Private Label: Turning the Retail Brand Threat into Your Biggest Opportunity
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さて、世界を眺めたときに、食品や日用品のパッケージ商品(CPG)で最も販売規模が大きく、また成長しているブランドはなにでしょうか。ネスレでしょうか。P&G?コカコーラ?
いいえ違います。食品や日用品のパッケージ商品(CPG)で、世界最大のブランドはウォルマートのPBです。2005年の販売額では1260億ドルで、第二位のネスレ全社をあわせた売上750億ドルをはるかに超えた巨大ブランドです。
しかもプロジェクトを組み、一千件を超える消費者調査を行って、どうすればPB商品の満足度をあげることができるかに取り組むということもやってきており、開発力、企画力などのマーケティング強化をはかってきているだけに、しょせんPBだと侮ることができなくなってきています。またブランド別の売上ランキングでも、すでにトップ10の半数がPBです。しかもメーカーブランドよりも高い成長を達成してきているのがPBです。
CGPのブランド別売上ランキング
一位 ウォルマートPB
二位 ネスレ
三位 P&G
四位 J&J
五位 ユニリバー
六位 Aidi(ドイツ)PB
七位 TESCO(イギリス)PB
八位 ペプシコ
九位 Royal Ahold(オランダ)PB
十位 Metro Group(ドイツ)PB
(出典 "PRIVATE LABEL":Keith Lincoln & Lars Thomassen)
これは何を物語っているのでしょうか。メーカーから小売業にマーケティングの主役が移行しはじめているということです。さらに小売業が自らのブランドを持つことで、メーカーと小売業の境界線が崩れてきているということです。
衣料品の世界も同じです。H&M、ZARAといった製造小売りが世界を席巻していますが、日本でも製造小売りの完成度が高いユニクロがひとり勝ちという状況です。アパレルメーカーのなかでも、勝ち残っているところはいわゆるSPAという製造小売りにいちはやく移行したメーカーです。
ホームファーニシングのIKEA、日本で言えば、ニトリも同じです。さらに、インターネットによってブランドを広げていったといえば、デルや日本ではアスクルが思い浮かびます。
つまり消費者との接点を制するところが、消費者が望む価値を提供できる時代になってきたということです。市場は確実にメーカーから小売りにブランドの主導権が移行しはじめています。
そんな潮流、またそれによって起こってくるさまざまな変化がリテライゼーション(Retailization)です。
リテライゼーションの流れは、マーケティングのありかたや、ブランディングのありかたを大きく変えはじめています。きっと日本でも、この流れは間違いなくやってきます。
それは小売り業にとっても、メーカーにとっても、新しい生きる道が迫られてくるということです。発想の転換が必要になってきます。なにに投資すべきかも変化してきます。
この流れに適応できるかどうかです。小売り業も商品開発力が求められてきます。百貨店の衣料品が、しょせんメーカーブランドや卸ブランドの企画力、調達力に頼ったものでしかなく、他店や他の小売り業と差別化ができず、結局は衰退してきたことでもわかります。
どこに行っても、同じブランドしかなければ、別に百貨店で購入する必然性はありません。独自の顔や特長を持ちたければ、独自の魅力ある商品をつくるしかないのです。小売りは小売りで、PB対PBの競争がいまより激しくなってくるということです。
ではアメリカではひとり勝ちのウォルマートでは、売上のうち、どれぐらいPBが占めているのでしょうか。なんと4割を超えているのです。プロジェクトを組み、毎月大々的な消費者調査を行って、どうすればPB商品の満足度をあげることができるかを研究し、さらにパッケージの全面リニューアルをやったところに本気度がうかがえます。
[ウォルマート] グレードバリューのリニューアル版を公開
ドイツのAidiにいたってはPBが9割以上を占めています。ナショナルブランドはよほどのブランドでしか入り込めません。世界の名だたるブランドもことごとくドイツでは失敗してきました。
イギリスのTESCOもPBが5割を占めています。しかもナショナル・ブランドよりも高いプレミアムブランドをも持っています。商品の開発力があるということです。世界の趨勢を見ると、日本のPBはまだまだこれからだということでしょう。
そういったPB比率になってくると、ナショナルブランドが生き残るスペースが激減してくるということです。当然サバイバル競争が起こってきます。かなり発想を変えていかないと弱いブランドははじき飛ばされていきます。
はっきりしているのは、強いブランドか、PBではできない個性を持っているブランドしか小売りは必要としなくなってくるということです。製造元のサプライヤーであればいいということでしょう。
大きな時代の流れだと思うので、またリテライゼーションについて機会があれば書いていきたいと思います。
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なんだか小売業もファブレス企業のようになってきましたね。今後はナイキやアディダスのようなPB専門ショップができるのでしょうか。楽しみです。