「普及」の予測を尋ねることに違和感を覚えます。
電子書籍ひとつとっても、ユーザーによって理解の程度は異なり、それこそ子飼弾さんの「決弾」でもiPhoneで実際に読んでもらって評価をとらないとあまり参考になりません。ユーザーは、わからないことには回答できないのです。無理に回答した結果にはなんの意味もありません。

タブレッド型端末に限らず、新しい製品やサービスなど、ユーザーがまだ体験していないこと、またユーザーがなぜそうしているのかを意識していないことに関して質問することや評価してもらうこと、また結果を解釈するのはかなり高度な注意が必要になってきます。
たとえば、アンケートでは、なぜそのブランドや商品を選ぶのかの結果の多くは「品質」ですが、なにで品質を感じているのかをユーザーが意識しているとは限らないのです。ユーザーの人たちが、品質をなにで評価しているのかを発見するのはマーケッターの仕事です。仮説ができれば、それなりに実験することもできます。

さらに、これはネット調査に限りませんが、ユーザーに何が欲しいかを尋ねることの愚には気をつけなければなりません。それに関して、Twitterで、慶応大学の稲見教授の(@drinami)の気の利いたツイートがありました。
drinami
ユーザに「今」何が必要か問いかけることは,誕生日プレゼントに何が欲しいか尋ねるのと同様「無難」ではあるが「無粋」である.なお,ユーザに「将来」何が必要かと問いかけることは「無意味」である.

おそらく「無粋」というだけでなく、的確な回答は得られないでしょうし、誕生日プレゼントに何を贈れば、サプライズとなり、またよろこんでもらえるかを考えることが、マーケッターの仕事であり、マーケティングという仕事の面白さです。つまり仕事の放棄だということです。

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