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JALについては、最初からそれしかなかったような気もしますが、会社更生法申請という最後の切り札がでて、企業年金減額についてもOBが合意、また主力銀行も、法的整理を活用した再建方針に応じる意向となり、あとは稲盛さんに再建を託すということになりました。
株式市場は、マネーゲームの攻防で繰り広げられているようですが、株式優待券もたたき売られているらしいので、価格によっては買い得かなと思っています。

もうひとつの攻防は、日本郵政と日本通運と共同出資して設立した宅配便事業会社「JPエクスプレス」の最終処理をどうするかで、こちらは、まだ決着がついていません。

「JPエクスプレス」は、日本郵政の西川前社長が進めたものの、独断専行したことへの反発や、都市部のいいとこ取りをし、日本郵便に僻地だけを押しつけるものだとして、自民党時代の鳩山総務相の怒りを買い、「JPエクスプレス」への「ゆうパック」譲渡が認可されませんでした。また、新政権になってからも事業計画の見直しをつきつけられ頓挫してしまいました。

そもそも、宅配事業はひとつの地域での取り扱い件数で効率に大きく差がつく事業で、ネットワークの密度が勝負な事業ですが、クロネコヤマトが38%、佐川が33%とこの両社で7割を占める寡占市場です。

つまり、シェアが10%のペリカン便と8%のゆうパックの弱者が統合しても勝ち目はありません。シェアによる力の差ということでは、ランチェスターの法則が知られています。シェアの差は、その二乗の力の差になるというものです。
合併しても、クロネコヤマトと比較するだけでも、シェアは38対18となり、ほぼ2対1の関係ですが、2の二乗、つまり4倍の力の差になるというものです。おそらく、宅配便は、ネットワークの密度で差が出る事業なので、もっと大きな差となるのでしょうし、それが収益力の差にもつながってきます。

だからどう考えても、「JPエクスプレス」構想は、戦略なき統合であり、郵政民営化に乗じて、日通の赤字事業を日本郵政に押しつけるという構図だったのではないかという疑念がでて当然でした。あるいは銀行と同じように統合して合理化すればなんとかなると西川前社長はお考えだったのでしょうか。

事業そのものは、日本郵政が継承することになりましたが、問題は「JPエクスプレス」をどう処理するかです。もっとも問題になるのは、ターミナルなどの施設もありますが、焦点は従業員の処遇でしょう。JPエキスプレスの従業員の8割が日通からの出向で、その6300人がどうなるかです。

日本郵政が、大変なお荷物を抱えてしまうのでしょうか。もはや宅配に関しては、価格差はあっても、ヤマトでも佐川でも、ほとんどの離島や僻地にも行ってくれるので、日本郵政としても撤退が筋だと思うのに、これ以上のお荷物を抱えるのはきついでしょうね。

クロネコでも、佐川でもほとんど離島でも僻地でも運んでくれるので、総務省のユニバーサルサービスを維持するというもいかがなものかとは思いますが、(確か民営化時点で、ゆうパックはユニバーサルサービスから外れていたのではなかったでしょうか)民営化さえすればなんでも解決するという甘い幻想のツケをどう処理するのか、斎藤新社長の手腕が試されることになりそうです。

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