
今朝は、また早朝から東京出張ですが、売店で買った日経新聞の一面トップに
「新興国に『専用機種』」というタイトルの記事がありました。富士フイルムがデジカメで機能を押さえ、100ドル以下(1万円)に抑えた製品をアジアや南米で発売するそうです。同様の動きが、ホンダやパナソニックなどにもあり、新興国むけの専用機種開発を急いでいるというものです。先進国の急速な需要減で、まだまだ伸びしろの大きな市場に目を向け始めたということでしょう。
ネットでは見あたらない記事ですが、こういった動きは、日本のメーカーの開発体制やマーケティングを大きく変える可能性を感じさせます。これまで日本は、まるでオリンピックのように技術のイノベーションを競い合ってきたのですが、それが現地のニーズにあわせて開発するという柔軟性や速度、またマーケティングのきめ細かさで、韓国勢やノキアなどに遅れをとり、世界シェアを落としてしまいました。
グローバル戦略は、各国の市場を起点としたいくつものセグメントを統合することであって、世界を同一市場として扱うと失敗するということでしょう。現実の市場はそれそれすべて異なるのに、同一に扱ってしまうと、製品の押しつけになったり、どの市場に向けたものかが不鮮明になり、中途半端になってしまうからです。
先進国はモノに対する需要が飽和し、製品の高度化や差別化で買い換え需要をいかに広げるかが課題であるのに対して、新興国は、国民の所得レベルが異なり、まだまだモノの普及が課題であり、便利なモノをどんどん安く提供して豊かな社会を築くことに貢献するという、パナソニックの創業者である松下幸之助の「水道哲学」が必要な国が多く、そういった国々に貢献するためには、先進国向けの高機能・高品質な製品ではなく、まずは人びとの手が届く製品を提供することが産業の役割です。
期待したいのは、そういった新興国向けをスタートとして、テクノロジーアウトに偏ってきた開発戦略を、市場を起点とした開発戦略にどんどん転換していくことだと思います。

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