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カロリーベースの食糧自給率にはカラクリがあるということはこれまでも取り上げてきました。なんらかの政治的な意図があるのではないかと勘ぐりたくなります。
食糧よりも、深刻な問題になってきているのが、木材のほうじゃないでしょうか。木材の日本国内で消費される総需要に占める国産材の比率は、平成20年で24%ですから、ほぼ四分の三は輸入材に頼っています。

昭和30年までは、木材自給率は9割を超えていたのですが、その後の木材輸入の自由化にともなって、どんどん減少し、平成12年には18.2%と2割を切りました。
その後に、自給率そのものはゆるやかに回復し、現在に至ったとはいえ、それは熱帯材の資源不足、また丸太から木質ボードなどの加工製品への移行があったことから、材木需要が減少したこともあったようで、国産材の生産が増えたわけではなく、しかも価格が見合わないために、植林せずに、ただ伐採するだけということも増えたようです。

木材自給

図は、「森林・林業学習館」から引用。

国産材の生産が落ちるに従って、どんどん森林の荒廃が進んできたわけですが、それが、山崩れや洪水などの災害、また水資源の貯水力の低下につながってきていると言われています。さらに、森林が荒廃すると松茸なども採れなくなり、収入源を失った地域が増え、過疎化や限界集落の増加などの社会問題にまで引き起こす結果となってきました。

いずれにしても、世界の人口増加にともなって、特に発展途上国で木材の需要は増えてきているのですが、それとともに木材の乱獲も増え、森林面積は10年で日本の国土の2.5倍も失われるということになっています。ちなみに2000年から2010年で森林面積が増えたのはヨーロッパだけです。

こういった森林面積の減少は、地球温暖化問題ともかかわってきます。内閣府が行っている「森林と生活に関する世論調査」(平成19年5月調査)によると、人びとの「森林に期待する働き」の結果を見ると、平成15年調査では、「山崩れや洪水などの災害を防止する働き」がトップでしたが、「二酸化炭素を吸収することにより、地球温暖化防止に貢献する働き」が第一位となりました。

温暖化対策としても、増え続ける木材需要に対しても、これ以上森林を荒廃させないで「持続可能な森林経営」を主なうことが日本だけでなく問われてきているのですが、補助金を出して間伐を進める程度で、なかなか具体策がでてきません。

日本の林業の問題は、第一は価格競争力がないこと、第二は、日本の木材は水分を多く含んでおり、長期に乾燥させないと反ってしまうなど品質が安定しないこと、さらにもっとも重要だと思うのは産業化が遅れており、技術開発や長期的な視点で林業経営を行うプレイヤーがいないということのように思います。

価格の問題は、場合によっては政府補助などで行えるかもしれません。さらに新しい乾燥技術も生まれてきているようですが、問題は、どう産業として発展させるかという展望がないと、結局は補助金頼みとなってしまい、健全で持続可能な「森林経営」は生まれてきません。
とくに、木材をせっせと生産しても、輸入材があたりまえとなっている建築市場の構造を変えないと問題は解決しません。いずれにしてもビジネスとしてどう成り立たせるかという展望がもっとも重要なのでしょう。

さて民主党は、政権を取る前は、森林・林業政策「森と里の再生プラン」で、10年後に木材自給率50%を達成する、省エネ木造住宅の普及をはかり、新たな雇用100万人を創出する、林業を軸にした山里の振興で地域間格差を是正するという高い目標を掲げていたはずですが、その後、あまり話がでてこなくなったような気がします。いったい、どうなったのか気になるところです。

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