人気ブログランキングへ

ビールは酒税が高いから、酒税の安い発泡酒が伸びたけれど酒税の改正で割安感が薄れ、さらに酒税の安い第三のビールへ市場の争点が移り、価格の魅力もあって第三のビール市場が伸びてきているようです。その第三のビールでトップを走るキリンが、主力「のどごし<生>」に続いて、今年の6月に「コクの時間」を発売したばかりのところに、9月にはさらに「ホップの真実」を投入します。ラインアップ強化ですが、商品コンセプトを見る限り、アサヒを叩き落とそうというようにも見えます。ますますビール戦争がヒートアップしてきますね。

第三のビールでほぼ40%のシェアでトップのキリンを追いかけているのが、サントリーで、こちらはシェアが22.5%。報道ではPBとされていますが、実際はイオンやセブン限定ブランドを投入して、「金の麦」に絞った展開となるようです。シェア差から言っても、キリンと正面衝突は得策でなく、また企業統合するとなると棲み分けをはかるということでしょうか。
イオンやセブンへの限定ブランドは、350mlで100円という低価格で、「衝撃的低価格」としている報道もあるようですが、業界の目からはそうであったとしても、すでに第三のビールは、特売では6缶100円ちょいぐらいの価格になっていることが多いので、そう衝撃的とは言えないではないような微妙なところです。数円の差だと、ブランドの価格プレミアムがまだ効く範囲かもしれません。
衝撃的というと、ダイエーが外資に買収された韓国のオリエンタリー・ブリュアリー社から仕入れている「バーゲンブロー ノイヴェルト」89円ですが、ついこの間まで期間限定で79円というのをやっていたけれど、かなり無理したんじゃないでしょうか。酒税が28円だとすると、実質51円ですからね。

以前、ご紹介したように、種類もブランドも多様化しつつあるビール類の市場ですが、第三のビールが急激に伸びていると言っても、それはビールや発泡酒のシェアを食っているだけで、ビール類の国内市場は毎年縮小傾向に歯止めはかかっていません。
種類だけ増えてよくわからなくなったビール

市場が縮小する中で、キリンさんは低価格で提供ができる第三のビールに重点をシフトし、その市場を押さえることでビール類市場のシェアを上げていくという戦略でしょうが、その結果ブランドが分散していきます。アサヒもこの流れに対抗せざるを得ません。お互い大変です。サッポロさんに生き残る道はあるのでしょうか。

ビール市場を観察していると、ブランドの効用は価格プレミアムが効くということがブランド・マーケティングの定説になっていましたが、この定説が崩れはじめているように感じます。
いくらブランド力があっても価格下落に歯止めが効かない、価格プレミアムが効かないという厳しい現実が訪れてきています。液晶テレビやデジカメなどの分野でも同じことがいえます。
これまで日本は欧米と比較すると、まだまだ小売り業が弱く、メーカー主導でやってこれたのですが、ブランドパワーの衰弱は、それも揺れ動きはじめてきそうで、サントリーはそれを先取りしたのかもしれません。シェアの低いところは、どんどん小売り業と手を組んでいったらいいように思いますね。
変化のあるところに、マーケティングの知恵も生まれてきます。低価格化、小売り業との力のバランスがさらに変化する状況のなかで、次はどのような新しい切り口が生まれてくるのでしょうか。楽しみです。

ちなみに、ビールを購入されるときに、どれぐらい酒税を負担しているのかが分かるサイトが、酒税法の改正が頻繁になったためだと思いますが、あまり見あたらなかったので参考までに掲載しておきます。

参考
ビールの酒税は、幾度も改正され、またその区分もよくわからないのですが、最新のものでは350ml換算で、ビールは77円、発泡酒で麦芽が50%未満25%以上なら62.3円、25%未満は47円、その他の発泡酒なら28円となっています。
資料:酒税法(最終改正:平成一八年三月三一日法律第一〇号)をもとに算出

応援クリックお願いします
人気ブログランキングへ

簡単導入! ネットで利用する営業支援システム
アクションコックピット