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郵貯やかんぽ生命に関して、民から官への逆戻りだという批判が多く見られます。郵政の民営化についてはいくつかの視点があり、なにを期待しているのかによって考え方も違ってくるのではないでしょうか。効率化をはかるというのは誰もが賛成でしょうが、民営化すればなにもかもよくなるというのは幻想にすぎません。

もっとも疑問に感じるのは、民営化によって、郵貯やかんぽの資金が民間に流れ、経済の活性化に貢献できるという考え方です。一見は正しそうなのですが、これは以前にも疑問を書かせて頂いたように、民間の資金需要はどんどん減少してきているのに、その必要性があるのかということです。銀行ですら国債運用、また官への貸出が増えているのですから、国債やその他の公債の受け皿になっているのは郵貯やかんぽだけではありません。このあたりの話を野口悠紀夫教授が参考になるコラムを書いておられます。
もはや郵貯に国債消化を頼るしかない!?日本の資金循環構造のジレンマ

郵貯やかんぽの民営化によって、国債の増発を止めるというのはいかにも原因と結果の取り違えであり、国債の増発を止めるのは政治の責任のはずです。新政権でまた国債を増発するというのはいかにも問題なのですが、追求すべき野党第一党の自民党がこれまで国債の乱発をやり、財政を悪化させてきた張本人なので追求も迫力がありません。

官から民へ資金をまわすというのは理念としては、カッコいい話ですが、製品であれ、サービスであれ、そして金融であっても需要のないところにいくら事業をやってもうまくいきません。それならいっそ海外で資金運用するかですが、問題はそれだけの能力が郵貯やかんぽにいきなり期待できるのかくですね。
視点を変えれば、それだけ資金需要がない、つまり成長のバネを失っている産業側の問題のほうが大きいと考えるのが普通じゃないでしょうか。

あるいは、その資金を中小企業に貸出せばいいという考え方もあるかもしれません。しかしそれは貸出のリスクがどんどん高まるということです。中小企業への融資を狙った木村剛さんの日本振興銀行や石原都知事の新銀行東京などが、伝えられてくる話では、かなり危ない世界になっているようであり、こちらも簡単ではありません。

民営化がベストな解決方法ならば、日本の企業はすべて順調にいっているはずです。しかし現実はそうではありません。市場はそう甘いものではないからです。
社会的な要請から、僻地などでのサービスを残さないといけないというハンディを背負って、郵政が日航のように国民のお荷物にならない方法はあるのかということですが相当アイデアとか経営手腕が必要ですね。

旧国鉄は、東海道新幹線のように稼げる路線を独占しているわけですが、郵便事業は厳しい競争にさらされています。NTTも光回線をほぼ独占している、ドコモも圧倒的なシェアを持っているから成り立ちますが、郵便事業はそうではありません。信書を独占しているといっても、需要がこの先、減ることはあっても、伸びることはありません。

このまま行けば、郵便事業の赤字化は避けがたいと思いますが、マーケティングの視点から考えると、郵貯、かんぽとの事業の相乗効果、サービスの複合化によって効率化をはかるしかないのかなとも思います。すくなくとも四社をバラバラにするというのは、戦略の選択肢を狭めるだけで、筋が悪いように感じます。
株式の売却に歯止めがかかったことを機会に、時代の逆行だと切り捨てずに、もっと現実的な日本郵政のありかたを考えてもいいのかなと思いますね。

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