2009年08月03日
老人ホームは危ない場所に建てられているという現実
ようやく近畿や東海は梅雨明けしたようですが、西日本を襲った集中豪雨で17名の方が亡くなられ、また甚大な被害がでました。ご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災地の皆さまには心からお見舞い申し上げます。
さて、しばらくは書くことを控えていましたが、山口県の特別養護老人ホーム「ライフケア高砂」を襲った災害でつくづく疑問を感じたのは、マスコミ報道のあり方でした。
マスコミは、特別養護老人ホーム「ライフケア高砂」で風水害の対応マニュアルがなかったこと、また土石流が襲った後に防府市が、「ライフケア高砂」のある南郷地区に避難勧告を出さなかったことを報道していますが、肝心のなぜこの特別養護老人ホームがそんな危険な場所に建っていたのかという問題を掘りさげた報道は一切ありません。
テレビの報道で、ヒステリックに「マニュアルはなかったのですか?」と理事長を問い詰める記者の質問の声がはいっていましたが、その記者に、一瞬の間に予測できない出来事が起こった際に、果たしてマニュアルがあれば、犠牲者はでなかったのかと問いたいものです。マニュアルを作成し、その災害時の訓練を行っておくことの有用性は否定しませんが、今回の起こった問題の本質かというとちょっと違うように思います。
ほとんど誰も住んでいない地域なので避難命令も出さなかったという人里離れたところに建っていた「ライフケア高砂」は、報道された地形を見れば、もともと危険な土地の上に立っていたのではないか、さらに避難命令を突然の集中豪雨が起こっても、誰もケアできなかったというのが現実でしょう。
世の中には、原因と対策ということがあると思うのですが、対策の適切さだけを求めても、被害が起こった根っこの原因を考えないと、本当の対策は生まれてきません。
土石流が流れた直後の理事長へのインタビューの際に、かつてはこんなことはなかった、山で道路工事があって地盤が緩んだのではないかとと答えていたことを記憶していますが、道路工事がどう影響したかを追跡するマスコミの動きはありません。
もっと重要なことですが、問題は、最初から危険な場所に意図的に多くの特別養護老人ホームは建てられているのだという現実がまったく報道されていません。それは霞が関の官僚や政治がそういった危険地帯に特別養護老人ホームを建てること誘導してきたということです。
この問題は、新党日本代表の田中康夫さんが長野県知事時代に、幾度も熱心に指摘されていたことです。実際、地方に車ででかけることが多いのですが、山道を走っていると、なぜこんな辺鄙で不便なところにと不思議に思う場所に、大きな特別養護老人ホームが建っていることに気がつきます。
きっと家族の人たちが訪問するのも大変だろうし、職員の人たちが通うにしてもさぞ不便だろうというところに、まるで隔離病棟のような大型の老人ホームが建っているのです。しかも山間、谷間で、なにか天災があるときっと危ないのじゃないかと感じるようなところなのです。
言葉は悪いのですが人がこないまるで「姥捨て山」に御殿が聳えているのです。
老人ホームの箱物としての基準は雁字搦めにしておき、それでは建築費がかさんで建たないのために、災害危険区域、地滑り防止区域、土砂災害特別警戒区域などに建ててもいいという規制緩和を行って抜け道をつくったのです。本来、規制緩和するとすれば、箱物の基準のほうであったはずです。
そう見てみると、まさに山口県の「ライフケア高砂」は、起こるべきして起こった事故だったのかもしれません。災害が発生した本当の原因は霞が関、また政治にあったのではないかという視点が生まれてきます。田中康夫さんが、マスコミに警告を発しているにもかかわらず、また問題の本質を知ってか知らずか報道しません。マスコミが行わなければならないのは、そういった問題の検証ではなかったのかと思います。
メディアの記者へ「きちんと書くように」=田中康夫氏
お年寄りを巡る問題は、地方によって、あるいは地域によって状況は異なります。きめ細かくやろうとすれば、本来は地域でどうするかを決めるのが望ましいのです。たとえば地方都市では、旧市街地が空洞化し、シャッター通りとなってしまい遊休施設がいくらでもあります。それらを活用すれば、建築コストも大きく下がり、空洞化対策ともなり、お年寄りが社会と接触を保つこともできるのですが、霞が関が認めません。
こんなところでも、霞が関のお役人さんや日本の政治は、日本を守るどころか日本をめちゃくちゃにしてきていることがわかります。このところの知事さん達の動きもあり、ようやく官僚組織のいかに弊害になっているか、霞が関を解体しないと日本の明日はないという認識が高まってきていると思いますが、自民党さんのマニフェストは手ぬるく、民主党さんのマニフェストも思い切りが不足しているような印象を受けます。
このブログで、自民党が唯一生き残る道があるとすれば、「霞が関をぶっ壊す」という宣言を旗印に掲げることだと以前書いたのですが、昨日、橋下知事がサンデープロジェクトで同じことをおっしゃっていたのが印象的でした。
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1. 《雑文》山口県の土石流:「楢山節考」が現代によみがえる [ スペイン語+英語(・洋書、映画と東京散策) por YYT ] 2009年08月04日 22:58
アルファ・ブロガーである大西宏さんの「マーケティング・エッセンス」に、昨日、「老人ホームは危ない場所に建てられているという現実」という注目すべきブログ記事が掲載されていました。
「老人ホームは危ない場所に建てられているという現実」:http://ohnishi.livedo...
この記事へのコメント
3. Posted by Lhankor_Mhy 2009年08月07日 17:22
こんにちは。
記事中に「災害危険区域、地滑り防止区域、土砂災害特別警戒区域などに建ててもいいという規制緩和」とありましたが、具体的にはどの法律のいつの改正ですか?
興味本位の質問で恐縮ですが、ご存知でしたらご教授頂ければうれしいです。
記事中に「災害危険区域、地滑り防止区域、土砂災害特別警戒区域などに建ててもいいという規制緩和」とありましたが、具体的にはどの法律のいつの改正ですか?
興味本位の質問で恐縮ですが、ご存知でしたらご教授頂ければうれしいです。
2. Posted by foreach_blog_in_blogs 2009年08月05日 10:02
そういえば森田実氏もずいぶん前からお見かけしなくなりましたね。
国難につながる機密を除いて、情報公開や行財政の透明性というのは、有権者が正しい判断を下すために必要な民主主義の根本原理だと思うのですが、大本営発表のウラを暴く使命を担うべき報道機関が自ら隠蔽捏造を実行するのでは、日本の民主主義は砂上の楼閣、それどころか海上の蜃気楼と言わざるを得ないかも知れませんね。
国難につながる機密を除いて、情報公開や行財政の透明性というのは、有権者が正しい判断を下すために必要な民主主義の根本原理だと思うのですが、大本営発表のウラを暴く使命を担うべき報道機関が自ら隠蔽捏造を実行するのでは、日本の民主主義は砂上の楼閣、それどころか海上の蜃気楼と言わざるを得ないかも知れませんね。
1. Posted by じゅん爺 2009年08月04日 06:38
テレビのワイドショーで東大教授のロバート・キャンベル氏がその事実(どうしてワザワザ危険地域に建てるんだ?町に近いところに建てりゃいいじゃないか)を指摘したら、全員シカト。
それ以来氏の姿を見ることはない。テレビは知ってて触れないんだなぁ、と思ってる。
それ以来氏の姿を見ることはない。テレビは知ってて触れないんだなぁ、と思ってる。



