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イギリスの広告代理店WPPの子会社である調査会社Millward Brownが今年のBrandZ レポートを発表しています。グルーバル・ブランドそれぞれの価値にお値段をつけてランキングをつけているものです。

そのトップがやはりGoogleで、昨年の860億ドルから16%上がって1000億ドルになったこと、またそのランキング結果をThechCrunchが紹介していますが、なんといっても世界同時不況によって、世界のブランド地図にも大きな変化が起こったのかどうかが注目されるところです。
クイズ: 買うとしたらお値段1000億ドルのブランドは何でしょう?

この不況にもかかわらず、トップ100のブランド価値は、むしろ対前年で2%増加しているとしています。それは試算の仕方によるかもしれませんが、面白いのはカテゴリーごとに昨年と比較したブランド価値の変化もレポートしてくれていることです。
やはり昨年価格が高騰した自動車用燃料(-5%)、アパレル(-9%)、金融(-11%)、自動車(-22%)、保険(-48%)といったカテゴリーでブランド価値が下がってしまったようです。
逆にブランド価値があがったカテゴリを見ると携帯関連、ソフト飲料、コーヒー、ファーストフーズ、ビールなど、身の丈にあった消費分野のブランド価値があがっています。ハイテク・ブランドは昨年までの勢いを失いました。

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さて、グルーバル・ブランドの評価では、インターブランド社のものもありますが、そのどちらを見ても、日本ブランドの評価の低さが気になります。
日本は輸出で経済を牽引してきたにもかかわらず、ブランドとして評価されていないということです。このトップ100にランクインしているのは、トヨタをはじめとした自動車ブランド、任天堂、ソニー、ドコモ、キャノンぐらいで日本ブランドは少なく、またランキングもあまり高いとはいえません。ブランドとして評価されていないというのは、それだけ市場でのポジションが弱いということであり、なにか日本の輸出産業の危うさを物語っているように感じます。

デジタル家電のように、デジカメにしても、液晶テレビにしても、日本ブランド同士が海外市場で競争しあい、お互いまっしぐらにコモディティ化の道を突っ走ってきて、どんどん価格が下がり、社会には貢献してきたはずなのに評価されない。そんな道を辿ってきたということでしょう。
それに加えて、素材や部品、工作機械といったブランド化が難しい分野で輸出を伸ばしてきたことも原因かも知れません。しかも、その多くが、自動車産業向けとか、デジタル家電向けといった、親亀こけたら小亀もこけたという分野が多いことも災いしています。

いずれにしても、気がついてみると、海外の消費者に根付いたブランドが少なく、領域が景気の変動を受けやすいとカテゴリーに偏っていたといえそうです。日本の産業課題は、輸出頼みも途上国型から内需主導型への構造転換だけでなく、現在のように付加価値のとれない消耗戦から、世界の市場でブランドとし評価される新しい価値の創造に向けたを戦略転換も日本の産業課題だということでしょう。

どのようなイノベーションによって、これまでと違う新しい価値を市場に提供できるか、どうすれば消費者、顧客からブランドとして評価されるをまず考えるべきところを、なにか新しい技術はないか、モノづくりこと日本の真骨頂だというような発想でやっている限りかなり厳しそうですが。、

実力に比べて、日本ブランドの弱さは、さらにアジアのブランドのトップ10を見ればわかります。気づくことは、中国ブランドの台頭です。ランキング第一位がCHINA MOBILE(中国移動通信集団公司)で、ICBC(中国商工銀行)、中国建設銀行、中国銀行など、中国の銀行が上位を占めています。日本ブランドは、実力に比べてブランドが弱く、もっとも損なことをやっているということでしょう。またサムスンも大きく価値を下げ、このアジアブランドトップ10からは消えていることに気がつきます。

asiabrands
しかし逆に言えば、差別化を担う鍵が、生産力から、特許などの知的資産へ、さらにブランドへと移ってきた時代にどう適応していくのかということだと、各企業が取り組んでいけば、日本は基礎能力が高いわけで、日本の将来も開けてくるのではないでしょうか。
そのためにも、まずは、身近なビジネスからブランディングを意識し、ブランディングに投資するというブームでもくれば、少しは変わってくるかもしれません
。消費者としてはブランドにきわめて神経質な国なのに、供給側にまわったとたんブランドを重視しないというのもアンバランスですね。
またこのBrandZのレポートは、いろいろブランドのトレンドについても解説してくれているので、またタイミングを見てご紹介していきたいと思います。
英語で読んでみようという方は資料のダウンロードができるBrandZ.comへどうぞ。
BrandZ.com

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