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小型車が好調なようです。国内では、11月に失速した感はありますが、上期はホンダのフィットの登録台数が、対前年で185.5%と売れ行きが良く、伊フィアットは前年比180%増(1〜10月累計)、独ダイムラーの小型車ブランド「スマート」は5倍以上の販売増といいます。
新車乗用車販売台数ランキング
フィアット、スマートが急上昇、輸入車市場にも小型車の波

ガソリン高によって、経済性の高い小型自動車の需要が伸びたということでしょうが、1970年にヒットした日産サニーのCM「となりの車が小さく見えます」という、所有することでプレステージを表現するという価値観はもはや遠い昔の話であり、一度小型車に乗ると、その性能や快適さなどのパーフォーマンスの高さには驚かされ、ユーザーの価値観も変わります。乗ってみるとこれで十分だ、むろし小回りもきいて便利だと感じさせる完成度です。ガソリン高がパンドラの箱を開けてしまったということです。
この金融危機を迎えるまでもなく、ガソリン高によって、すでに自動車産業の変調は始まっていたのです。

トヨタの不振は円高が原因でなく戦略転換の遅れだと強調しておきます (7月29日)
車もダウンサイジング(8月1日)

デジタル家電も、PCなども、車もそうでしょうが、高品質化、高性能化、高級化して、付加価値をつけようと突っ走ってきたわけですが、ある時点から、ユーザーが求めるレベルと少しづつ乖離しはじめていたというきわめて当たり前のことに、ユーザーが気づきはじめ、一挙にでてきているのが現時点だと思います。
一方では、小型車やプリウスなどの経済的なハイブリッド車の生産は、間に合っていないといいます。もちろんより高く売れ、儲かる車をより売りたいということが根っこにはあるとしても、需要の大きな変化には、生産の調整がきかなかったということです。

そうなって、わかったことは需要の変化に合わせるというジャストインタイムというのは、小さな変化には対応できたけれど、大きな変化には無力だったということでしょう。
しかも、アメリカのビッグ3も、当然漫然とやっていたわけでなく、当然ジャストインタイムも、生産をとことんまで効率化するリーン生産なども導入していたわけで、それでも破綻の危機を迎えたということは、もっと別の要因にあり、そのひとつが、車のコンセプトそのもの、どのような価値を提供できるかということに経営が向き合っていなかったということでしょう。
HOWTOの限界なのかもしれません。時代が大きく変化し、人びとが求めるものが違ってくると、新しい価値の創造が求められ、開発はWHATTOに向かわなければならないはずですが、一度成功したパラダイムを変えられないままに、金融破綻の嵐に翻弄されてしまったということだと思います。
金融危機が実体経済をも激しく揺さぶり、人びとの意識も大きく変化し始めてきたことを思うと、もっとユーザーの価値観の変化へのアンテナを研ぎ澄ませ、変化と向き合うということがますます求められてくる時代に突入してきているというように感じます。

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