ダイヤモンドオンラインで、ソニーの中鉢良治社長へのインタビュー記事がでています。 「テレビは高付加価値より値頃感で勝負する」そうです。テレビを止めるというのなら、あるいはテレビ事業を売却するというのなら新鮮な驚きもありますが、値頃感で勝負するということではどうなんだろうかと疑問を感じてしまいます。
ソニー 中鉢良治社長インタビュー「テレビは高付加価値より値頃感で勝負する」
従来型で高付加価値を追求することからシフトするというのは理解できます。当然でしょう。
高付加価値化も、リッチなユーザーに向けて、DVDなりブルーレイで映画を鑑賞するホームシアター・システムという位置づけを行うのなら別でしょうが、その市場規模は小さく、量を売るという発想から離れないといけません。
薄くすることに技術の粋を結集しようが、インターネットの閲覧ができるようにしても、しょせんテレビは「テレビの番組を見る道具」でしかありません。しかも、インターネットの普及によって、「テレビを見る」ことの価値そのものが相対的に低下してきているので、いくら「道具」のほうの付加価値をあげたところで、本当の意味での新しい価値も、新しい需要も生まれてはきません。
それはいいとしても、値頃感で勝負というのはいただけません。値頃感はどんどん下がっていきます。値頃感で勝負というのは、自ら進んで価格下落していくコモディティ化の流れに飛び込んでいくということです。
それだったらSONYというブランドが存在する根拠を失います。もっと安い、ブランドでないテレビはいくらでもあり、そちらにどんどん近づいていくということです。
「SONY復活のために何が必要か」という問いの答えとして、「トップの言っていることを全社員が理解してシェアできるかどうかだ」ということだそうですが、そのトップが「値頃感のある商品で勝負」なんて言っていたらSONYの社員の人だって白けるような気がするのですが、どうなんでしょうね。
SONYというブランドの存在価値が、ワクワクするような商品を生み出してきたこと、また今後ともそうだとするのなら、「テレビを見る道具」という概念を破壊するような新しいコンセプトの商品なり、仕掛けを開発して世に問うつもりだというぐらいでないと誰も納得しないのじゃないでしょうか。
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この本の中で、次世代の広告市場は、電通 vs Googleでもなく、ましてやGoogleが独り占めできるプラットフォームでもなく、デジタルサイネージやモバイルなど新しいプレーヤーを含めた複数のプレイヤー達が共存共栄で生き抜く時代になると言っています。本来ならば、SONYはグローバル企業でもあるので、こうした新しい市場を先取りするような視点を持った製品やサービスを打ち出してもらいたいものですね。