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総合消費者物価が、対前年で2009年2月以降連続マイナスとなっています。また企業物価指数も、2008年の輸入物価高騰時からは下がってきています、
とはいえ、物価指数の変化は、まだ緩やかに感じます。体感温度のように物価にも「体感物価指数」というものがあるとすれば、実際のビジネス現場の人たちが感じている価格下落なり、価格への圧力はもっと厳しいものがあるのではないでしょうか。それが、物価動向での、政府などの機関と民間との温度差になっているのかもしれません。

普段感じる価格動向と、統計ででてくる物価指数の違いがでてくる原因を考えて見たのですが、ひとつには物価指数には、輸入された原材料費の高騰による価格上昇分も含まれていることがあります。
たとえば、牛乳は、飼料の小麦が上がり、価格がすこし上がりました。それは物価指数を押し上る側に働きますが、実際には、コスト高騰分を価格に転嫁することは難しく、小幅な値上げに終わり、利益を落とす結果となります。だから、ビジネス現場としては、コスト上昇も吸収できない強いデフレ圧力を感じるということになります。

もうひとつは、実際の消費財のビジネスでは、スーパーやドラッグストア、コンビニエンス、家電量販店、ホームセンターといったチェーン化されている業態が主戦場です。そういった業態は価格競争も激しい。
しかし、全小売り売上のうちで、そういった業態が占めているのは4割程度です。それ以外の業態、つまり専門店などで購入された価格も消費者物価には反映されるので、激しい価格競争の現実も緩和されて統計にはでてくるということがあるのでしょう。
しかし、ビジネスの主戦場となっている業態での販売価格は、上場大手企業が発表している月次販売動向を見る限り、既存店の客単価がどんどん落ちてきて経営を圧迫しはじめています。POSで管理されているそちらの実績データは正確です。そちらのデータは今後の物価動向を示す先行指標かもしれません。

今日の日経で、日経が日経が提携している小売業のPOSデータの動向に関した記事がありました。「日本経済新聞社が主要60品目のPOS(販売時点情報管理)データを調べたところ、7月から10月にかけてティッシュなど6割弱の34品目が値下がりした」そうです。
食品・日用品の6割値下げ 7月→10月店頭価格、日経調査

さらにこのところ、スーパーよりもさらに低価格を売り出している、ハード・ディスカウンターが、まだまだ規模が小さいとはいえ、伸びてきているようです。缶飲料などで25円といった特売商品があったりしてびっくりします。
ナショナル・ブランドをほとんど定価で販売することが多いコンビニでも、地域や立地、また競合状況によってはそういったナショナル・ブランドでも価格が下がってきています。

マクロ経済の視点でいえば、デフレ傾向があるといった穏やかな判断や表現となるのでしょうが、先に触れた「体感物価指数」、つまり多くのビジネスの現場では、すでに深刻なデフレが起こっており、デフレスパイラルともいえる現象も始まっているというのが現実ではないでしょうか。そして、需要と供給の関係でいえば、まだまだ、価格は下がっていきそうです。

さて、エコノミストの人たちの間では、どのようにデフレに向き合うのかで、いろいろ議論があるところですが、経営やマーケティングの立場からすれば、そういった世界はコントロールできない世界であり、与えられた環境として受け取り、そのなかでどうビジネスチャンスを見つけるか、またビジネスをどう変え、利益を確保するのかが現実の大きなテーマになってきます。
日本の時計メーカーの攻勢でスイスが、低価格のスオッチで巻き返し、高付加価値ビジネスに仕上げ、さらに高級時計も押さえたという歴史がありましたが、大切な視点は、ユニクロなどの低価格の勝ち組が実証しているように、ビジネスの革新によっては、低価格でも利益がでるということです。
ウォルマートなどの海外の小売業も低価格を売りものにするディスカウンターが主役になってきていますが、そういった海外の小売業のほうが、日本の小売業よりも利益を稼いでる、その利益に貢献しているのは、高いPB比率だということも参考になるのではないでしょうか。
現在の厳しい経済環境は、経営やビジネスの発想を変えろという警鐘を打ち鳴らしているように感じます。

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