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ファースト・フーズならぬファスト・ファッションを標榜するフォレバー21が話題になっています。女性のアパレルで頭の先から、爪先までコーディネートしても、1万円以下で揃うといいます。

カジュアル・ウェアのZARA、そして人が並んで話題となったH&Mといずれも低価格を売り物とする製造小売りのアパレルブランドです。安い海外ブランドが注目されるようになってきて、海外ブランドは高級品という感覚はもう一昔まえのお話となってしまった感がありますね。

そういった海外ブランドが話題となるのも、働く女性が増え、しかも制服姿ではない職場が増えてくると、手ごろな価格でそれなりにコーディネートできるアイテムへのニーズが高まってきているからで、当然のことかもしれません。

さて、こういった低価格ブランドに共通しているのは、ZARAにしても、H&Mにしても、ファレバー21にしてもブランドを一点に集中させたビジネス・スタイルだということです。しかも店舗規模も大きいですね。
日本で近いのがユニクロだと思いますが、ある意味では、オーソドックスなブランド戦略だと思います。店舗イメージにしても、広告にしても、パブリシティにしても、それなりの展開規模を追求できます。

さて、アパレル業界の日本での売上ランキングを見てみると、20年3月期で、一位ユニクロ(5,352億円)、二位しまむら(4,109億円)、三位ワールド(3,582億円)、四位オンワード(2,870億円)、五位青山商事(2,145億円)です。
女性のためのアパレルとなると、ワールドがトップ、それにオンワードやレナウンが続くということだと思いますが、ブランドということでは、どちらかというと多様な嗜好、ユーザーの違いにきめ細かくあわせ、各社ともブランドを多様化というか分散させてきました。
ワールドの自社ブランドを紹介するショッピングモールのようなサイトを見れば、いかに多くのブランドが展開されているかが分かります。
WORLD.JP

いずれのブランド戦略が正しいかということよりも、おそらく、狙ってきたもの、マーケティングが違ったということでしょう。
ワールドにしても、オンワードにしても、あるいはファイブフォックスにしても、製造小売りの仕組みをつくり、日本のアパレルのイノベーションを実現しました。鮮度のあるデザインを、いい品質で提供し、そいういったビジネスモデルの革新に遅れたブランドからシェアを奪って伸びてきたのだと思います。
そういったマーケティングで、もっとも効率のよいのは、対象とするフィールドや焦点を絞って、よりニーズやウォンツに最適化したブランドぶつけるということだったのではないでしょうか。
市場を細分化し、それぞれ市場に向けたコンセプトでブランド展開を行えば、国内のさまざざまな他のブランドよりは情報の鮮度で優位に立てたのではないでしょうか。それに、ブランドを分散することで、トレンドの変化に対するリスクも分散できました。
しかし、気がついてみると、国内メーカーとの競争優位は築けたけれど、海外の大きなブランドとは、価格差がついてしまっていたいうところだと思います。

日本市場で、すぐさま日本のアパレルブランドと海外のアパレルブランドが正面衝突するということではないかもしれません。しかし、不況が長引くと思われるだけに、日本の品質に厳しく、高度な選択の眼をもった消費者の人たちにも、価格志向のトレンドが広がってくるのではないでしょうか。もちろん海外のブランドにとっても、そんな消費者の選択眼にかなうかどうかはまだ分かりません。
しかし、そういったトレンドに応えようとすると、広告やプロモーションの効率化、それぞれの店舗での効率的運用、またアイテム当たりの製造のコストダウンを考えると、ブランド統合という流れ、規模メリットの追求するという流れが必然的にでてきそうな感じがします。

そうやって強いブランドをつくることが、日本のアパレルの海外進出も加速化させるのかもしれません。製造段階での付加価値が追求できる時代ではなく、デザインやサービス、なによりもビジネスの仕組みで付加価値を追求する時代だと思うので、日本のアパレル産業にも、さらに次のマーケティングのイノベーションを期待したいところです。


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