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長妻厚労相が、厚労省の官僚の人たちのプレゼンテーション能力が低いとテレビ番組で嘆いていました。たしかサンデープロジェクトだったでしょうか。確かに、事業仕分けで、投げかけられてくる質問に官僚の人たちが、たじたじするする報道が多かったですね。

なぜなのかと理由を想像してみたのですが、おそらく国会答弁の下書きを作成するときは、あらかじめ、質問がわかっており、回答を用意できたから能力が鍛えられなかったのかもしれません。与えられた問題に解答するというのはいかにも受験勉強で鍛えられた頭脳には向いていそうです。
また、これまでは、派閥、年功のご褒美として大臣になった人たちもいて、そういう政治家は、情報と知識で圧倒して、事細かな事を説明すれば、聞く側が判断できなくなり、よろしく頼むということになりそうです。いずれにしても、いかにも説得することが、簡単だったということがあるのかもしれません。

しかし、事業仕分けという劇場では、相手が変わりました。事業仕分け人の人たち、傍聴している人たち、さらにその背後にいる国民の納得を得なければならなくなりました、思いもかけない質問も飛んでくる、そういう不特定多数の人へのプレゼンテーションに慣れていなかったということもありそうです。

思い出したのは、年金お知らせ便だったでしょうか。舛添さんが厚労相の時でした。発送したはいいものの、内容がそれこそ官僚仕事で、よくわからないものとなり、やり直すという失態がありました。アンケート作成を手慣れた人なら、誤答を避けるために、それを受け取った人がどう理解するかということをかなり吟味します。官僚の人も、チェックしたはずの舛添さんも、そういった配慮、つまり不特定多数の人とコミュニケーションする実務能力が弱かった、素人だったということでしょう。

事業仕分けといえば、スパコン問題で、わざわざノーベル賞受賞者の大先生がクレームをつけたり、日本が生きていくためには、根幹となる科学技術を軽視するのかという話がありましたが、計画している事業で、なにが達成できるのか、さらにそれは、どんな可能性と、夢があるのか、世界一を達成することにどんな意味があるかをなどを、しっかり語れなかった官僚の人たちもずいぶん情けない話です。本当の課題や目的、目標を理解していない、だから迫力のある反論ができなかったということでしょう。

評論家のなかにもいい加減な人がいて、演算速度が10倍の速度になれば、開発期間も10分の1ででできるようになるとか言い出す人もいました。開発で実際に時間を要するのは、演算そのものよりも前工程のプラニングとかプログラミングのほうのはずです。演算応力が10倍になっても、10分の1の開発期間になるとは限りません。

立派なハコをつくって、理研なのか、利権かよくわかりませんが、官僚の人たちが主導するプロジェクトとは対照的に、普通に売られている安価なCPUを使ってスパコンを製作、演算速度日本一を達成した長崎大学の浜田剛助教らが、米国電気電子学会の「ゴードン・ベル賞」を受賞したニュースは皮肉としか言いようがありません。

科学技術には、投資すべきだと思いますが、予算だけの問題ではないはずです。「どこに」、「誰に」、「何に」を絞ることが重要でしょうね。思い出したのは、東レの極細繊維を開発された方のお話でした。開発が認められず、予算がないために、すべて手作りの器具で開発されたそうです。開発者の情熱や才能に依存するとことが大きいということでしょう。こういった問題こそ、コンクリートから人へという投資をが本来の姿じゃないでしょうか。もしスパコンの事業が、本当にそういったった主旨であれば、そう反論できたはずです。

事業仕分けという劇場は、ずいぶん国民の人気がでました。しかし考えても見れば、予算を削るというのは、常識と理屈だけででき、比較的簡単な世界だと思います。
それはそれで意味がないとは思いませんが、事業を仕分け、ムダを削るだけでは日本の元気は回復しません。そういう意味では、本当に日本に求められているのは、長い官僚主導の政治が生み出してきたさまざまな「規制」の事業仕分けじゃないでしょうか。

きっとこちらのほうが難しいでしょうね。それぞれの規制の背景には、利害関係がからんでいたり、社会にとって必要だという立前が幾重にも張り巡らされていたり、さらに天下りをつくる巧妙な罠もしかけられています。規制緩和に反対だという声もきっとあがってくるでしょう。

いまは規制緩和はまるで悪だという風潮です。小泉改革が中途半端に終わり、しかも果たして適切な規制が緩和されたのかは疑問を持っていますが、本当に必要な規制緩和はいくらでもあります。しかし、いつのまにか、改革のすべてが悪だという風潮をつくってしまった与野党やマスコミの罪は大きいですね。

がんじがらめの規制、さらに利権の温存がどのように経済活動を阻害し、非効率にしているか、またその規制を取り除くと、どんな産業やイノベーションが生まれ、どれだけの経済効果が期待できるかなどを冷静に議論し、検証することが必要だと思います。そうすることが「改革」アレルギーを解消する近道であり、また規制緩和していかないと本当の意味で脱官僚主導の社会は実現できませんね。

それと、もっと難しいのが、ビジョンやゴールを描くことだと思います。これは優等生が作文するだけでは説得力がありません。これこそ政治家が夢と哲学をもって描くべき問題であり、そういったビジョンやゴールを描くことが、日本の経済や社会の変革するもっとも大きなバネになるのだと思います。

だから成長戦略を描けとなるのですが、これも評論や批判をするのは簡単です。笑ってしまうのは、成長戦略がないとどこかの新聞社の社説で与党批判がありましたが、では新聞社に成長戦略があるのかと問いかけたいですね。
評論や批判をするよりは、日本が元気を取り戻し、成長していくためには、どんな道があるのか、なにを目指し、どのようなイノベーションを起こし、どんなことを達成するのかを議論し合うほうが、いくつもの視点が生まれてきそうで楽しそうだし、ポジティブですね。
ではどんな成長戦略があるかって言われそうですが、地方主権化は、規制緩和と、そこに新しい産業が生まれてくる可能性があると思うので、ぜひ進めてもらいたいと思っています。

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