2009年06月24日
国破れて霞ヶ関あり〜官僚の悪質さ、巧妙さが見えてきます
国破れて霞が関あり―ニッポン崩壊・悪夢のシナリオ著者:若林 亜紀
販売元:文藝春秋
発売日:2009-06
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官僚の腐敗や不正と果敢に闘っていらっしゃるジャーナリスト若林亜紀さんから献本していただきました。タイトルは「国破れて霞ヶ関あり」。
官僚への不信感が人びとのなかに深く根付いてきていると思いますが、麻生総理が「官僚にはやる気を出させねば」と霞が関の味方であることを表明してしまったことも麻生政権の支持率低下の一因となったという気がします。
日本が抱えるリスクは、もちろん北朝鮮の暴発を筆頭に、テロ、さらには中国の動向など外からの脅威もあります。しかし、まるでガン細胞のように日本を確実にむしばんでいくのは、もはや存在価値を失いながらも必死に利権にしがみつき、さらに利権を膨張させようとする官僚体制のほうがもっと慢性的で確実に日本という国をむしばむ脅威だと感じている人も少なくないのではないでしょうか。
櫻井よしこさんも絶賛という「国破れて霞ヶ関あり」ですが、まさに帯に「国家に寄生する官僚集団が日本を食い潰す音が聞こえるようだ」という言葉がぴったりくる一冊です。具体的な事例をあげて書かれており、わかりやすく、日本の将来を憂う人には必読の一冊だと思います。
筆者の若林さんは、もともとは厚生労働省の外郭団体の労働問題の研究所で働いていた経歴をお持ちです、そのときに、湯水のような公費浪費と不正を目の当たりにし、たまりかねず内部告発を行い退職され、最高裁まで争って勝訴したという方です。現在ジャーナリストをやっておられるのも、普通の就職はできないだろうということからでした。
以前、アエラに書かれていた記事をご紹介し、その後も若林さんの書籍やブログについて触れたことがありました。そんなご縁で献本してくださったのだと思います。
美味しいビジネス・モデル
霞が関と闘うジャーナリストのブログ
「国破れて霞が関あり」は、金融バブルがはじけ、GDPの12倍にのぼる借金で破綻してしまったアイスランドの取材記事から始まります。日本も同じように借金を抱えているわけで、官僚が浪費するメカニズムにメスを入れなければ、いつアイスランドと同じようになってしまってもおかしくありません。
ついでですが、その経済破綻に、気前よく10兆円をIMFに拠出することを提案したのが麻生総理で、中川財務相の酔っぱらい事件は、その調印を行った直後のことで、なぜかそれはほとんど報道されなかったということも書いてありました。それで財源がないという決まり文句には説得力がありませんね。
この本のなかで、環境省、農林水産省、文部科学省、防衛省、厚生労働省のモンダイが取り上げられていますが、その巧妙さ、悪質さ、せこさには、つくづくあきれ果ててしまいます。
官僚のなかにも良心的な人、優秀な人はきっといらっしゃると信じたいのですが、残念ながら政治家の利権ともつながり、自浄能力を失い暴走する官僚組織の前に個人の力は無力だと思います。自浄能力を求めることはできません。国民が選挙を通して監視していくしかありません。
一昨日も国土交通省や農林水産省の道路行政に関して触れましたが、麻生首相の地元での道路事情や、麻生トンネルについても取り上げられていました。官僚と政治家の利権は密接につながっているのです。
農道で覆面パトカーが捕まえていた
この本には触れられていませんが、有料コンテンツの雑誌FACTAオンライン6月号でも、いかに霞が関が巧妙に、郵政や日本政策投資銀行の民営化を骨抜きにしていくかが詳しく書かれています。新聞記事が劣化してきているので、FACTAのような雑誌にも目を通しておかないと、問題を隠され、はぐらかされる危険性を昨今はつくづく感じます。
郵政・政投銀「民営化」逆戻り〜実はコインの裏表。霞が関は「危機対応」を口実に、政策金融改革を骨抜きにして、民主党まで抱き込んだ。
さて筆者は、「借金の返済を迫られる日」で、
アイスランドの破綻は、対岸の火事ではない。いつか必ず、借金は返済を迫られる。破綻の後には、過剰な豊かさが健全な地味さに変わるのではなく、豊だった者も貧しかったものも区別なく富と生活設計が奪われ、生存が脅かされる嵐が訪れる。と警告し、「日本国を食いつぶす官僚という悪魔から、日本国の支配権をとり戻し、財政規律のある行政運営を実現させなけらばならない」と訴えていらっしゃいます。その通りだと思います。霞が関は大幅に人員や機能、権限を削減し、仕事や人員の大半は地方に移し、余剰人員は、利権を断って、介護など本当に社会に役立つ現場仕事に配置転換していけばいいのです。プライドはどうかわかりませんが、そのほうがきっとご本人達にとっも働きがいがあるのではないでしょうか。
麻生政権は、霞が関官僚が経済対策という名目で描いた時限爆弾にお墨付きを与えてしまったわけですが、霞が関からの高笑いが聞こえてくるように感じます。
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1. Posted by ポップなパンクで、世界を救う! 2009年06月24日 14:35
2. Posted by 若林亜紀 2009年06月25日 22:19
大西様、お忙しいところ拙著を早々にお読みくださりありがとうございます。私のブログにこの書評をリンクさせてください。ありがたい、書評第一号です。
3. Posted by おうワシや!浪速の春団治こと川藤幸造や! 2009年06月29日 19:06
4. Posted by どこかのだれか 2009年07月20日 14:28
IMFへの、外貨準備金の“膨大な余剰”を財源にした、1000億ドルの“枠を設けた”貸し付けについて。
財源である外貨準備金の膨大な余剰は、日本国内には使えない(円に両替すると急激な円高ドル安を招いて日米が共倒れになる)ドル資産なのですから、日本国内の経済政策や福祉の充実に用いる財源と同列に考えるのは、ちょっと(orかなり)おかしいのではないかと思います。
IMFへの貸し付けを批判する人って、何かしらの勘違いをしていたり、他意があったりしますよね。
1.そもそも、財源が外貨準備金だという事を知らない。
例:「どこにそんな大金があるんだ!」
2.外貨準備金→埋蔵金→与党政権のヘソクリ→国民の血税(怒)、程度の認識しかない。ドルだという事も知らない。
例:「10兆円もあれば、日本国内で、どれだけ多くの事ができるか…麻生はそんな事もわからないのか!」
3.ちゃんとわかった上で、素人さんが誤解するような言葉をわざわざ使って、煽っている。
例:「麻生が国民の血税を10兆円も海外にバラまいたぁ〜♪」
4.惜しい事に、IMFを通じて他国を援助する手続き、過程に関する理解が中途半端。
例:「IMFへの貸し付けの財源は外貨準備で、円じゃなくてドルだから日本国内向けには使えないっていうのは嘘だ! 本当は、やっぱり円なんだ! その証拠に…え? SDR? 何それ?」


