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タスポ効果が切れ、コンビニの売上が失速したこと減少したことでコンビニから目が離せなくなりました。このブログだけでなく、コンビニについて取り上げた記事も増えたような気もします。

コンビニもイノベーションによって、新しいステージに進化していくことが必要になってきたようです。そのことは当事者のみなさまも十分ご承知のようで、ローソンの新浪社長が「次の10年で目指すのはイノベーションで1位」と高らかに目標を掲げていらっしゃいます。
新浪剛史・ローソン社長――次の10年で目指すのはイノベーションで1位

その第一弾でしょうか、ローソンとマツキヨの業務提携が発表されました。
株式会社マツモトキヨシホールディングスと株式会社ローソンの業務提携に関するお知らせ

新浪社長がおっしゃるように「次の30年は、出店競争から既存店のイノベーション競争に変えていかなければいけない」ということは間違いないと思います。
コンビニもオーバーストア状態で、もう出店の限界が来ていて、無理に出店すると自店間の競合すら起こってしまいかねないというのが実態でしょう。
大阪の江坂はかつてはローソンの本拠地があり、競争相手をこの地域へ出店させないという意図でしょうか、あちらの角も、こちらも角にもローソンが建ち並んでエリアをほぼ独占しています。いささか過剰な感じであり、きっと自店競合も起こっているのだと思います。
しかし、最近は江坂だけでなく、一部の都市部では30メートル程度しか離れていないところにも重なってローソンができたり、郊外でも、住宅も少なく、車の通行量も少ないところにピカピカの新店ができるなどの現象が目立ってきたようにも感じます。

出店に限界が生まれてきているから、イノベーションが強調されるのでしょうが、どうも新浪社長のインタビュー記事を読んだり、マツキヨとの提携という動きの背景には、カテゴリーや品揃えを広げることがイノベーションだという発想がちらちらと覗いて見えます。
最初の25年から30年弱、コンビニはまさにイノベーションの塊だったと思います。たった30坪超の店に、ケーキ屋の売れ筋を入れたり、書店の売れ筋を入れたりしながら、どんどん進化してきた。
しかし、どうでしょうね。そういったイノベーションが通じる時代は終わったのではないでしょうか。雑誌にしても、ケーキにしても、酒にしてもタバコにしても、衰退する零細小売り店から市場を奪うことで伸びてきたと思うのですが、もうそういう零細の小売業から奪える市場はほとんど残っていません。

マツキヨの強い分野、つまり医薬品、化粧品や日用品と、ローソンの強い食品、またサービスを融合して、なにか新しい競争力が生まれてくるのかというと、品揃えが増えて、スーパーに近づくだけじゃないかという懸念も感じます。

小売り業の総販売額は、長期的に低下してきており、成長するためには、そんな縮小してきたパイのなかでどうシェアをあげるか、つまり競争力を強化することが必要となってきます。
実際、百貨店も総合スーパーの衰退を見るとよくわかります。百貨店や総合スーパーは、弱いカテゴリーから順に、家具にしても、化粧品や日用品にしても、それぞれのカテゴリーに特化した小売チェーンに市場を奪われてきました。その結果、総合であったはずの品揃えが、まるで蓮根の穴が空いたような状態になり、集客力も、競争力もなくなってきたということではないでしょうか。
さらに、利益の柱であった衣料品も、ユニクロ、しまむら、紳士服チェーン、さらに製造小売りへ進出した衣料品メーカーによって市場を奪われてきました。そういったカテゴリー毎の競争力で小売り業を見ると、それぞれの小売業の勢いが見えてきます。

だから焦点は、いったい誰を競争相手と考えるのか、どのカテゴリーでその競争相手よりも競争優位をつくるのかということに移ってきているように感じます。コンビニも、近くで買える、ついでに立ち寄って買えるという便利さ以外に、どのようなカテゴリーで競争優位をつくるのかが焦点になってきているのではないでしょうか。
はたして弁当でしょうか。弁当でも、弁当チェーンもあれば、それこそ移動店舗で売る店もでてきています。スーパーも百貨店も弁当で集客しようと安売りを始めて来ています。
飲料でしょうか。飲料はドラッグストアも参入し、より安い価格で売っています。
ローソンとマツキヨとが提携して、売り場面積を拡大した新しい業態なり新しい規格の店舗をつくっても、はたしてお客さまにとってどのような価値がでてくるのか想像ができません。1+1=2以上の効果が見えないのです。

流通業の競争力を高めていく切り口としては、「新しいカテゴリーを広げるイノベーション」だけでなく、むしろ競争力のあるPB開発、店舗のローコストオペレーション、インターネットの活用など「しくみそのもののイノベーション」がありますが、海外の流通業と比較すると日本の流通が総じて弱いのは、どちらかというと後者です。
結果として、ナショナルブランドを並べるだけで、チェーンの個性が弱く、横並びの同質化競争に陥ってしまい、競争の結果、利益も低下するという構造が根付いてしまっているように感じるのです。しかし考えれば、それはコンビニに限ったことではなく、日本の多くの企業が陥ってしまった姿ではないかという気もします。

さてローソンさんは、いろいろ花火を上げるのがお好きですが、ampm吸収合併を失敗したり、マスコミに鳴り物入りで取り上げられた「牛肉カルビ弁当」も、近くの店では、いつも2ヶしか棚に並んでおらず、しかも売れ残っている状態を見ると、なにかオペレーションが伴っていないのじゃないだろうかと意地悪に見てしまいますね。
まあそれはさておき、さすがというイノベーションを実現していただければ、特にローソンさんが強い関西地域の住人としてはありがたい限りです。

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